LDH(乳酸脱水素酵素)とは、糖を分解してエネルギーを産生するときに働く酵素の一つで、肝臓、腎臓、肺、心筋、骨格筋などの組織細胞に多く含まれ、酸素のない状態でのエネルギー産生に重要な役割を果たします。
LDHを調べると何がわかるのか?
LDHが含まれている上記の組織に障害が起こって細胞が破壊されると、血液中にLDHが流れ出して高値を示すようになります。
特に急性肝炎や肝臓がん、あるいは心筋梗塞のときに著しく増加します。そのほか、慢性肝炎や肝硬変などの肝臓病、腎不全、悪性貧血などの血液病、筋ジストロフィーなどの骨格菌の病気、間質製肺炎、さまざまな臓器のがんなど、多くの病気で血液中に増加するので、これらの病気を発見するスクリーニング(ふるいわけ)検査として用いられています。
ただし、LDHが高値だからといって病気を特定するのは困難で、症状やほかの検査結果を見て判断されます。
LDHはどのように検査するのか?
血液を採取して遠心分離し、自動分析器で測定します。LDHは、GOT、GPTと同様に赤血球中にも含まれているために、採血、分離するときに赤血球が壊れる(溶血)と、LDHは外に出て経度上昇します。
また、骨格筋細胞にも含まれているため、激しい運動後では翌日くらいまでは軽度上昇することがあるので、検査前日・当日の運動は控えましょう。検査当日の飲食は普通にとってかまいません。
基準値
LDHの基準値はSFBC準拠法で180〜370IU/lですが、測定法(ほかにUV法、PL反応法など)によって異なるので注意が必要です。
男女の差はありませんが、妊娠後半期に急上昇し、出産前は基準値の2倍近くになります。
新生児は成人の約2倍の高値を示しますが、14歳くらいで成人とほぼ同じ程度に落ち着きます。
検査結果の判定
血清中のLDHが低値なら問題ありませんが、上昇するのは損傷した臓器の細胞からLDHが漏れ出ていることを意味しています。基準値の4〜5倍も高値を示す場合は急性肝炎や心筋梗塞、肝臓がんが疑われ、高値でも軽度の場合は全身の色々な病気が考えられます。
この検査だけで病気を特定することはできませんので、次に述べるアイソザイム検査を行なって詳しく調べていきます。
異常があったらどうするか?
LDHは肝臓、心臓、肺、腎臓、血液、骨格筋などの病気や、悪性腫瘍で増加します。
異常値が出たら、どの臓器の病気かを知るためにアイソザイム検査が行なわれます。
アイソザイムとは、同じはたらきをするが分子構造は異なる酵素群のことで、LDHの場合は、さらに分析するとLDH1〜LDH5の5つに分けられます。
肝臓の病気の場合、現在進行中の肝細胞障害の度合いを示しています。急性肝炎の初期にはLDH5が著しく増加します。肝臓がん(とくに転移性がん)でも増えます。しかし、慢性肝炎、肝硬変では数値はあまり上がりません。
心筋梗塞や溶血性貧血ではLDH1が非常に高くなります。筋ジストロフィーではLDH2が、大腸がんではLDH3が、肺梗塞と慢性骨髄性白血病ではLDH2とLDH3が、それぞれ増加します。
肝臓の病気とわかれば、GOT・GPT、ALP、コリンエステラーゼ(ChE)、腹腔鏡検査、肝生検などの検査や、臨床症状を合わせて総合的に判断され、治療が行なわれます。
異常な場合に疑われる病気
心筋梗塞、心不全、肺梗塞、悪性貧血、白血病、筋ジストロフィー、急性肝炎、肝臓がん、胃がん、すい臓がん、大腸がんなど

