病院の検査の基礎知識

血液の異常を調べる検査の一覧

血液は、からだの隅々を駆け巡り、各細胞に必要な酸素や栄養素を運び、古くなった代謝産物や老廃物を運び去る、という大切な働きをしています。その血液の中身を調べれば、全身の組織や臓器の状態や異常がわかるもので、健康診断や人間ドックでは必ず血液検査が行われます。
血液自体の病気もわかり、赤血球系、白血球系、血小板系、血漿タンパクの4つに大別される血液の病気のうち、どの系統なのか最初に見当をつけることができます。

血液を採取して調べます

  • 赤血球数…血液一般検査の基本項目のひとつ。貧血や多血症の有無がわかります。
  • 網状赤血球数…貧血など、血液をつくるもとが関係している病気を調べます。
  • ヘモグロビン量…赤血球数とヘモグロビン量とを比較し、貧血のタイプを調べます。
  • ヘマトクリット…血液中にどれくらい割合で赤血球が含まれているかを調べます。
  • 白血球数…細菌感染による炎症を起こしているかどうかの判定に役立ちます。
  • 白血球分画…好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の増減を調べます。
  • 血小板数…貧血があって慢性出血が疑われるときに必ず行なわれます。
  • 骨髄穿刺…造血機能や血球の熟成度がわかり、血液病の診断に欠かせません。
  • 赤沈…赤血球沈降速度の略で、主に炎症をともなう病気の有無や程度がわかります。
  • 出血時間…血液凝固に関わる血小板の機能と毛細血管の状態がわかります。
  • プロトロンビン時間…外因系の凝固因子の異常を見つけるために行なわれます。
  • 活性化部分トロンボプラスチン時間…血友病のスクリーニングとして重要です。
  • フィブリノゲン…急性の炎症や組織破壊が起きていないかを調べます。
  • トロンボテスト、ヘパプラスチンテスト…血液の凝固する力がどの程度かを調べます。
  • FDP、Dダイマー…体のどこかに血栓ができて、線溶現象が亢進しないかを調べます。
  • 凝固因子活性検査…血液凝固因子の働き具合を調べます。

ヘマトクリットとは?

採血した血液を試験管に入れて放置していると、黄色い液体部分と赤い沈殿部分に分かれます。液体部分は血清と呼ばれ、大部分を水分が占め、少量のたんぱく質なども含まれています。一方、沈殿部分には赤血球、白血球血小板が含まれています。
ヘマトクリットとは、一定量の血液中にどれくらい割合で赤血球が含まれているかを調べる検査です。

採取した血液を遠心分離器にかけます

ヘマトクリットの検査で何がわかるのか?
ふつう、赤血球数が減ると、ヘモグロビン量は減り、ヘマトクリットの値も下がります。このように、3つの値は密接に関係して増えたり減ったりしています。これらのデータをもとにして、貧血の種類をおおよそ診断できます。
また、簡単に行えるため、大出血で病院に搬送された際にまず行われる検査のひとつで、この数値によって輸血をするかどうかの決定もなされます。

ヘマトクリットの値はどのように測定するのか?
採取した血液を遠心分離器で固形成分と血漿(上澄み)に分けて、あるいは自動血球計測器を使用して測定します。

基準値

  • 男性…40〜52%
  • 女性…35〜47%

数値は、新生児や生理前の女性は高値になりやすく、高齢者や妊婦は低めに出ることがあります。日内変動もみられ、朝は高く、夕方は低くなります。数値の多少の変動は心配する必要はありません。

検査結果の判定
ヘマトクリット値が低ければ、血液が薄いということを意味しているので、貧血が疑われます。大部分は女性に多い鉄欠乏性貧血、ついで多いのが悪性貧血、再生不良性貧血、白血病やがんの転移による貧血です。

逆にヘマトクリット値が高ければ、血液はどろどろの状態で流れにくく、詰まりやすくなります。この場合、多血症が疑われます。多血症は赤血球を作る骨髄の組織が異常増殖する一種のがんと考えられますから、治療が必要となります。また、脱水症などの体液の異常などでも高値を示します。ただし、新生児や生理前の女性にみられる高値の場合は、特に病気というわけではないので心配要りません。

異常があったらどうするか?
赤血球数やヘモグロビン量の検査結果を加味して赤血球恒数を求めれれば、貧血の種類や性質をおおよそ診断することができます。貧血には、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血などがあり、その種類によって二次検査や治療方法が異なります。

診断の結果、鉄不足による鉄欠乏性貧血であれば、肉や魚、レバー、緑黄色野菜などを多めにとる食生活に切れかえれば、1〜3ヶ月程度で症状は改善します。通常でも不足しがちな鉄分、ビタミンB12、葉酸(ビタミンB12と葉酸は協力して、赤血球のヘモグロビンの合成を助けます)をしっかりとって、貧血状態にならないようにしましょう。

多血症と診断された場合は、慢性の呼吸器疾患や先天性の心臓疾患が隠れている可能性もあるので、一度詳しくその原因を調べる必要があります。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…多血症、脱水症など
  • 低値…鉄欠乏性貧血、再生不良貧血など

赤血球数とは?

赤血球は、胸骨や大腿骨・頚骨の内部にある骨髄の幹細胞でつくられている血液の主成分で、体の各部の組織細胞へ酸素を運びこみ、二酸化炭素を運び出す働きをしています。
赤血球の数が減ると必要なだけの酸素が送られなくなり、貧血状態になります。逆に数が多すぎると(多血症)、血液の流れが悪くなって血管が詰まりやすくなります。

赤血球

赤血球数の検査はこれら貧血や多血症の有無を知るために行なわれますが、全身状態を把握する上でも有効なため、血液一般検査の基本項目のひとつとなっています。

赤血球数はどのように測定するのか?
以前は、静脈などから採血し、抗凝固剤(EDTA塩)を加え、顕微鏡で単位容積(μl=mm3)あたりの赤血球を数えていましたが、現在は、採取した血液を自動血球計数器にかけて測定します。

このとき同時に、白血球数血小板数網状赤血球数ヘモグロビン量ヘマトクリットも調べることができ、貧血の診断に大切な赤血球恒数(赤血球指数)も算出してくれます。赤血球恒数には次の三つがあり、これを検討することで貧血の種類を診断することができます。

  • 平均赤血球容積(MCV)…ヘマトクリット÷赤血球数で算出するもので、赤血球の平均の容積つまり大きさがわかります。
  • 平均赤血球色素量(MCH)…ヘモグロビン量÷赤血球数で算出。1個の赤血球に含まれるヘモグロビン量の平均値が得られます。
  • 平均赤血球色素濃度(MCHC)…ヘモグロビン量÷ヘマトクリットで算出。一定量の赤血球の中にどれくらいのヘモグロビンがあるかがわかります。

赤血球数の基準値(電気抵抗法)

  • 男性…430〜570万/μl
  • 女性…390〜520万/μl

検査結果の判定
男女とも1μl(=1mm3)中の赤血球数が300万個以下の場合は、明らかな貧血と診断されます。
逆に貧血ほど多くはありませんが、赤血球の数が増えすぎて600〜800万個になることがあります。
これは多血症(赤血球増多症)と呼ばれ、血液が濃くなって流れにくくなり、血管が詰まりやすくなります。

貧血は原因によっていくつかの種類に分類されますが、前述の平均赤血球容積(MCV)と平均赤血球色素濃度(MCHC)の数値を比較することによって、それを診断することができます。

  • MCVが上昇しMCHCが正常…大球性正色素性貧血(悪性貧血といわれるものでビタミンB12や葉酸の不足が原因)。
  • MCVもMCHCも正常…正球性正色素性貧血(赤血球が脊髄で作られない再生不良性貧血、赤血球が破壊される溶血性貧血など)。
  • MCVもMCHCも低下…小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血のことで、鉄の欠乏によって起こり、貧血の大部分を占める)。

日本人に最も多いのは鉄欠乏性貧血で、少しからだを動かしただけで動悸がします。原因は、赤血球の材料である鉄分の不足です。過度のダイエットなどによる栄養不足や、腸からの鉄分の吸収が不十分な場合、整理の出血や子宮筋腫などの要因となります。
また、胃がんや胃潰瘍、痔、尿路障害などが隠れていて、本人に気付かないうちに出血を起こしている可能性もあります。

異常があったらどうするか?
再検査で正確な数値を出し、それでも異常があれば精密検査を受けてその原因を明らかにすることが大切です。
鉄欠乏性貧血なら、栄養バランスの取れた食事を心がけ、鉄分の多い食品と緑黄食野菜を日常的にとるようにしましょう。

一方、著しい貧血の場合は、悪性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、白血病などの悪性の病気であることが多いため、白血球数、血小板数(この二つは赤血球数測定の際、いっしょに測定されています)、白血球分画骨髄穿刺などの検査を行ないます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…多血症、脱水など
  • 低値…各種貧血(鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、慢性出血性貧血)、白血病など

ヘモグロビン量とは?

ヘモグロビンとは、赤血球中の大部分を占めている血色素のことで、ヘムという色素とグロビンというタンパク質からできています。赤血球中のヘモグロビンは、酸素を体内の組織に運び、かわりに二酸化炭素を受け取って肺まで運んできて放出し、再び酸素と結びついて各組織に運ぶという重要な働きを担っています。

ヘモグロビンの酸素運搬機能

必要量のヘモグロビンが作られない場合、酸素の運搬が十分に行われないため、貧血状態になります。足りない酸素を補うために血液の循環が速くなって動悸を引き起こしたり、呼吸運動が盛んになって息切れしたりします。

ヘモグロビン量を調べると何がわかるのか?
貧血には、赤血球の数が減ると同時に1個の赤血球に含まれるヘモグロビンも減る小球性低色素性貧血と、1個の赤血球に含まれるヘモグロビンの量は同じで、赤血球の数が減少する正球性正色素性貧血とがあります。赤血球数とヘモグロビン量とを比較することによって、いずれかの判別ができます。また、輸血を行なう際の指標としても用いられています。

ヘモグロビン量はどのように測定するのか?
血液を採取し、自動血球計数器にかけると、赤血球数白血球数血小板数網状赤血球数などと一緒に測定されます。なお、検査当日の飲食は普通でかまいません。

基準値

  • 男性…13.0〜16.6g/dl
  • 女性…11.4〜14.6g/dl

検査結果の判定
ヘモグロビン量が基準値を下回ったら、詳しい検査を受ける必要があります。貧血の正確な判定にはヘモグロビン量、赤血球数、ヘマトクリットの値を一定の公式にあてはめて算出する赤血球恒数(赤血球指数)が用いられます。
赤血球恒数は、貧血の原因、種類、性質などを区別する上で有効な検査で、次のようなものがあります。

  • 平均赤血球容積(MCV)…各赤血球の占める容積の平均値を表わし、赤血球の大小がわかります。
  • 平均赤血球色素量(MCH)…各赤血球中に含まれるヘモグロビン量の平均値を表わします。
  • 平均赤血球色素濃度(MCHC)…一定量の血液中の赤血球容積に対するヘモグロビン量の割合を%で表わします。

基準値は、MCVが83〜99μm3、MCHが27〜31pg、MCHCが32〜36%となっています。MCV、MCHCが基準値の下限を下回っていた場合は小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血など)、MCVが増加すれば大球性色素性貧血(悪性貧血など)、MCVおよびMCHCがともに正常であるものにもかかわらず、貧血を呈する場合は正球性正色素性貧血(再生不良性貧血、溶血性貧血など)と診断されます。

異常があったらどうするか?
精密検査で貧血の原因を調べ、正球性正色素性貧血であれば専門医の指導で治療を受けます。また、体のどこかに出血があればその治療をすることが必要です。
小球性低色素性貧血では、ヘモグロビン内に存在する鉄が欠乏し、ヘモグロビンの合成能力が低下して貧血が起きているので、牛・豚・鶏のレバー、生かき、干しエビ、ごま、きな粉、ナッツ類、ココアや緑黄食野菜などの鉄分を多く含む食品を日常的に摂るようにしましょう。そうすれば1〜3ヶ月で治ります。

異常な場合に疑われる病気
各種貧血(鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、慢性出血性貧血)、白血病など

網状赤血球数とは?

網状赤血球とは、成熟した赤血球になる1段階前の未熟な赤血球のことです。赤血球をニューメチレンブルーという色素で染めて顕微鏡で見ると、赤血球中のRNAという物質が網目状に染まって見えることからこの名前がつきました。赤血球の寿命は約120日ですが、網状赤血球は2日以内に成熟した赤血球になります。

イラスト

網状赤血球数を調べると何がわかるのか?
網状赤血球は、赤血球の骨髄での産生状態を表すので、貧血など、血液をつくるもとが関係している病気を調べるためには欠かせません。また、抗がん剤や放射線療法の副作用で造血機能の低下が起こることもあるので、それを調べる上でも役立ちます。

網状赤血球数はどのように検査するのか?
以前は、採取した血液を一滴だけガラスの上に採り、色素で染色して、顕微鏡で見ながら赤血球1000個中に網状赤血球がいくつあるかを数えていました。しかし、最近では網状赤血球数を計測できる自動血球計数器で測定することが多いです。

基準値
網状赤血球数の測定値は、赤血球数に対する比率(%)で表し、基準値は0.5〜1.5%です。また、骨髄での造血能力を知るためには、網状赤血球数の絶対数も把握する必要があります。具体的な数字で見てみると、比率が同じ1.0%でも赤血球数が500万/μlの場合では5万/μlですが、250万/μlの貧血状態では2.5万/μlで、造血能力は半分になり、相対比率だけでは正しく把握できないこともあるためです。

網状赤血球の絶対数の基準値は、男性が8000〜11万/μl、女性は8000〜12.5万/μlで、自動血球計数器では比率と絶対数が同時に測定できるようになっています。

検査結果の判定
網状赤血球数が増加している場合は、骨髄で赤血球がさかんに作られていることを示しています。例えば、赤血球が破壊(溶血)されて貧血が起こっているときは、それを回復させようと、骨髄で赤血球数の産生が増すとともに、網状赤血球も増加します。ですから、溶血性貧血では網状赤血球数が6〜7%と著しく増加します。

赤血球が出血で減った場合も、それを補うために骨髄で赤血球を作るので、網状赤血球が増えることがあります。また、巨赤芽球性貧血や骨髄異形性症候群のように、骨髄で母細胞が壊される病気でも増加を示します。

一方、網状赤血球数が減少している場合は、骨髄での造血機能が低下していることを示しています。最初に疑われる病気は再生不良性貧血ですが、急性白血病や抗がん剤治療の後で骨髄機能が弱っている場合などでも減少することがあります。

異常があったらどうするか?
一般に貧血があってもこの測定値が高いほうが治りやすいとされていますので、数値が低値のほうが注意が必要です。血小板数白血球数骨髄穿刺などのさらに詳しい検査を行なって、病気を診断し、専門的な治療を受けましょう。
なお、溶血性貧血や出血では、骨髄の造血能力が抹消血の網状赤血球数に反映されるまでにおよそ1週間かかりますので、この時期に再度検査する必要があります。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…溶血性貧血、鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血など
  • 低値…再生不良性貧血、骨髄線維症、急性白血病など

白血球数とは?

白血球は血液の成分の一つで、異物の進入に対抗してからだを守る働きをしています。外部からの細菌など異物がからだに入ってくると、白血球の数が増加して、その異物を自らの中に取り込んで消化し無害化します。したがって、細菌感染症などの病気にかかっているときは、血液中の白血球数が増えます。
また一方、骨髄の造血機能の低下などがあると、白血球数は減少します。
こうしたことから、一定量の血液中に含まれている白血球数を測定して、病気の有無を確認する検査が広く行われるようになりました

白血球

白血球数はどのように検査するのか?
血液を採取して、自動白血球計数器で測定します。

基準値
白血球の正常値は、年齢によって異なります。成人の場合は、3300〜9000/μlとなっていますが、生まれたばかりの新生児や幼児は、成人よりかなり多めです。なお、白血球数は朝と夜、喫煙、運動、ストレス、食事、入浴などによって10〜15%ほど変動しますので、正常値から少しはずれたからといって、それほど心配する必要はありません。

検査結果の判定
白血球数が増加している場合には、感染によって細菌が体内に侵入したと考えられます。外傷もないのに白血球数が急増したら、扁桃炎、肺炎、胆嚢炎、腎盂炎、虫垂炎などの炎症が起こっていると疑われます。
また、白血病などで骨髄が異常増殖を起こした場合も、白血球数は著しい増加を示します。

白血球数が少ない場合は、体の防御反応が低下して、病気にかかりすいことを意味しています。急性骨髄性白血病(38歳の若さで急逝された歌手の本田美奈子さんもこの病気と闘っておられました)の初期には3000個以下の数値を示すことがあります。このほかに、再生不良性貧血、薬剤アレルギー、抗がん剤治療の副作用、肝硬変などでも白血球数の減少がみられます。

異常があったらどうするか?
検査で異常値を示した場合には、再検査や血液像(白血球分画)赤沈(血沈)血小板数などの血液検査、さらにCRP、シアル酸などの炎症マーカーの測定などが必要となります。
再検査の結果が基準値の範囲内で、自覚症状がなく、ほかの検査でも異常が認められなければ、心配はいりません。

扁桃炎や腎盂炎、気管支炎などの急性炎症で白血球が増えている場合は、治療によって炎症が治まれば白血球数も正常に戻ります。ヘビースモーカーの人は、気管や気管支に慢性の炎症を起こして白血球数が30%ほど増える傾向にありますので、出来るだけ喫煙の本数を減らしましょう。

白血球数が著しく増加していて白血病や敗血症の可能性があるときは、早急の治療が必須となりますので、ただちに入院して骨髄の検査(骨髄穿刺)を受ける必要があります。

白血球数が少なすぎる場合は、体の防御反応が低下し、細菌などに感染しやすくなります。1000個以下と極端に減少したとき、重い敗血症を起こす可能性が高くなります。すぐに無菌室に入らないといけない非常に危険な状態です。
このような場合も、原因となる病気を突き止めるために骨髄検査を受けなくてはなりません。
また、さまざまな薬剤の副作用で白血球が減少することもありますので、薬剤を服用している場合は、ただちに中止する必要があります。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…細菌感染による炎症(扁桃炎、肺炎、胆嚢炎、腎盂炎、虫垂炎)、がん、慢性骨髄性白血病、敗血症など
  • 低値…再生不良性貧血、悪性貧血、肝硬変、薬剤障害、急性白血病、全身性エリテマトーデスなど

血小板数とは?

血小板は血液の成分の一つで、欠陥の損傷に反応し、出血を止める働きをしています。怪我をしたあとで自然に血が止まるのは、この血小板が正しく機能している証拠です。
血管が破れると、血液中の血小板がその穴の部分に次々と集まってきて穴をふさぎ、やがて固まっていくのです。

血小板

また、血液の凝固には血小板のほか、凝固因子と呼ばれるタンパク質も関わっています。凝固因子はおよそ10種類ほど存在し、主に酵素や補酵素としての働きをもっています。
しかし、通常は酵素としての働きはありません(不活性型)が、血管損傷などの引き金が出現する酵素として働きます(活性型)。これら活性型凝固因子の複雑な連鎖反応の結果フィブリンという凝固塊(血餅)が出来て止血します。
なお、凝固因子がかかわる検査には、出血時間プロトロンビン時間活性化部分トロンボプラスチン時間トロンボテスト、ヘパプラスチンテストフィブリノゲンFDP、Dダイマーなどがあります。

血小板数を調べると何がわかるのか?
血小板の数が減少したり、その機能が低下すると、出血が止まりにくくなります。ですから、ちょっとしたことで青あざができたり、出血がなかなか止まらなかったり、鼻血が出やすい、貧血があって慢性出血が疑われるときに必ず行なわれる検査です。
逆に、血小板の数が多くなりすぎると、血液が固まりやすくなり、血液が固まってできた血栓が血管をふさいで、脳梗塞や心筋梗塞などの危険性が高くなります。

血小板数はどのように検査するのか?
血液を採取して、自動血球計数器によって測定されます。検査当日の飲食は普通にとってかまいません。

基準値
13.0万〜34.9万/μlが基準値となります。

検査結果の判定
血液1μl中の血小板数が10万個以下で血小板減少症、40万個以上で血小板増多症とされます。10万個以下になると血が止まりにくくなり、さらに5万個を切ると自然に鼻血が出たり皮下出血が始まって紫色の斑点が出たりします。3万個以下では腸内出血や血尿、2万個以下になると生命も危険になります。

血小板の減少による病気は、血小板減少症または血小板減少性紫斑病といいます。原因不明の突発性血小板減少性紫斑病と、白血病や再生不良貧血などの進行とともに血小板が減少する二次性血小板減少症があります。血小板の破壊による減少では、肝硬変、バンチ症候群、全身性エリマトーデスなどが考えられます。逆に慢性白血病や多血症によって血小板数が異常に増えた場合でも、止血作用が低下するので危険です。

異常があったらどうするか?
血小板数が10万個以下、あるいは40万個以上の場合は精密検査や治療が必要となります。
また、血小板は、その数だけではなく凝集能力にも注意が必要です。血小板のくっつく能力が亢進する(高まる)と血栓がつくられ、これが脳血管や心臓の冠状動脈につまって脳梗塞や急性心筋梗塞などを引き起こすことになります。
凝集能力を調べる血小板機能検査は、血小板数が基準内でも出血傾向がみられる場合や、血小板減少症などのときの行ないます。

血小板が極端に増加している場合には、血栓症予防のためにアスピリンやワーファリンなどの薬剤を投与します。

血小板の異常な増減には重い病気が隠されていることが多いので、血液内科のある専門病院で精密検査を受けることが大切です。

異常な場合に疑われる病気

  • 低値…血小板減少性紫斑症、急性白血病、再生不良性貧血、悪性貧血、肝硬変、バンチ症候群、全身エリテマトーデスなど
  • 高値…骨髄増殖性疾患(本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、血栓症など

出血時間とは?

止血機能を調べるため、皮膚に小さな傷をつけ、実際に自然に血が止まるまでの時間を測定する検査のことです、なかなか血が止まらない場合は、止血機能を持つ血小板の数や働きに異常があるか、または血管壁がもろくなっている疑いがあります。

デューク法のよる検査

出血時間の検査で何がわかるのか?
出血した血液が自然に固まるまでの時間を調べることによって、血液凝固に関わる血小板の機能(粘着能力と凝集能力)と毛細血管の状態がわかります。
また、手術などでは体を傷つける必要があるので、手術前に傷からの出血が止まるか否かを検査しておくことは重要となります。その際にも出血時間の検査が行なわれます。

なお、この検査では、必ずしも正確な数値が出るとは限らない(ばらつきが出ます)ので、最近は、血小板数プロトロンビン時間活性化部分トロンボプラスチン時間など、客観的な数値の得られる検査を行なう傾向にあります。

出血時間はどのように調べるのか?
一般によく行われいるのはデューク法という検査方法です。まず耳たぶに2mm程度の小さな傷をつけて出血させ、30秒おきに濾紙で血をふきとります。血が完全につかなるなるまで続け、出血が止まるまでの時間を計ります。

検査を受けるときの注意
検査前に運動をしたり、耳たぶをもんだりすると、正しく測定できなくなります。解熱鎮痛剤のアスピリンも出血時間を延長させてしまうので、検査前の10日くらいから服用しないようします。

基準値と許容範囲
2〜5分(デューク法)

検査結果の判定
異常値の場合は特発性血小板減少性紫斑病や全身性エリテマトーデス、がんの転移、白血病、血管内血液凝固症候群といった原因が考えられます。これらは血小板の数を異常に減少または増加させる病気です。

これとは別に、血小板の働きがおかしくなっている可能性もあり、その場合は血小板無力症や尿毒症、骨髄腫などが疑われます。また、遺伝性出血性毛細血管拡張症やビタミンC不足による壊血症の場合は血管に異常があり、血が止まりにくくなります。

異常があったらどうするか?
血小板数やプロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間などの検査をするとともに、その他の精密検査を受け、原因を見つけて治療します。
血小板の減少が3万/μl以下ならば大出血の危険性が大きいため、血小板補充(血小板輸血)を行ないます。毛細血管の異常がある場合には、ビタミンCやKを補充して血管を強化します。

異常な場合に疑われる病気
血小板減少性紫斑症、全身性エリテマトーデス、血管内血液凝固症、血小板無力症、骨髄腫、尿毒症、フォン・ウィレブランド病、壊血病など

血液像(白血球分画)とは?

一般に白血球といっているのは、5種類の重要な白血球(好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球)を総称しているもので、これを白血球分画といいます。これらの分画にはそれぞれ異なる形態・性質があり、正常な状態のときはそれぞれの占める割合が一定範囲内に保たれていますが、からだになんらかの異常が発生するとお互いの比率に変化が現れます。

血液像

それというのも、5つの分画にはそれぞれの役割があって、異常の種類に応じてそれに対抗するある分画だけが増加したり減少したりするからです。血液像(白血球分画)の検査はその増減を調べるものです。

好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の役割
好中球は白血球の半分以上を占め、病原菌が入ってきたり異物が生じたりすると真っ先に増加して、病原菌や異物を食べて分解します。好中球に次いで多いリンパ球は、病原菌が入ってきたときに、抗体を作って外敵を退治するほか、それら外敵を記憶する働きを持っています。
単球はマクロファージ(大食細胞)とも言われ、病原菌や異物などを食べつくします。
好酸球は体の防御反応に関与し、アレルギー性疾患に感染すると増加します。
好塩基球はヒスタミンやヘパリンなどの物質を含んでいて、アレルギーや血管拡張などの作用に関与しています。

血液像(白血球分画)はどのように検査するのか?
血液を採取して、白血球分類機構を備えた自動血球数装置で測定します。採血液を直接ガラス上に塗抹・染色して、顕微鏡で白血球を観察・算定する方法もあります。白血球は、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の5種類の文画に分けられますが、検査では好中球をさらに棹状核球と分葉核球に分類して測定を行ないます。

血液像(白血球分画)の基準値
基準値は白血球100個中の比率で表します。

  • 好中球(棹状核球)…3〜10%
  • 好中球(分葉核球)…40〜70%
  • リンパ球…20〜45%
  • 単球…3〜7%
  • 好酸球…0(+)〜5%
  • 好塩基球…0〜2%

検査結果の判定
それぞれの分画の増減により以下の病気が推測されます。

感染や急性の炎症に最も早く反応するのは好中球です。感染症、外傷、慢性骨髄性白血病、心筋梗塞で増加し、急性白血病や腸チフス、敗血症などで減少を示します。

免疫の役割を担うリンパ球が増えるのはウイルス感染症、甲状腺機能亢進症、副腎の病気で、減少する場合は悪性リンパ腫、がん、白血病が考えられます。

単球は好中球が食べ遺した細菌の後始末や、異物を取り込む働きをします。
増加で予測できる病気は結核、梅毒、はしか(麻疹)などです。

好酸球はアレルギー性疾患(気管支喘息、花粉症、蕁麻疹)、寄生虫病、ホジキン病などで増加し、クッシング症候群などで減少します。好塩基球は最も数が少なく、甲状腺機能低下症、慢性骨髄白血病などで増加を示します。


 
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