病院の検査の基礎知識

呼吸器の病気の検査の一覧

食べ物の栄養素は体内に取り込んだ酸素によって燃やされ、生命活動に必要なエネルギーに変換されます。その燃焼によって生じる二酸化炭素は、体には不要物ですから体外に排出されます。
この酸素の取り込みや二酸化炭素の排泄にかかわる気管を総称して呼吸器といい、大きく分けて気道、肺、胸郭の3つの部分から構成されています。

呼吸器系疾患

肺がん検診や人間ドックで、呼吸器の病気を調べる検査としては、一般に胸部X線による単純撮影が行われます。呼吸や咳・痰などに関する症状を訴えて外来に診察を受けに来た患者にも、まず、エックス線写真を撮るのが前提になります。ほかに肺活量を測定する肺機能検査や喀痰(かくたん)検査が実施されることもあります。

これらの検査で疑わしい病気があれば、動脈血分析、胸水穿刺、X線による胸部断層撮影、胸部CT、気管支内視鏡などの精密検査が行われることになります。

  • 肺がん検診…自覚症状に乏しい肺がんを早期発見します。一部公費負担で受診が可能です。
  • 胸部X線検査…肺炎、肺がん、肺気腫などの呼吸器系疾患の有無と程度がわかります。
  • 胸部CT検査…胸部X線の結果、肺がんや胸部の病気が疑われたときに行なわれます。
  • 気管支内視鏡…細い管を口から挿入して、気管や肺の内部を観察します。
  • 蛍光気管支内視鏡…正常な気管支組織は緑色に光り、がん組織は黒っぽく見えます。
  • 肺シンチグラム…肺動脈の血流障害や、呼吸機能を調べるために行われます。
  • 肺機能検査…肺の容積や、空気を出し入れする換気機能のレベルを調べます。
  • 酸素飽和度検査…動脈血の中に、酸素がどの程度含まれているかを調べます。
  • 呼気一酸化炭素濃度…喫煙で体内に取り込まれた一酸化炭素(CO)を調べます。
  • 動脈血ガス分析…採血した血液を血液ガス分析装置で分析し、呼吸機能を診断します。
  • 喀痰検査…痰を採取して、含まれている病的な成分を顕微鏡で観察します。
  • 肺結核の検査…高齢者の長引く咳と痰、発熱は結核の初期症状の可能性があります。
  • ピークフロー値…吐き出した呼気の最大流量のことで、気道の状態を把握できます。
  • 胸水穿刺…肺や胸膜、胸膜臓器に障害があると胸水は異常に増加します。
  • 肺生検…肺の病巣から組織片を採取して、呼吸器系疾患を鑑別します。
  • アプノモニター…無呼吸や低酸素が睡眠中に起こっていないかどうかがわかります。

動脈血ガス分析とは?

肺には大別して二つの機能があります。口や気管を通じて空気の出し入れをする換気機能と、血液との間で酸素や炭酸ガスのやり取りをする呼吸機能です。前者を調べる場合は肺機能検査を行い、後者を調べるときには動脈血ガス分析を行います。

POC向きの血液ガス分析装置

気管は二つに分かれていて左右の肺へ入り、肺の中で枝分かれを繰り返しながら、気管支枝から細気管支へといったように次第に細くなって、その先端は肺胞という袋がいくつもついています。一方、心臓から出た肺動脈は肺の中で気管支と同じように枝分かれをして最後は毛細血管となり、一つ一つの肺胞の表面を網の目のように取り巻いています。血液はこの毛細血管を通る間に肺胞から酸素を受け取り、肺胞の中へ炭酸ガスを捨てます。これが血液ガス交換の仕組みです。

肺炎や胸膜炎が起こると、このガス交換に支障をきたして、血液中の酸素や炭酸ガスなどの濃度が適正でなくなってしまうことがあります。そこで、動脈血ガス分析の検査では血液中に含まれているこれらの成分の濃度を調べ、そうした病気の診断に役立てます。

動脈血ガス分析はどのように行なうのか?
細い注射針を使って手首の橈骨(とうこつ)動脈、鼡径部の大腿動脈、腕の上腕動脈などから血液を採取します。採血した動脈血液を10分以内に血液ガス自動分析装置(写真参照)にかけて分析します。

血液ガスの基準値

  • pH(水素イオン濃度)…7.35〜7.45
  • PaO2(酸素分圧)…80〜100mmHg
  • PaCO2(二酸化炭素分圧)…35〜45mmHg
  • SaO2(酸素飽和度)…95%以上

検査結果の判定
pHが7.45以上のときには、アルカリ血症(アルカレミア)と呼ばれ、こうした病態をアルカローシスといいます。原因として、嘔吐などによって胃液が減少する酸喪失、利尿薬の乱用、バーター症候群やアルドステロン症などの腎臓・内分泌疾患などが考えられます。

一方、pHが7.35以下の状態は酸血症(アシデミア)で、こうした病態をアシドーシスといいます。原因として、下痢や糖尿病性アシドーシス、尿細管性アシドーシスなどがあります。重症の敗血症などの場合にも、乳酸が体内に蓄積した結果、高度の代謝性アシドーシスにいたることもあります。

動脈の中の酸素分圧(PaO2)が60mmHg以下になった状態、あるいは二酸化炭素分圧(PaCO2)が45mmHg以上になった状態を呼吸不全といいます。

異常があったらどうするか?
呼吸機能異常は、肺活量測定なども総合して診断します。異常があれば、胸部X線検査胸部CT検査、超音波検査、気管支内視鏡検査など、詳しい呼吸器の検査が呼吸器科で行われます。

代謝性アシドーシスを放置すると、小児では成長発達障害がみられます。また、年齢に関わらず高度のアシドーシスが持続すると、さまざまな臓器のはたらきが障害されます。低酸素血症が進行すれば、生命維持自体が危険になります。

動脈血液ガス分析で異常値が続くのは、何らかの重篤な病気を発症していることを意味しています。早期に適切な治療を受けることが大切です。

異常な場合に疑われる病気
低酸素血症、高炭酸ガス血症、呼吸不全、アシドーシス、アルカローシスなど

アプノモニター検査とは?

10秒以上呼吸が止まってしまうことを無呼吸といい、睡眠時に、この無呼吸が1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸がある状態を、睡眠時無呼吸症候群といいます。
この無呼吸症候群を診断するための簡易検査がアプノモニター(簡易睡眠時呼吸検知装置)です。
2003年に新幹線の運転手が、居眠りをし停車駅を通過するという事件でこの病気がクローズアップされました。最近の調査では、睡眠時無呼吸症候群のドライバーの4割が居眠り運転を経験していることが明らかになり、社会問題となっています。

睡眠中

無呼吸症候群の主なの症状としては、日中の眠気、朝の頭痛や倦怠感、記憶・集中力の減退、夜間の頻尿、睡眠中の大きないびき、あえぎ呼吸・窒息感などがあります。
睡眠時に無呼吸状態になると、十分な酸素を体に取り入れることができず、低酸素血症(いわゆる酸欠)になって心臓に大きな負担がかかります。
そのまま放置しておくと、狭心症、不整脈、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞など命にかかわる病気を引き起こす恐れがありますので注意が必要です。

アプノモニター検査で何がわかるのか?
睡眠中における鼻での呼気、口の呼吸(吸気)の流れ、いびきや気道を通る空気の音、酸素濃度を記録し、データを解析することによって、無呼吸や低酸素が睡眠中に起こっていないかどうかがわかります。

以前は病院に入院して検査が行なわれていましたが、普段とは違う環境下のため、被検査者の方がなかなか熟睡できず、正確なデータが得られないという欠点がありました。
しかし、近年はアプノモニターの小型化が進み自宅で検査を行なうのが一般的になっています。

アプノモニター検査はどのように行なうのか?
病院から貸し出される携帯型のアプノモニターを自宅に持ち帰り、寝る前に自分で装着します。寝る準備ができたら、アプノモニターから延びている3つのセンサーを取り付けます。

アプノモニター

まず、鼻での呼気と口の呼吸の流れを調べるため、蝶のような形をしたプラスチックのセンサー(写真中央のオレンジ色)の先端を、鼻孔にしっかりとテープで固定します。
次に頚部甲状軟骨(いわゆる喉仏)の下に、いびきや気道を通る空気の音をキャッチする喉センサー(写真左の先端が円形のもの)をテープで止めます。
3個目は、人差し指に、血液中の酸素飽和度を測定するためのセンサー(写真一番右の黒い筒状のもの)を取り付け、ずれないように指カバーで覆います。
夜中にトイレに起きても、モニターを外さずに自由に行けます。翌日、覚醒時に機会を外して検査は終了です。

基準値
一般的にはAHIが4以下(睡眠1時間あたりの無呼吸の平均回数が4回以下)の場合は正常です。
ただ、AHIが5以上がただちに異常と判断されるわけではなく、AHIが5〜20でも治療の必要ない軽症の人が多く含まれています。
しかし、AHIが20以上になると心筋梗塞などの重大な心血管系の合併症を引き起こし、それが原因で死亡する確率が急上昇するというデータがありますので、その場合はさらに詳しい検査が必要です。

検査を受けるときの注意

  • 睡眠時間があまりに短いと、記録できるデータ量が少なくなるため正確な判定ができません。そのため、睡眠時間は7時間以上、少なくとも5時間以上とるのが理想的です。
  • 睡眠を妨げないように、就寝前の飲水は少なめにしましょう。
  • センサーは寝返りをうったときにはずれないように、しっかりと装着して下さい。
  • 汗をかくと、鼻に取り付けた呼吸センサーがはずれてしまう恐れがありますので、夏場はなるべく涼しくしてお休み下さい 。

異常があったらどうするか?
記録されたデータから無呼吸の回数を解析して、睡眠時無呼吸症候群が疑われたなら、ポリソムノグラフィ(PSG:終夜睡眠時呼吸モニター)という検査を受けて、無呼吸症候群のタイプ(閉塞型か中枢型)の診断、無呼吸による酸素レベルの低下、無呼吸による睡眠の障害(睡眠の深さと無呼吸との関連)、寝ている体位による無呼吸の変化などを詳しく調べます。
ポリソムノグラフィは、呼吸(横隔膜や胸郭の運動)、心拍数、いびきの音、脳波、眼球運動、心電図、各種筋電図、血中酸素飽和度など、さまざまな情報を記録できる優れた検査ですが、一晩ないし二晩の入院が必要となります。

異常な場合に疑われる病気
睡眠時無呼吸症候群

胸部X線検査とは?

胸部X線検査は、咳が出る、痰が出る、胸が痛い、息苦しいなどの症状があるときに必ず行なわれる検査で、一般診療や健康診断などでも実施される単純撮影のことを指します。
エックス線は人体を通り抜けますが、骨のように通り抜けにくいところがあるため、通り抜けたX線を画面に写すと濃淡ができ、体内の様子を知ることができます。

胸部のエックス線写真

胸部X線検査は、X線検査の中で最も簡単な検査方法ですが、肺や心臓、肺の間にある縦隔などの期間の病気について、様々な情報を得ることができますので、幅広く行なわれています。

胸部X線検査で何がわかるのか?
肺炎、肺結核、肺がん、肺気腫、胸水、気胸、縦隔腫瘍をはじめとする呼吸器系疾患の有無、その程度を知ることができます。そのほか、心拡大も判定できます。

胸部X線検査はどのような検査か?
立位での正面像と側面像、ときには側臥位(検査台に寝て横向き)の像を撮影します。上半身裸になり、検査着に着替えます。撮影のときは息をしっかり止めないと写真がぶれるので注意が必要です。

正面撮影では、胸側にフィルムを置き、背中側からX線を照射します。大きく息を吸い、しっかり止めたところで撮影します。次に横を向き、同じように撮ります。側面像では、肺が心臓や横隔膜、助骨などと重なって、正面像では判定困難な変化を見つけることができます。
なお、側臥位撮影は胸水が疑われるときに行ない、胸水のたまり具合がよく判定できます。

検査結果の判定
健康の人の肺はX線写真に黒く写り、中心部の心臓などは白っぽく写ります。肺に腫瘍や炎症がなどの病変があると、白い陰影が写ります。不整な円形に近い白い影は肺がんなど、境界がぼやけて不明瞭な白い影は肺炎、肺結核などが疑われます。
また、胸膜に空気が溜まる気胸では、肺の縮んだ様子が写ります。

異常があったらどうするか?
肺がんが疑われるときには、胸部CT検査喀痰検査気管支内視鏡検査、腫瘍マーカーなどの精密検査を受けます。その他の肺の病気でも、X線断層撮影や肺機能検査などの専門的な検査を受けます。

異常な場合に疑われる病気

  • 肺…肺がん、肺結核、肺炎、気管支炎、肺気腫、気胸、胸膜炎、胸水など
  • 心臓…心肥大、心拡大、胸部大動脈瘤など

肺機能検査とは?

肺機能検査とは、肺の容積や、空気を出し入れする換気機能のレベルを調べる検査です。多くの検査項目がありますが、一般的に行なわれているのはスパイロメーターという計測器を用いる検査です。以下のような項目(肺気量分画)について調べられ、結果から肺機能を診断します。

スパイロメーター
  • 肺活量…空気を胸いっぱいに吸い込んで、それをすべて吐き出したときに、どれだけ多くの空気を吐き出したかを調べます。
  • %肺活量…年齢や性別から算出された予測肺活量(基準値)に対しての、実測肺活量の比率を調べます。
  • 努力性肺活量…胸いっぱいに息を吸い込み、一気に吐き出した空気の量を調べます。
  • 1秒量…努力性肺活量のうちの最初の1秒間に吐き出された空気の量を調べます。
  • 1秒率…努力性肺活量に対する1秒量の比率を調べます。
  • 残気量…息を吐ききったあとに、なお肺内に残っている空気の量を調べます。

肺機能検査で何がわかるのか?
息切れする、呼吸が苦しい、咳が出る、痰が出るなど、肺の病気が考えられる時に行ないます。
肺活量、%肺活量、努力性肺活量、1秒量、1秒率、1回換気量、残気量などを調べます。肺の病気の診断、重症度などを調べるのに役立ち、治療効果の測定にも使われます。気管支喘息の診断にも重要な検査で、手術のときの麻酔法の選択の時にも利用されます。

肺機能検査はどのような検査か?
スパイロメーターという機械を使って測定します。まず、肺活量を測ります。鼻をノーズクリップで止め、呼吸管を接続したマウスピースを口にくわえ、静かな呼吸を数回繰り返した後、一度大きく息を吐き(最大呼気)、次に大きく息を吸い(最大吸気)、さらに大きく息を吐きます(肺活量)。これを2〜3回繰り返します。

次に、努力性肺活量、1秒量を測定します。まず、静かな呼吸を2〜3回繰り返したのち、大きく息を吸い、一気に強い息を全部吐きます(努力性肺活量)。呼吸量はグラフに表れ、1秒間の呼吸量を測り(1秒量)、呼気率を計算します(1秒率)。

基準値
%肺活量で80%以上、1秒率は70%以上が基準値となっています。
肺活量の基準の目安は、成人男性で3500cc、成人女性は2500ccですが、基準の範囲より多すぎても少なすぎてもいけません。ただし、年齢、性別、身長などによって基準値は異なるので、疑問があれば担当の医師にたずねてください。

検査結果の判定
%肺活量が80%未満の場合は、肺結核や肺線維症など、肺の空気を入れる容量が少なくなる拘束性肺機能障害が考えられます。
1秒率が70%未満の場合は、気管支喘息、気管支拡張症など、空気の通り道が狭くなる閉塞性肺機能障害が疑われます。
%肺活量、1秒率がともに低い数値を示す場合は、混合性換気障害が疑われます。混合性を示すケースとしては、肺気腫などが挙げられます。

異常があったらどうするか?
胸部X線検査胸部CT検査動脈血ガス分析、血液検査などの精密検査を受けて病気が判明したら、きちんと治療を受けましょう。

異常な場合に疑われる病気
肺結核、肺線維症、気管支喘息、気管支拡張症、肺気腫など、慢性の呼吸器疾患

喀痰検査とは?

喀痰(かくたん)検査とは、痰を採取して、その中にどのような病的な成分が含まれているかを顕微鏡で観察する検査で、呼吸器の病気を診断するためには不可欠なものとなっています。

顕微鏡で痰の変化を調べる

痰は呼吸器系の粘膜からしみ出る分泌物で、その成分には、肺や気管支、咽喉頭など気道からはがれた細胞も含まれています。これらの細胞に異常があったり、異物(細菌、ウイルス、ほこりなど)や血液成分が混じっていたりすると、痰に変化があらわれます。痰を調べれば、肺や気管支など呼吸器のさまざまな情報を得ることができるのです。

喀痰検査で何がわかるのか?
痰の検査には、細菌検査と細胞診とがあります。

喀痰細菌検査
痰に混じっている細菌や真菌(カビ)など、肺炎や気管支炎の原因になっている菌を突き止めます。この検査には、採取した痰をガラスに塗りつけて顕微鏡で菌を見つける塗抹検査と、痰の中の菌を培養で増やし、菌の種類を確認する培養検査の2つの方法があります。菌の培養には2〜3日、結核菌は2ヶ月ほどかかります。

喀痰細胞診
単に混じった細胞を顕微鏡で調べ、がん細胞がないかどうかを調べる検査です。ブラッシングといって、気管支内視鏡を入れて粘膜を擦り取り、それを顕微鏡で調べることもあります。
がんの確定診断には、がん細胞を証明することが必要です。肺がんは、痰の中にがん細胞が排出ことも多く、そのため肺がんの診断の一つとして喀痰細胞診が行なわれています。

喀痰検査はどのような検査か?
痰を出して調べます。肺がんの検診では、毎朝起きたときに3日続けて痰をとり、それを医療機関に持参するか、検査施設に郵送します。喀痰検査は自己採取のため、不良検体となることもあるので、採痰のしかたについて正しい指導を受けることが大切です。

検査を受けるときの注意点
採痰すろときは、必ずうがいをして口の中をきれいにします。これは食物の残りかすなどが痰の中に混ざり、がん細胞との鑑別が難しくなることがあるからです。

痰を出すときは、強い咳をしながら深部のほうから、固定液の入った採痰専用の容器の中に直接、出すようにします。なかなか痰がでないときは、蒸気を吸入する(茶碗などに湯を注ぎ、その湯気を吸う)と、痰が増えて出やすくなります。

とれた痰は、蓋をして固定液と混じるように、強く振ってよく攪拌します。これは、固定液には細胞をばらばらにする作用があり、攪拌しないと喀痰は塊の状態で変性し、正確な検査ができないためです。

検査結果の判定
喀痰細菌検査で原因菌を明らかにし、培養検査の際、色々な薬剤を加え、その薬が効くかどうかの感受性試験を行ない、治療薬を決定します。
喀痰細胞診で調べた細胞を、正常細胞を1、がん細胞を5とし、疑わしさの程度によって5段階に分類します。

異常があったらどうするか?
原因菌が見つかれば、それに対する治療を行ないます。がん細胞が見つかったときには、直ちに精密検査を受け、適切な処置をとります。

異常な場合に疑われる病気
肺がん、肺結核、細菌性肺炎、非細菌性肺炎(マイコプラズマなど)、肺真菌症、気管支炎など

気管支内視鏡検査とは?

気管支内視鏡検査とは、ファイバースコープという細い管を口から挿入して、気管や肺の内部を観察する検査です。同時に、病変部の組織を採取したり、擦り取ったり(擦過)、分泌液を調べる細胞診も行ないます。

気管支内視鏡写真

気管支内視鏡検査で何がわかるのか?
病変の場所、状態、大きさなどがわかります。採取した細胞を顕微鏡で調べることによって、がんの確定診断が下せます。肺がんのほか、気管支炎、気管支拡張症、肺線維症などの診断に役立ち、出血している場所の確認も行なわれます。

正常気管支組織とがん組織の自家蛍光(特定の波長の光に反応して光る性質)が異なること利用して、門型(中心型)肺がんや前がん病変の早期発見しようという蛍光気管支内視鏡検査もあります。

気管支内視鏡検査はどのような検査か?
検査着に着替え、咳や分泌物を抑える注射をした後、喉にスプレーを吹きつけ麻酔をします。まず、ファイバースコープを円滑に挿入するためのチューブを通し、そのあとファイバースコープを入れていきます。ファイバースコープの太さはおよそ5mmで、喉を通るときに息が詰まるような感じがして吐き気をもよおす場合もありますが、すぐにおさまりますので心配はいりません。
検査時間は組織の採取も含めておよそ30分です。検査後1〜2時間の安静が必要となります。

検査を受けるときの注意

  • 前日の夕食を食べた後は絶食します。
  • 検査の前に深呼吸をして全身の力を抜きます。
  • ファイバースコープを口から気管に挿入するとき、咳や吐き気を催すことがありますが、我慢しましょう。咳がどうしても我慢できない場合は、咳止めの薬がその場で出されます。
  • 検査中は声が出せませんので、苦痛などがあれば手で合図をします。
  • 検査後2時間は飲食は禁止です。麻酔が残っているため、間違って気管に入ってしまうことがあるのを避けるためです。
  • 検査の後血痰が出ることがありますが、心配はいりません。あまり多く出るようであれば、医師に連絡しましょう。

検査結果の判定
病変の観察結果と、細胞診(7〜10日後)の結果によって、判定します。

異常があったらどうするか?
この内視鏡検査を行なえば、診断が確実なものになりますから、医師の指示に従って、治療を受けることが大切です。

異常な場合に疑われる病気
肺がん、気管支がん、気管支炎、肺炎、気管支拡張症、肺線維症、びまん性間質性肺疾患などの呼吸器系の病気

胸部CT検査とは?

胸部CT検査は咳や痰、胸痛などの症状があり、胸部X線検査を行なった結果、肺がんや胸部の病気が疑われたときに行なう検査です。CT(コンピュータ断層撮影)は、X線照射による変化をコンピュータで解析し、胸部の断層写真として画像に表わすものです。

胸部CTの画像

胸部CT検査で何がわかるのか?
肺や気管、気管支などの病変を見つけるために行なわれます。特に、肺がんの診断には、いまや欠かせない検査となっています。また、胸膜や肺の生検(組織や臓器の一部を採取して調べる検査)を、CTで病変の部位を確認しながら行なう際にも利用されます。

胸部CT検査はどのような検査か?
検査着に着替え、検査台に仰向けに寝ます。造影撮影するときには、造影剤を100ml静脈注射します。検査台を円筒状の装置の中に進めて、X線を照射します。X線を発するX線管球と透過したX線を受ける検出器を回転させながら撮影をします。
1枚の撮影に15〜30秒かかりますが、その間は息を止めて体を動かさないようにします。
検査全体は10〜15分で終わり、痛みは全くありません。また、X線被爆による副作用なども心配ありません。

検査結果の判定
がんは比較的輪郭のはっきりした白い影が映り、がんの大きさ、場所、浸潤の度合いなどがわかります。リンパ節の腫れをみることで、腫瘍が良性か悪性か、他臓器への転移の可能性があるかどうかを疑う材料にもなります。
肺炎ではうっすらとした影がみられ、肺結核では空洞や小さな結節の影が写ります。肺気腫では肺胞が壊れれ、スポンジのような空洞がみられ、気管支が細くなっているのがわかります。気管支拡張症では気管支の壁が拡張して不整になっています。
また、左右の肺の間を縦隔といい、血管や神経などが通っていますが、その部分の病変やがんの進展などがみられます。

異常があったらどうするか?
CT検査で病気が発見されたら、それはほぼ確実な診断ですので、さらに必要な検査を受けるとともに、医師の指示に従って治療を進めます。

異常な場合に疑われる病気
肺がん、肺炎、肺結核、肺気腫、気管支拡張症など

酸素飽和度検査とは?

慢性の息切れが起こる代表的な病気にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)があります。酸素飽和度検査は安静時の動脈血の中に、酸素がどの程度含まれているか(酸素飽和度)を調べる検査で、COPDを診断する際に、スパイロメーターによる肺機能検査や6分間平地歩行テストとともに行われます。

肺のガス交換機能が低下すると値が下がります

検査方法はいたって簡単で、指先にパルスオキシメーター(写真参照)という機器をつけるだけで、簡単に測定できます。赤色光と赤外光を当て、通過した光の強度からヘモグロビンの比率を測定しますので、痛みなどは全くありません。酸素飽和度が90%以下の場合は、肺機能が低下していて、酸素と二酸化炭素のガス交換が上手くいっていないと推測できます。

息切れを起こす病気は、COPDのほかにも、急性気管支炎、肺炎、気管支喘息、間質性肺炎(肺線維症)、肺がん、うっ血性心不全などが考えられます。COPDとこれらの病気とを鑑別するために、血液検査、胸部エックス線検査心電図検査などを受ける場合があります。


 
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