病院の検査の基礎知識

健康な人の検査値から上下2.5%を除いた、95%内に含まれる数値が基準値

人間ドックの検査結果は、わかりやすいように「正常(範囲)」「経過観察」「再検査」「精密検査」で示されます。血圧や尿検査などでは、検査数値が「基準値」の範囲に入るものが正常と判定され、それ以外はなんらかの異常が疑われます。

基準値は、過去に大きな病気の経験がない、健康な人の検査結果から求められます。健康な受診者の検査値から上下2.5%を除いた、95%内に含まれる数値が基準値とされます。
日本人間ドック学界では、医療機関によって若干のばらつきがある基準値を統一するために、全国のデータをもとに基準値のガイドラインを作成しています。日本人間ドック学界などによる認定施設や一部の医療機関では、このガイドラインが利用されています。

実際は「正常」でも異常値が出やすい項目があります
検査時の心理状態や食事などによって、実際には正常であるにもかかわらず、異常が疑われる数値が出やすい項目があります。以下はその代表的な項目です。

血圧
医師や看護師などに緊張して、血圧が上がることがあります。これを「白衣高血圧」といいます。ふだんから家庭で血圧を測定しておくと、白衣高血圧なのかどうかの判定に役立ちます。

総コレステロール
総コレステロール値が基準より高い場合、動脈硬化が起こる可能性が高くなりますが、閉経後の女性では閉経前よりも20mg/dlほど数値が高くなる傾向があります。多くの場合は心配ありません。

中性脂肪
検査前日に脂肪分の多いものを食べたり、アルコールを摂取していると、中性脂肪の値が一時的に高くなることがあります。

尿たんぱく
陽性の場合は腎炎などが疑われます。ただし、高たんぱくの食事をとったり、スポーツをしたり、強いストレスがあったりすると、病気がなくても尿たんぱくが陽性になることがあります。

検査結果が基準値から外れていた場合、病気の危険信号なのかどうかの判断が必要です。人間ドックでは、医師が問診で受診者の生活習慣なども確かめた上で、総合的に結果を判定します。

人間ドックで異常を指摘されたら、自覚症状がなくても精密検査を受ける

人間ドックの検査で異常を指摘された場合、医師の指示通り、再検査や精密検査を受けて病気ではないかどうか確認することが大切です。たとえ自覚症状がなくても、放置しておいてはいけません。

人間ドックについて

再検査や精密検査では、将来的に気になる可能性が高い状態なのか、すでに発症しているのか、何の病気なのかなどを調べます。特に重要なのは、がんかどうかの確認をすることです。
例えば、便潜血が陽性の場合は「大腸がん」が疑われます。また、腹部エックス線撮影での異常は「胃がん」「食道がん」「十二指腸がん」、マンモグラフィ超音波検査での異常は「乳がん」がそれぞれ疑われます。

眼底検査で異常が認められた場合は、視神経が障害され、視野が欠けるなどの症状が起こる「緑内障」の疑いがあります。緑内障は眼圧が高くなって起こるタイプのほか、眼圧が正常の範囲内でも起こるタイプ(正常眼圧緑内障)が多く見られます。眼圧に問題がなくても、眼底検査で異常が疑われたら、精密検査が必要です。

また、血圧の高い状態が続くと、動脈硬化が促進されます。動脈硬化は脳卒中や心臓病を引き起こすため、これらの病気の兆候がないかを調べる必要があります。


 
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