ホルモンの検査の一覧

内分泌臓器は、産生するホルモンが必要なときに必要なだけ分泌されるようになっていますが、腫瘍などがあると内分泌腺の機能亢進が起こり、腺の萎縮などがみられると、機能低下が起こります。
ホルモンの分泌量を調べることによって、下垂体や甲状腺、副腎の病変を把握することができます。

副腎、甲状腺、下垂体から分泌されるホルモンを調べます
  1. 甲状腺ホルモン…甲状腺の働きと異常(亢進症と低下症)がわかります。
  2. 副甲状腺ホルモン…カルシウム、リン酸代謝に関与する各臓器の状態がわかります。
  3. 副腎髄質ホルモン…心疾患の診断、交感神経に関与する病気を調べるときに行われます。
  4. 副腎皮質刺激ホルモン…下垂体、副腎皮質機能の異常が疑われる場合に行われます。
  5. 抗利尿ホルモン…循環血液量(体を流れる血液の量)や血漿浸透圧を維持します。
  6. ANP、BNP…心不全や腎不全などの重症度や治療効果を判定するときに検査されます。
  7. レニン、アルドステロン…高血圧の診断に際して重要な検査となっています。
  8. レニン、アンギオテンシン…高血圧やむくみの出る病気の症状や原因を確かめます。
  9. コルチゾール…副腎皮質や下垂体、視床下部の異常が疑われる場合に行われます。
  10. プロラクチン…下垂体の異常や、無月経、不妊症、男性の性機能低下を調べます。
  11. テストステロン…睾丸機能の異常、あるいは下垂体や腎臓の病気がわかります。
  12. エストロゲン、プロゲステロン…卵巣や卵黄、そして胎盤の働きがわかります。
  13. 卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン…下垂体の働きがわかります。
  14. 成長ホルモン…他のホルモンの分泌を促進・抑制して、バランスのとれた成長を促す。

抗利尿ホルモンとは?

抗利尿ホルモン(ADH)とは、視床下部で合成されたあと、脳下垂体の後葉に貯蔵されるホルモンで、バソプレンとも呼ばれています。腎臓からの水分の再吸収をコントロールすることにより、循環血液量(体を流れる血液の量)や血漿浸透圧を維持するなどの重要な役割をはたしています。

ADH

例えば、スポーツなどで大量の汗をかいたり、脱水状態になると、下垂体からの抗利尿ホルモンの分泌量が増え、尿量が少なくなり、水分が失われないように働きかけます。
逆に、水をたくさん飲むと抗利尿ホルモンの分泌が抑制され、腎臓からの水分の再吸収が減り、尿量が増えるようになります。

抗利尿ホルモンの測定は、体内の水分がどんどん排泄され、脱水状態に陥る尿崩症の診断に欠かせません。また、視床下部や脳下垂体後葉の異常が疑われる場合にも行われます。

抗利尿ホルモン(ADH)はどのように測定するのか
血液を採取して測定します。通常は、血漿浸透圧も測定して診断します。なお、アセトアミノフェン、コリン作用薬、エストロゲン、経口血糖降下薬、三環系抗うつ薬などは、測定値に影響を及ぼしますので、これらの薬を服用している方は、あらかじめ医師に申し出てください。

基準値
0.3〜4.2pg/ml

検査結果の判定
ADHが高値を示す場合、非常に高度な脱水などが考えられます。また、血管内の水分が過剰にもかかわらず、ADHの分泌が抑制されない抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)や、下垂体以外にADHの分泌を促す腫瘍ができている場合にも高値になります。
腎臓になんらかの異常があって起こる腎性尿崩症がある場合も、それを正常な状態にしようとADHが過剰に分泌されてしまいます。

逆に、中枢神経の異常で起こる中枢性尿崩症の場合はADHは低値となります。また、心因性多飲(真理的な問題で水分を多量に摂取してしまう状態)などで水分を過剰摂取すると低下します。
視床下部になんらかの異常があってADHの分泌量が低下する場合もあります。

異常があったらどうするか
血液検査や尿量尿比重クレアチニン電解質などのさらに詳しい腎機能・代謝機能の検査を行ないます。
また、ADHは下垂体以外の部位、特に肺がんがあるときに異常分泌されますので、胸部X線検査気管支内視鏡検査などが行なわれる場合もあります。

SIADHの場合は、水分摂取を制限して、原因疾患を特定して治療をします。
水分摂取を制限しても改善がみられないときは、デメクロサイクリンやサイアザイド系利尿薬など、腎臓の抗利尿ホルモンの作用を減らす薬を投与します。2006年には、フィズリンという治療薬が国内でも承認されています。

中枢性尿崩症の治療は、不足しているADHに代わって、合成して作られたADH製剤であるDDAVP(デスモプレシン)を鼻の粘膜から投与(経口では効果がありません)することにより尿量を減少させることができます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、腎性尿崩症、異所性産生腫瘍など
  • 低値…中枢性尿崩症、心因性多尿など

副腎皮質刺激ホルモンとは?

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、脳の下垂体から分泌され、副腎皮質ホルモンの分泌を刺激するホルモンで、アミノ酸で構成されるポリペプタイドです。コルチゾールなどの糖質コルチコイドを含むすべての副腎皮質ホルモンの分泌を促進しています。
ACTHの測定は、視床下部や下垂体、副腎皮質機能の異常が疑われる場合のスクリーニング(ふるいわけ)として行われます。

ACTH

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)はどのように測定するのか?
数値は時間帯によって変動するため、早朝空腹時に安静にした状態で血液を採取します。
起床直後から午前中にかけて分泌量が増加し、午後になると減少するに血内変動が見られます。また、ストレスを受けると数値は上昇します。ACTHの測定は通常、コルチゾールの測定と併せて行われます。

基準値
早朝安静時…7.4〜55.7pg/ml

検査結果の判定
ACTHが高値で、併せて測定したコルチゾールも高値を示す場合は、下垂体性のクッシング症候群が、逆にコルチゾールが低値を示す場合は、アジソン病(全身倦怠感、吐き気、下痢、低血糖などの症状が現れる)が疑われます。
また、慢性的に副腎が障害されていると、副腎皮質ホルモンの分泌が減少して、それを回復させるためにACTHが高値となることがあります。

一方、ACTHが低値を示し、コルチゾールが高値の場合は、副腎腫瘍によるクッシング症候群が疑われます。また、下垂体の機能低下や、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)の大量服用などでも低値となります。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…クッシング症候群、アジソン病、ストレス、うつ病、神経性食欲不振症、異所性ACTH産生腫瘍、グルココルチコイド不応症など
  • 低値…下垂体機能低下症、副腎性クッシング症候群、ACTH単独欠損症、外因性ステロイド投与など

コルチゾールとは?

コルチゾールとは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、糖質コルチコイドの一種です。
糖代謝をはじめ、タンパク代謝、脂質代謝、電解質の代謝、骨代謝、さらに免疫機構にも関与しており、生命維持に不可欠なホルモンです。炎症を抑制する作用もあります。
ストレスに関与し、過度なストレスを受けると分泌量が増加しますが、その反応はとても敏感です。ストレスホルモンとも呼ばれています。

過度なストレスに気をつけましょう

コルチゾールの検査は、副腎皮質や下垂体、視床下部の異常が疑われる場合や、糖尿病・肥満の原因を調べるために行われます。

コルチゾールはどのように検査するのか?
午前8〜10時に採血を行なって調べます。コルチゾールの分泌量は、朝、起床したときが最も多く、午後から夜にかけては徐々に減っていきます(日内変動)。
なお、下垂体から分泌されている副腎皮質刺激ホルモン(ATCH)が、コルチゾールの量をコントロールしているので、ATCHも同時に測定することが重要です。

また、尿中の遊離コルチゾールの測定を行なう場合もあります。この方法では、24時間にわたって蓄尿を行うことにより、コルチゾールの1日の分泌量を評価できるというメリットがあります。

基準値

  • 血中コルチゾール…4.0〜23.3ug/ml (午前8:00〜10:00)
  • 尿中コルチゾール…26.0〜187.0μg/日 (平成16年3月31日までは11.2〜80.3μg/日)

検査結果の判定
高値の場合は、副腎腫瘍や下垂体腫瘍が原因でホルモンを産生し、コルチゾールが過剰に分泌されるクッシング症候群が疑われます。また、過度なストレス、うつ状態、うつ病などでも高値を示します。妊娠中は数値が高値になる傾向があります。

一方、低値の場合は、副腎皮質が破壊され、副腎皮質ホルモンの分泌が低下してしまうアジソン病が考えられます。原因として自己免疫、結核菌の感染、がんの転移による場合もあります。また、副腎皮質ホルモン薬を長期間服用していると、低値になることがあります。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…クッシング症候群、ストレス、うつ病、神経性食欲不振症など
  • 低値…アジソン病、先天性副腎皮質過形成、ATCH不応症、下垂体性副腎皮質機能低下症、副腎皮質ホルモン薬の服用など

甲状腺ホルモンとは?

甲状腺ホルモンは、喉仏(甲状軟骨)の下の気管の外側についている甲状腺という臓器から分泌されるホルモンのことで、人体のエネルギー代謝を調節する重要なホルモンです。
甲状腺ホルモンは、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の作用によって、その分泌が促進されます。このホルモンが過剰になったり、不足したりすると、甲状腺ホルモンにも過剰や不足が見られるようになります。
この検査では、これらのホルモンの分泌機能に異常がないかを調べます。

甲状腺

甲状腺ホルモンは体内のタンパク質合成やエネルギーの代謝、酸素消費などの能力を高める作用があり、その種類はT4(サイロキシン)とT3(トリヨードサイロニン)に分かれます。
しかし、血液中のT4、T3はタンパク質と結合しており、ホルモンとしては作用しないため、逆にタンパク質と結合していないFT4(遊離サイロキシン)、FT3(遊離トリヨードサイロニン)も測定します。

甲状腺ホルモンを調べると何がわかるのか?
甲状腺ホルモンの分泌を見ることによって、甲状腺の働きと異常(亢進症と低下症)がわかります。
バセドウ病などに代表される甲状腺機能亢進症は甲状腺腫(喉仏の下が膨張する)で発見されることが多く、暑がり、動悸、原因不明の体重減少、倦怠感、月経異常などの症状が現れます。
一方、甲状腺機能低下症ではむくみや便秘、食欲不振、寒がりなどの症状が現れます。

これらの甲状腺の病気が疑われる場合に、甲状腺ホルモンを検査します。
また、健康診断などで血液中のコレステロール値心電図に異常がみられた場合にも、甲状腺検査が行なわれる場合があります。

甲状腺ホルモンはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。妊娠中の場合は、数値が変動するのであらかじめ申し出てください。

基準値

  • T4(サイロキシン)…4〜12μg/dl
  • T3(トリヨードサイロニン)…0.7〜2.1ng/dl
  • FT4(遊離サイロキシン)…0.9〜1.9ng/dl
  • FT3(遊離トリヨードサイロニン)…2.5〜4.5pg/dl
  • TSH(甲状腺刺激ホルモン)…0.3〜3.7μU/dl

検査結果の判定
T4、T3が高値の場合は甲状腺機能亢進症が、T4、T3が低値の場合は甲状腺機能低下症が疑われます。
必要に応じて、甲状腺組織を採取する生検やシンチグラフィー、X線CTなどの検査も行い、それらの結果を組み合わせて診断が行なわれます。

異常があったらどうするか?
甲状腺ホルモンの測定により、甲状腺機能亢進症あるいは低下症の診断ができたら、ただちに治療を開始します。
一般的に、甲状腺機能亢進症の治療では抗甲状腺剤を服用しますが、薬の副作用や甲状腺の腫れなどがある場合には、手術や放射性ヨード剤による治療を行ないます。甲状腺機能低下症を治療するときは甲状腺ホルモン剤を服用します。これらの疾患はともに慢性病ですので、治療は長期に及びます。

異常な場合に疑われる病気

  • T4、T3が高値…甲状腺機能亢進症(バセドウ病、プランマー病)、亜急性甲状腺炎、TSH産生腫瘍など
  • T4、T3が低値…甲状腺機能低下症(粘液水腫、クレチン病、橋本病)、ヨード欠乏症など

副甲状腺ホルモンとは?

副甲状腺ホルモン(PTH)は、副甲状腺から分泌されるホルモンのことで、甲状腺から分泌されるカルシトニンというホルモンやビタミンDとともに、血液中や体液中のカルシウム濃度を一定に保っています。カルシトニンは、血液中のカルシウム濃度が高くなると分泌が高まり、骨からカルシウムが溶け出すのを抑えるようにはたらきます。

カルシウムを調節する大切なホルモンです

一方、副甲状腺ホルモンは、血液中のカルシウム濃度が低下すると分泌が高まり、骨に含まれているカルシウムを取り出し、腸からのカルシウムの吸収を促進することによって、血液中のカルシウムを増やすはたらきをしています。
このように、二つのホルモンがバランスよくはたらくことによって、血液中のカルシウム濃度は常に一定に保たれているのです。

副甲状腺ホルモンを調べると何がわかるのか?
副甲状腺ホルモンは、カルシトニンやビタミンDと共に生体内のカルシウムおよびリン酸代謝を調整する重要なホルモンです。副甲状腺ホルモンは骨と腎臓が標的器官ですが、ビタミンDの活性化を介して間接的に腸管にも作用しています。

したがって、血液中の副甲状腺ホルモン濃度の測定は、カルシウムおよびリン酸代謝に関与するこれら各臓器の機能を検査する上で重要な指標となっています。
また、腎不全患者の場合、続発性副甲状腺機能亢進症による腎性骨異栄養症を評価するためにも使用します。

副甲状腺ホルモンはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。副甲状腺ホルモンは、血中へ分泌された後、速やかに分解されるため、PTH-C(パラサイロホルモンC末端)、PTH-M(パラサイロホルモン中央部)、intact PTH(全分子PTH)として測定します。
多くの場合、どの部分を測定しても判定には大きな影響はありませんが、基準値は測定する部分によって変わるので、注意が必要です。
なお、検査の数値に影響を及ぼす恐れがあるので、採血の2〜3日前からカルシウム剤の服用は避けてください。

基準値

  • PTH-C…150pg/ml以下
  • PTH-M…180〜560pg/ml
  • Intact PTH…10〜60pg/ml

異常があったらどうするか?
血液中のカルシウムとリン、尿中のカルシウムとリン、アルカリホスファターゼなどを調べて病気を診断します。
血中カルシウム濃度の低下が認められる場合に副甲状腺機能低下症を考える必要があります。
副甲状腺ホルモンは、血中カルシウム濃度を上昇させると共に、リン濃度を低下させる作用を有しています。このため副甲状腺機能低下症では、低カルシウム血症と共に高リン血症が認められます。
ただし低カルシウム血症、高リン血症は、慢性腎不全でも生じます。
したがって、低カルシウム、高リン血症を示し、腎機能が悪くない場合に、副甲状腺機能低下症と診断されます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…副甲状腺機能亢進症、慢性腎不全、低カルシウム血症、ビタミンK欠乏症、骨粗しょう症、骨軟化症など
  • 低値…副甲状腺機能低下症、悪性腫瘍の骨転移、高カルシウム血症など

副腎髄質ホルモンとは?

副腎髄質ホルモンとは、腎臓の上の左右一対ある副腎と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンのことです。アドレナリン(エピネフリン)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ドーパミンの3種類があり、3つを総称してカテコールアミンと呼びます。

肉体的・精神的なストレスに対処します

緊張、不安、興奮などの精神的ストレス、あるいは運動、苦痛、暑い(寒い)などの肉体的ストレスが加わると、脳の交感神経が緊張します。
交感神経の刺激を受けて副腎髄質から分泌されたドーパミンが、アドレナリン、ノルアドレナリンと作り変えられ、血管の収縮、弛緩、血圧の維持、心臓の収縮などにはたらき、これらのストレスに対処しています。

副腎髄質ホルモンを調べると何がわかるのか?
褐色細胞腫や神経芽細胞腫などの腫瘍ができるとカテコールアミンの分泌が増えるため、それらの腫瘍の診断や治療効果の測定のために検査を行ないます。
また、狭心症や心筋梗塞、心不全の診断、それにストレスや交感神経に関係している病気を調べるときにもカテコールアミンを調べます。

副腎髄質ホルモンはどのように検査するのか?

尿で調べる
尿を塩酸を入れた容器にとって低温保存し、1日分をまとめて、その中のカテコールアミンを測定します。アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンについても同様です。

血液で調べる
大人と子供の場合…肘の内側か手の甲の静脈から採血(静脈穿刺)を行います。
乳児と低学年の子供の場合…採血する場所をエタノールで清浄し、尖った針かランセットで穿刺します。血液はピペット(小さなガラスの管)、スライド、検査用ストリップ、小容器などに採取します。

検査結果の判定
カテコールアミンは主に高値の場合が問題となります。まず考えられるのが、褐色細胞腫、乳幼児では神経芽細胞腫です。褐色細胞腫の場合には、副腎にできたものはアドレナリンが高く、それ以外に発生したものはノルアドレナリンが高くなります。

異常があったらどうするか?
褐色細胞腫は20〜40歳代の成人に見られる腫瘍で、そのほとんどは良性です。
しかし、頻度は低いのですが、高血圧の原因として見逃すことのできない疾患です。
ほかの検査結果とあわせて診断を行ない、診断に従って治療に当たります。

乳幼児が異常値を示した場合に最初に疑われる神経芽細胞腫は、小児がんの一種です。
主に腹部や胸部に発生し、どの年齢でも発症しますが、1歳位までに発見された神経芽細胞腫は外科手術などで治る場合がほとんどです。
精密検査として血液検査、X線検査超音波検査などを行って確定診断を下します。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…褐色細胞腫、神経芽細胞腫、副腎髄質過形成、心不全、心筋梗塞、パーキンソン病、本態性高血圧、甲状腺機能低下症、総合失調症、うつ病、糖尿病など
  • 低値…起立性低血圧、家族性自律神経失調症、汎下垂体機能不全賞、フェニルケトン尿症、甲状腺機能亢進症など

ANP、BNPとは?

ANPは心房性ナトリウム利尿ペプチドといい、主として心房で合成・貯蔵され、血液中に分泌されるホルモンです。水・ナトリウムの利尿。血管の拡張、レニン・アルドステロンの分泌抑制、循環血漿量の減少など多彩な生理作用を介して、生体の体液バランスならびに血圧調整に関与しています。

心不全などを調べる際に有用です

BNPは脳性ナトリウム利尿ペプチドといい、主として心室から血液中に分泌されるホルモンです。強力な水・ナトリウム利尿作用、血管拡張作用を有しており、心室に負荷がかかると分泌され、交感神経系およびレニン・アンギオテンシン系を抑制して、それらのホルモンと拮抗的にはたらいて心不全などの病態を改善させます。

ANP、BNPの検査で何がわかるのか?
ANPの分泌は、心房圧による心房筋の伸展によって刺激されるため、ANPが高値の場合は、心房負荷や循環血漿量の増加を起こす病態が存在することを意味しています。
ANPは、心不全や腎不全などの重症度や治療効果を判定するときに検査されます。その他、高血圧の病態把握、内分泌疾患のスクリーニング(ふるいわけ)などにも用いられています。

BNPも同様に、心不全の臨床的指標として非常に有用とされています。BNPは、ANPに比較して変化率が大きいのが特徴です。例えば、重症の心不全ではANPよりはるかに上昇するため、心不全の指標としてはANPより優れています。
また、心室機能の把握、心不全や心肥大の治療効果の確認、抗腫瘍薬、向精神薬の心筋障害の早期感知にも役立てられています。

基準値
ANP:40pg/ml以下 BNP:20pg/ml以下

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…本態性高血圧、うっ血性心不全、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症など
  • 低値…脱水状態、利尿薬の影響など

レニン、アンギオテンシンとは?

レニンは、腎臓で分泌されるたん白分解酵素で、血圧を上昇させる作用を持っています。
レニンは、肝臓でつくられるアンギオテンシンというホルモンを介して、アルドステロンというホルモンの分泌を促進します。
アルドステロンは副腎でつくられており、ナトリウムの再吸収を促進し、血液量を増やして血圧を上昇させます。

高血圧などの原因を確かめます

血圧が上がると腎臓へ流れる血液の量は増えますが、それによってレニンの分泌が抑制されます。その結果として今度は血圧は下がるということになります。
このようにして、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系は血液量の保持と、血圧を一定に保つことにより血液の循環を正常にしようと調節しているのです。

レニン、アンギオテンシンを調べると何がわかるのか?
高血圧は生活習慣病の中で最も多い疾患ですが、その80〜90%は本態性高血圧症と呼ばれる原因不明のものです。
レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系のどこかに、異常が生じると、高血圧になったり、水分代謝がうまくいかなくなって、むくみが見られるようになります。
そのため、高血圧やむくみの出る病気の原因を確かめたり、病状を診断したり、治療法の選択のために、この検査が行なわれます。

レニン、アンギオテンシンはどのように検査するのか?
検査前の1時間ほど安静にしてから血液を採取します。
その後、採取した血液を遠心分離器にかけ、血漿部分をラジオ・イムノアッセイ法(放射性同位元素を利用して検査法)で調べます。
なお、検査前日の夕食後から飲食は禁止となっていますので注意しましょう。

基準値

  • レニン…臥位で0.2〜2.7ng/ml/時間
  • アンギオテンシンT…110pg/ml以下
  • アンギオテンシンU…22pg/ml以下

検査結果の判定
基準値より大きな値がみられたら、薬物を服用している場合は、投与を中止して2週間以上たってから再検査します。入院患者では、同じ日に時間を変えて、3回以上採血して日内変動を調べます。

異常があったらどうするか?
腎動脈の狭窄などが原因で、レニン−アンギオテンシン−アルドステロン系の分泌が過剰になっておこる腎血管性高血圧では、外科的に狭くなった動脈を広げて、腎臓へ流れる血液を増やす手術を行なう場合があります。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…腎血管性高血圧、褐色細胞腫、悪性高血圧、ネフローゼ症候群など
  • 低値…低レニン性本態性高血圧、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、肝硬変など

レニン、アルドステロンとは?

レニンとアルドステロンは血液量、電解質血圧のバランスを保つ上で重要な役割を果たしており、ナトリウム、カリウム代謝異常の診断、代謝性アシドーシス・アルカローシスの診断とともに高血圧の診断に際して重要な検査となっています。

高血圧の原因を推察することができます

レニンは酵素の一種で、血液中に分泌されるアンジオテンシノーゲンというタンパクにはたらいて、血圧を上昇させるアンジオテンシンという物質をつくります。
一方、アルドステロンは副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンで、尿細管に作用して体内にナトリウムの再吸収とカリウム排泄を促進させるはたらきがあります。

レニンとアルドステロンを調べると何がわかるのか?
高血圧の原因を推察することができます。脱水や低血圧の状態ではレニンが過剰に分泌され、アルドステロンも同時に高値となります。レニンが高値、アルドステロンが低値の場合は、副腎皮質の異常でアルドステロンの分泌が低下し、それを改善しようとレニンが高値となっています。

アルドステロンが過剰に分泌されると体内の水分が増加し、血圧が上昇してレニン分泌が抑制されます。アルドステロン産生腫瘍が副腎にできると、レニンが低値、アルドステロンが高値となり、高血圧の原因になります。
なんらかの異常でレニンの分泌が抑制されると、アルドステロンも低値となります。

レニン・アルドステロンの基準値(立位)

  • レニン活性(PRA)…0.2〜3.9ng/ml/時間
  • レニン定量(PRC)…3.6〜63.7pg/ml
  • アルドステロン  …3〜21ng/dl

検査はどのように行われるのか?
血液を採取して調べます。

レニン値が異常な場合に疑われる病気

  • 高値…腎血管性高血圧、褐色細胞腫、レニン産生腫瘍、バーター症候群など
  • 低値…原発性アルドステロン症、グルココルチコイド反応性アルドステロン症、塩分の過剰摂取など

アルドステロン値が異常な場合に疑われる病気

  • 高値…原発性アルドステロン症、レニン産生腫瘍、バーター症候群、悪性高血圧症、ネフローゼ症候群、心不全など
  • 低値…アジソン病、リーデル症候群、塩分の過剰摂取など

エストロゲン、プロゲステロンとは?

エストロゲン(卵胞ホルモン)もプロゲステロン(黄体ホルモン)も女性ホルモンの一種です。
エストロゲンは、女性の第二次性徴の発現、生殖機能維持や卵胞の成熟、排卵促進、子宮内膜の増殖などの性周期の前半を維持する役割を果たしています。
一方、プロゲステロンは、卵胞発育の抑制などの性周期後半の維持、子宮内膜の肥厚、妊娠持続作用などの役割を果たしています。

女性ホルモン

この二つのホルモンで何がわかるのか?
血液中のエストロゲン、プロゲステロンの量を調べることによって、卵巣や卵黄、そして胎盤の働きがわかります。副腎や下垂体の異常で変化がみられることがあります。

基準値と範囲
エストロゲン

  • 卵胞期…3〜20μg/日
  • 排卵期…10〜60μg/日
  • 黄体期…8〜50μg/日
  • 閉経期…10μg/日以下

プロゲステロン

  • 卵胞期…0.1〜1.5ng/ml
  • 排卵期…2.5〜28.0ng/ml
  • 黄体期…5,7〜28.0ng/ml
  • 閉経期…0.2ng/ml以下

検査結果の判定
エストロゲンは胎盤から大量に分泌されるので妊娠中は非常に高くなります。
また、卵巣機能に異常があると過剰に分泌されることがあります。肝硬変の場合には、エストロゲンが肝臓で分解されないため高値となります。
卵巣の機能が低下していたり、発育が不十分な時には低値となります。閉経後は、ほかの女性ホルモンとの関係で分泌量が急激に低下します。

一方、プロゲステロンは卵巣機能や副腎の機能に障害があると、過剰に分泌されて高値になります。生理がなかったり、排卵に異常があると低値となります。
また、卵巣機能が低下した時や、脳の下垂体に異常があった場合には分泌量が低下してしまいます。

性腺の機能異常のスクリーニング検査として、黄体形成ホルモン(LH)、卵黄刺激ホルモン(FSH)、エストロゲン、プロゲステロン(男性ではテストステロン)を同時に測定します。
LH、FSHが高い場合、疾患は卵巣(男性では精巣)にあり、逆に低い場合には、疾患は中枢(視床下部、下垂体)にあります。

エストロゲンやプロゲステロンの値は、個人差、年齢別変動・月経周期変動が極めて大きいため、これらを考慮して解釈します。つまり、1回の測定で診断を行なうのではなく、日をかえて数回測定して、その変動を追跡した後に慎重に診断します。

異常があったらどうするか?
このほかの検査結果と合わせて原因が明らかになるので、その結果に従って治療を進めます。

異常な場合に疑われる病気
エストロゲン

  • 高値…エストロゲン産生腫瘍、先天性副腎酵素欠損症など
  • 低値…卵巣機能不全、黄体機能不全など

プロゲステロン

  • 高値…先天性副腎過形成、クッシング症候群、副腎がんなど
  • 低値…卵巣機能不全、黄体機能不全など

卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンとは?

卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)も脳下垂体前葉から分泌されるホルモンです。
エストロゲンとプロゲステロンの分泌を促進するほか、卵胞を成熟させ、男性では睾丸に働いて男性ホルモンの分泌を促します。
いずれも性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)といわれ、間脳の視床下部から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモンの作用で放出されます。
また、エストロゲンとプロゲステロンが血液中に増えると、フィードバックしてゴナドトロピン放出ホルモンを抑制します。

不妊症のスクリーニングに欠かせません

血清中のFSH値、LH値の測定はともに、性腺機能不全や月経異常、不妊症が疑われる場合には必須の検査です。

この二つのホルモンで何がわかるのか?
卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを調べることによって、このホルモンが命令を下す卵巣の働きと、このホルモンを分泌している下垂体の働きがわかります。
さらに、下垂体に2つのホルモンの分泌させる命令を出す視床下部の働きを知る事ができます。
性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン)の分泌異常があるときには、その原因がどこにあるかを鑑別することができます。

どのような検査か?
血液を採取して調べます。

検査結果の判定
ゴナドトロピン放出ホルモン(Gn-RH)を注射し、時間を追って血液を採取し、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンを測定する検査[Gn-RH(LH-RH)負荷テスト]を行ないます。
この検査で、性ホルモンの分泌異常があるときの原因を特定することができます。

これら二つの検査を合わせて検討することによって、性ホルモンの分泌異常の原因が、視床下部、下垂体、卵巣(あるいは睾丸)のどこにあるかがわかります。
また、女性の性周期に従って測定すれば、排卵の有無などもわかります。
なお、更年期になると卵巣の働きが低下してエストロゲンの分泌が減るため、卵胞刺激ホルモンが著しく増加します。

異常があったらどうするか?
このほかの検査結果と合わせて原因が明らかになるので、その結果に従って治療を進めます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…卵巣性無月経、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、精巣性女性化症候群など
  • 低値…汎下下垂体機能低下症、シーハン症候群、コールマン症候群、神経性無食欲症、黄体機能不全など

成長ホルモンとは?

成長ホルモン(GH)とは、脳下垂体前葉から分泌されるホルモンで、糖やたん白質の代謝を調節したり、他のホルモンの分泌を促進・抑制して、バランスのとれた成長を促すはたらきをしています。
血中もしくは尿中の濃度を測定し、発育遅滞や低身長、思春期早発症、下垂体性巨人症、先端肥大症、下垂体性小人症などの診断に用いられています。

バランスのとれた成長を促します

成長ホルモンは、視床下部から分泌されている成長ホルモン放出ホルモン(GRH・GHRH)という分泌促進因子と、ソマトスタチン(GIF)という分泌抑制因子によってコントロールされています。
さらに、グレリンという成長ホルモンの分泌を促進するペプチド(アミノ酸が結合した物質)が発見され、注目を集めています。こうした因子により成長ホルモンが調整されているのですが、分泌量が少なすぎても、多すぎても正常な成長を阻害してしまいます。

成長ホルモンはどのように検査するのか?
一般的には採血を行ない、血液中の量を測定しますが、起床直後に尿を調べたり、蓄尿を行なう場合もあります。成長ホルモンの分泌は、食事や睡眠、ストレス、運動などが大きく影響します。
さらに、起きて活動している間は少なく、夜間や睡眠中に分泌量が多くなる日内変動があるため、早朝の空腹時に30分〜1時間の安静を保った後、検査を行なうのが原則となっています。

成長ホルモンの基準値

  • 男性…血中値 0.64ng/ml以下  / 尿中値 10.7±10.5pg/ml
  • 女性…血中値 0.11〜3.90ng/ml / 尿中値 10.4±7.4pg/ml

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…下垂体性巨人症、先端肥大症、神経性無食欲症、栄養失調、慢性腎不全、異所性成長ホルモン産生腫瘍など
  • 低値…下垂体性小人症、肥満症、甲状腺機能低下症など

プロラクチンとは?

プロラクチンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンのことで、女性の場合は妊娠・出産に大きく関わっています。妊娠中は乳腺を発育させ、出産後は乳汁の分泌を促します。
出産後は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が急激に低下してプロラクチン(PRL)の分泌が増加します。また、赤ちゃんがお乳を吸う「乳腺刺激」が、さらにプロラクチンの分泌を促すことで、乳汁がスムーズに分泌されます。男性では、前立腺や精嚢腺の発育を促す役割を担っています。

妊娠・出産との深い関係

プロラクチンの検査は、下垂体の異常や、無月経、不妊症、男性の性機能低下などの疑いがあるときに行なわれます。

プロラクチンはどのように検査するのか?
30分〜1時間ほど安静にしてから、血液を採取して行ないます。通常、月経周期の初期に実施されます。

プロラクチンの基準値

  • 男性…3.6〜12.8ng/ml
  • 女性…6.1〜30.5ng/ml

検査結果の判定
高値の場合はプロラクチンを産生する腫瘍(プロラクチノーマ)や、排卵障害(生理がない、排卵がないなど)、甲状腺の機能低下、下垂体や視床下部の腫瘍などが疑われます。
視床下部から分泌される、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)とドーパミンのバランスが乱れると高値になります。そのため、ドーパミン阻害剤(ドグマチール、レセルピン、アルドメットなど)を服用していると高値になります。

逆に低値となる場合は、下垂体の機能低下が疑われます。ドーパミンの分泌を促進するドーパミン作動薬の服用でも低値となります。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…プロラクチン産生腫瘍、乳汁漏出性無月経症候群、勃起不全(男性の場合)、視床下部や下垂体の障害、乳がん、甲状腺機能低下症など
  • 低値…シーハン症候群、下垂体腫瘍、甲状腺機能亢進症など

テストステロンとは?

テストステロンとは、男性の睾丸から出る最も重要なホルモンです。一部は腎臓でもつくられます。胎児期には男子性器の形成と発達に、思春期には第二次性徴(髭、低い声、筋肉の増加、性腺の発達などの男性的な発育)に重要なはたらきをします。脳の下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの、黄体形成ホルモン(LH)、卵黄刺激ホルモン(FSH)によりコントロールしています。

男性の特徴を形成します

テストステロンの検査で何がわかるのか?
男性では、先天的ないしは後天的な性腺(睾丸)機能の異常、あるいは下垂体や腎臓の病気がわかり、女性では副腎の病気がわかります。
一般的に男性では二次性徴の遅延、退行、早期発現が認められる場合や、性機能不全がある場合、女性では男性化兆候がある場合などに検査を行ないます。性腺機能は視床下部の下垂体によりコントロールされるため、FSHとLHも同時に測定します。

テストステロンはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。テストステロンは昼間の分泌量が早朝の数分の1と、かなり低値になりますので、採血は朝に行ないます。尿に排泄されるテストステロンの代謝物質(17KS=17ケトステロイド分画)を調べることもあります。

テストステロンの基準値は?

血中値

  • 男性…250〜1100ng/dl
  • 女性…10〜60ng/dl

尿中値

  • 男性…13〜160μg/日
  • 女性…2〜47μg/日

検査結果の判定
高値の場合は、女性では多毛症(うぶげが肥大したり固くなった状態)、男性化兆候などが見られます。低値の場合、特に男子の思春期では第二次性徴が現れず、性器が十分に成長できない場合があります。睾丸の機能低下や下垂体の異常が疑われます。

異常があったらどうするか?
Gn-RH(LH-RH)負荷試験、精液検査、睾丸の計測、睾丸組織の生検、プロラクチン測定などの精密検査を行なって、原因を確かめます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…睾丸腫瘍、副腎腫瘍、副腎機能障害、卵巣腫瘍、突発性多毛症、思春期早発症、絨毛上皮腫、胚芽腫、甲状腺機能亢進症など
  • 低値…下垂体機能低下症、肝硬変、アジソン病、性染色体異常、思春期遅延症、睾丸炎や外傷による睾丸機能不全など