病院の検査の基礎知識

消化器(主に胃と大腸)の検査の一覧(全18項目)

消化器の検査の主役は内視鏡です。内視鏡には消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)の内部を医師が詳細に観察できるだけでなく、先端に医療器具を取り付けることで、病変部の組織を採取・切除するなど、処置や治療も同時に行えるという大きなメリットがあります。また診断後の治療方針を決定するためにも欠かせない検査となっています。

胃、十二指腸、小腸、大腸の検査

従来、上部消化管の検査は口から内視鏡を挿入するため「オ…オエッ!!」という嘔吐感と圧迫感があり、検査を苦痛に思われる方も少なくありませんでした。現在では鼻から細いスコープを挿入する経鼻内視鏡検査の普及が進み、その負担は大きく軽減されました。

お尻から挿入する大腸内視鏡も苦痛を感じる方が多く、大腸がん検診の2次検査の受診率の上昇を妨げる一因と言われています。現在、一部の人間ドックでは内視鏡を挿入せずに大腸内部を立体的な画像で診断できる大腸CT検査(仮想大腸内視鏡検査)が導入されています。

近年、胃がん発症の有力な原因となるピロリ菌の検査と胃の萎縮度を調べるペプシノゲン検査を併せて行うことで、胃の現状と将来のリスクを4段階で評価する「ABC検診」が注目されています。採血だけの手軽な検査ということで、既に約22%の自治体がABC検診を導入しています。(数値は「厚生労働省:令和2年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査」より )

  • 胃がん検診…2016年4月より胃カメラ(内視鏡検査)が追加されました。
  • 大腸がん検診…がん種別の死亡者数で第2位の大腸がんを早期発見します。
  • 上部消化管X線造影検査…食道がん、胃がん、胃・十二指腸潰瘍の診断に有用です。
  • 上部消化管内視鏡検査…病変の大きさや出血の有無がわかり、確定診断に役立ちます。
  • 経鼻内視鏡検査…鼻からスコープを挿入し、食道、胃、十二指腸を調べます。
  • CEA…主に胃がん、大腸がんがある場合に、高い数値を示す腫瘍マーカーです。
  • ピロリ菌検査…ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因になるといわれています。
  • 胃液分泌機能…胃液の分泌量や酸度、色などを調べ、胃炎などの治療の参考にします。
  • ガストリン…ゾリンジャー・エリソン症候群を診断する際に必ず行なわれます。
  • ペプシノゲン…胃粘膜の萎縮の広がり、胃液の分泌機能などが分かります。
  • 超音波内視鏡…消化管の腫瘍などを詳しく調べる際に利用されています。
  • カプセル型内視鏡…小さなカプセル型の内視鏡を飲み込んで、消化管を観察します。
  • ダブルバルーン内視鏡検査…小腸の腫瘍や炎症などを早期発見・治療が可能です。
  • 便潜血反応…採取した便に試薬を混ぜ、その変化で血液の混入判定を行ないます。
  • 注腸X線検査…大腸がんのほか、クローン病、潰瘍性大腸炎などが診断できます。
  • 大腸内視鏡検査…肛門から内視鏡を挿入し、大腸の病変を直接観察します。
  • 仮想大腸内視鏡検査…内視鏡を挿入せずに、CTで大腸を撮影し、3D画像化します。
  • 直腸診…患者の肛門に医師が指を挿入して、肛門や直腸下部の病変を探ります。

 
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