病院の検査の基礎知識

膵臓の病気などで細胞が破壊されるとリパーゼの数値が上昇します

リパーゼは脂肪を消化する酵素の一つで、中性脂肪(トリグリセライド)を脂肪酸とグリセリンに分解します。分解されることで、食物中の中性脂肪は、腸管から吸収できるようになります。リパーゼは膵臓で作られ十二指腸乳頭部に運ばれます。この経路のどこかに異常が発生すると、血液中に漏れ出して、血液中の濃度が上昇します。

過度の飲酒は膵炎の最大の原因です

リパーゼを調べると何がわかるのか?
すい臓の細胞が障害を受けたり、破壊されると血液中のリパーゼの量が増えるため、膵炎などの膵臓の病気を調べる重要な検査となっています。リパーゼはアミラーゼと同じような変動を示しますが、アミラーゼが膵臓以外の唾液腺の以上でも上昇するため、膵臓疾患を検知するにはリパーゼの方がより高い特異性を示します。

急性膵炎では、激しい腹痛とともに、リパーゼの値が基準値(11〜53IU/l)の数倍になります。慢性膵炎やすい臓がん、膵嚢胞でも上昇しますが、その程度は2〜3倍にとどまります。しかし、急性膵炎のように1〜2週間の上昇はなくて、異常値が持続することが特徴です。

どのような検査か?
血液を遠心分離器にかけ、血清部分を自動分析器で測定します。

検査結果の判定
激しい腹痛(急性腹症)を起こしたとき、リパーゼを測定して異常値を示せばすい臓の病気が考えられます。急に4〜5倍に上昇したときには急性膵炎、2〜3倍に上昇して持続するときは慢性膵炎、すい臓がん、膵嚢胞が考えられます。また、肝臓の病気でも経度の上昇が見られ、腎不全のために排泄が低下すると、持続的に高値を示します。

アミラーゼの値と比較検討されますが、リパーゼの比が高いときにはアルコールによる膵炎を考えます。また、急性膵炎がよくなる際、リパーゼが正常値に戻るのが1〜2週間遅れるので、回復の指標になります。

異常があったらどうするか?
腹痛があり、リパーゼが上昇したときはすい臓の病気を考え、膵酵素や腹部超音検査腹部CT検査、逆行性膵胆管造影検査などで精密検査を行ないます。
すい臓の病気では、腹部症状があるために病気が推測できますが、腹部症状がなくリパーゼが上昇しているときは、腎臓からの排泄低下と考え、尿検査、尿素窒素クレアチニンなどの血液検査、腎盂造影検査などが必要になります。

異常な場合に疑われること

  • 高値…急性膵炎、慢性膵炎、すい臓がん、膵嚢胞、腎不全、肝障害など
  • 低値…慢性膵炎(膵機能荒廃期)など

 
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