糖尿病や高尿酸血症の検査の一覧

健康な人は膵臓からインスリンというホルモンを大量に分泌させ、食事で増えた血液中の糖(ブドウ糖)を代謝するので、血糖値は数時間で元に戻ります。
ところが、インスリンの分泌または作用が不足すると、糖の代謝異常が起こり、慢性的に高血糖が続きます。これが糖尿病です。国内における糖尿病患者は700万人にものぼり、予備軍を合わせると2000万人に達すると言われています。

血糖のコントロールが大切です

初期には自覚症状は現れませんが、病状が進むと、のどの渇き、多尿、倦怠感、体重減少などの症状が見られるようになります。この病気が進行すると、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症が現れます。
また、メタボリックシンドロームと呼ばれる病態に加え、喫煙などの多くの危険因子が重なると、脳梗塞や心筋梗塞など、生命にかかわる病気を引き起こします。

  1. 尿糖…糖尿病を見つけ出すスクリーニング(ふるいわけ)検査として行なわれます。
  2. 血糖…糖尿病の有無、その治療や管理の指標として欠かせません。
  3. 血中インスリン活性…境界型の糖尿病(予備軍)を早期発見する手がかりになります。
  4. ブドウ糖負荷試験…膵臓から分泌されるインスリンの働き具合を調べることができます。
  5. C-ペプチド(CPR)…膵臓から分泌されているインスリンだけを測定することができます。
  6. グリコヘモグロビン…過去1〜2ヶ月の血糖の平均的な状態を知ることができます。
  7. グリコアルブミン…過去の血糖値の変動を推定できる指標として利用されています。
  8. フルクトサミン…過去2週間の平均的な血糖の状態がわかります。
  9. 1.5AG…軽症糖尿病の過去数日間の血糖コントロールの指標として利用されています。
  10. 尿中アセトン体(ケトン体)…糖尿病のコントロールが上手くいっているかを調べます。
  11. 尿酸…痛風や結石の原因となる血清中の尿酸の濃度を測定し、病気を診断します。
  12. 特定健康診査…国のメタボ対策の柱として2008年に導入される健康診断です。

特定健康診査とは?

特定健康診査とは、メタボリックシンドローム(※内臓脂肪症候群)の要因となっている生活習慣を改善させ、高血圧や高脂血症、糖尿病などの有病者・予備群を減少させることを目的とした検査です。
平成20年4月より、40歳から74歳までの被保険者と被保険者と被扶養者を対象に実施されます。

※メタボリックシンドロームは、肥満している人が高脂血症、高血糖、高血圧など複数の症状をあわせ持っている状態です。この状態が長く続くと、脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすリスクが高くなることが判明し、注目を集めています。

あなたは大丈夫ですか?

なお、日本動脈硬化学会など8つの学会は、2005年に下記のようなメタボリックシンドロームの診断基準を作成し、危険な動脈硬化疾患や生活習慣病を予防するための指標として発表しています。

メタボリックシンドロームの診断基準

  1. 腹部肥満…ウエスト周囲径:男性85cm以上 / 女性90cm以上
  2. 高脂血症…中性脂肪:150mg/dl以上、HDLコレステロール:40mg/dl未満の一方、または両方
  3. 高血圧…収縮期血圧:130mmHg以上、または、拡張期血圧:85mmHg以上
  4. 高血糖…空腹時血糖値:110mg/dl以上

1の腹部肥満に加え、2〜4の2つ以上にあてはまるものを、メタボリックシンドロームとします。
なお、2004に行なわれた厚生労働省の調査によると、成人のメタボリックシンドロームは約1300万人、予備軍も含めると約2700万人という数にのぼっています。
40〜74歳の男性では2人に1人がメタボリックシンドローム有病者か予備軍とされています。

特定健康診査の項目
質問表(服薬歴 / 喫煙歴等)
身体計測(身長 / 体重 / BMI / 腹囲)
理学的検査(身体検察)
検尿(尿糖 / 尿タンパク
血圧測定
血液検査

また、一定の基準の下、医師が必要と認めた場合には、 心電図検査眼底検査、貧血検査(赤血球数 / ヘモグロビン量 / ヘマトクリット値)がそれぞれ実施されます。
さらに、これらの健診結果により、特定保健指導を行います。 内容は、受診者の状態に応じて、動機づけ支援(原則1回の指導)、積極的支援(3ヶ月から6ヶ月の継続的な指導)となっています。

メタボリックシンドロームを改善するためには、高エネルギー、高脂肪の食事を控え、運動に努めて、へそ周りのウエスト周囲径、つまり内臓脂肪を減らすことが重要です。
幸い内臓脂肪は、皮下脂肪より減りやすく、ダイエット、運動療法の効果は比較的早くからあらわれます。また、どれだけ減らさなければ意味がないという閾値(しきい値)もなく、1Kgでもウエスト1cmでも減らせば、減らしただけの効果があると言われています。

血糖とは?

血糖とは、一般には血液中のブドウ糖のことを意味します。ブドウ糖は、エネルギー源として利用されているため、血液中のブドウ糖(血糖)は一定の濃度に保たれています。
そのコントロールを行っているインスリンが不足したり、あるいはインスリンの働きが弱くなったりすると、血液中に多量の糖が存在することになってしまいます。

家庭用の簡易血糖測定器です

血糖を調べると何がわかるのか?
血糖を調節しているインスリンが不足すると、血液中にブドウ糖があふれて高血糖になり、逆に過剰になると低血糖になります。どちらの場合も、血糖の異常な増減は体に悪影響をもたらします。
血糖の検査は、代表的な高血糖の疾患である糖尿病の有無、その治療や管理の指標として欠かせません。また、高血糖や低血糖になる疾患の診断にも用いられています。

血糖の値はどのように測定するのか?
血液を採取して、酵素法による自動分析器にかけて測定します。
血糖値は採取する血液によっても異なります。医療機関で検査する場合は静脈血を使いますが、動脈や毛細血管での血糖値は静脈よりも10〜20mg/dl高くなります。
したがって、糖尿病の人が自己血糖管理に用いる簡易血糖測定器で血糖値を測る(血糖自己測定=SMBG)場合は、医療機関の数値よりも高値になることを頭に入れておきましょう。

検査を受けるときの注意
前日の夕食後から絶食し、朝一番に空腹の状態で測定します。この間は運動も控えるようにしてください。

基準値

  • 空腹時血糖…70〜109mg/dl
  • 食後2時間血糖…140mg/dl未満

健康な人でも、一日の血糖値は70〜130mg/dlの間を変動しており、食事の前とあとでは大きな差があります。食事をとると、炭水化物が吸収され、ブドウ糖となって血液中に出てくるので、食後の血糖値は食膳よりも高くなります。
また、年齢とともに血糖値も上がる傾向があります。妊娠中の女性の血糖値は逆に低くなり、空腹時血糖の平均値は77mg/dlとなっています。

検査結果の判定
早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上、または食後血糖値が200mg/dl以上であれば、糖尿病の疑いが濃厚です。
その場合はブドウ糖負荷試験(GTT)、併せて血中インスリン活性検査を行ないます。正常型・境界型・糖尿病型の判定を行ない、糖尿病型であれば、合併症の有無を調べるため、眼底検査尿タンパク、神経の検査も受けます。

なお、日本人間ドックの判定基準では、空腹時血糖値が110〜115mg/dlは判定Cで、生活習慣の改善と定期検査の必要があり、116〜125mg/dlは判定D2で、ブドウ糖負荷試験のほか、グリコヘモグロビン(HbA1c)、グリコアルブミン1.5AGなどの血液検査を受ける必要があるとされています。

高血糖値から考えられる糖尿病以外の病気としては、クッシング症候群、膵炎、肝炎、肝硬変、末端肥大症などがあります。またストレス、暴飲暴食、肥満、運動不足などが原因で血糖値が上昇することもあります。特に肥満は糖尿病の危険因子の中で最も強いものですので、注意が必要です。

逆に血糖値が70mg/dlに満たない低血糖の場合、最も疑われる病気はインスリンノーマ(膵島線種)です。膵臓の中でインスリンを分泌する細胞に腫瘍ができ、インスリンが大量に放出されて血糖値が異常に下がってしまう病気で、意識障害を引き起こす恐れがあります。
ほかには、肝臓がん、ガラクトース血症、糖原病、絶食でも血糖値は低下します。

異常があったらどうするか?
検査を受けて糖尿病と診断が確定したら、医師の指導のもと食事療法と運動療法を開始します。
食事と運動で血糖が下がらない場合は、インスリン注射が行なわれます。

なお、食事療法や運動療法の補助薬品として世界37カ国で販売・使用されている仏製薬大手サノフィ・アベンティスの肥満治療薬「アコンプリア(一般名:リモナバン)」は、日本国内においては第3相臨床試験中であり、現在のところ新薬申請の予定は立っていません。

糖尿病は慢性の病気ですので、根気よく治療を続けることが大切です。
食事療法、運動療法、インスリン療法で血糖コントロールをよくして合併症さえ防げれば、健康な人と同じように仕事もスポーツもできますので頑張りましょう。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、膵炎、肝炎、肝硬変、末端肥大症、褐色細胞腫など
  • 低値…インスリンノーマ(膵島線種)、糖原病、肝臓がん、ガラクトース血症など

ブドウ糖負荷試験とは?

血糖値は常に変動しているので、1回の血糖値測定で異常値が出ても、すぐに糖尿病と診断することはできません。そこで、空腹時の血糖値とともに、一定量(75g)のブドウ糖水溶液(写真参照)を飲み、その結果、血糖値がどのように推移するかをみて、より正しい判定をしようというのがブドウ糖負荷試験(GTT)です。

ブドウ糖水溶液です

血液中の糖分を処理する能力、すなわち膵臓から分泌されるインスリンの働き具合を調べることができる、糖尿病の診断には欠かせない検査となっています。

ブドウ糖負荷試験で何がわかるのか?
この検査で、糖尿病であるかどうかを最終的に診断します。糖尿病の人の場合、ブドウ糖を飲んだ後に上昇した血糖値は、時間がたってもなかなか下がらす、高血糖になります。

ブドウ糖負荷試験はどのように行なうのか?
検査前の10分間は、座った姿勢または横になって安静を保ちます。
空腹時血糖を測定するために採血を行ない、その後ブドウ糖75gをひと息で飲んで1時間後と2時間後に再び採血をして血糖値を測定します。
場合によっては30分後、1時間半後、3時間後に採血をする場合もありますので医師の指示に従ってください。併せて血中インスリン活性(血液中のインスリン濃度)も測定します。

検査を受けるときの注意
検査前の3日間は、毎日150g以上の炭水化物をとります。そして、前日の夜8時以降は水以外のものを飲食してはいけません。お茶やコーヒーなどカフェインを含む飲み物で血糖値が上がる恐れもあるので注意しましょう。

発熱や下痢がみられる場合は、検査ができませんのであらかじめ申し出てください。
また、喘息などで副腎皮質ホルモン剤を飲んでいる場合は、ブドウ糖を飲んだ痕に血糖値が異常に上昇することがあります。服用している薬や病名がわかれば、検査前に医師に知らせてください。

基準値と許容範囲

  • 空腹時値…110mg/dl未満
  • 2時間後値…140mg/dl未満

検査結果の判定
空腹時血糖値が静脈血漿で126mg/dl以上、あるいはブドウ糖液をのんでから2時間後の値が200mg/dl異常の場合は、糖尿病型です。
空腹時が110mg/dl未満で、かつブドウ糖を飲んで2時間後の値が140mg/dl未満であれば正常型です。どちらにも属さない場合は境界型と呼ばれます。

糖尿病には、1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)と2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)がありますが、日本人の糖尿病の95%は2型糖尿病です。
これは、遺伝的な要素に、過食、肥満、ストレスなどの生活習慣が加わって発症するものです。

異常があったらどうするか?
糖尿病と診断が確定したら、まず食事療法と運動療法を行ないます。食事療法や運動療法でも血糖が下がらない場合は、糖尿病薬の服用やインスリン注射がおこなわれます。
また、眼底検査尿タンパク、神経の検査などを行ない、合併症がないかを調べます。
合併症には神経障害や、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症などがあり、動脈硬化から心筋梗塞を起こす原因にもなりますから、血糖をコントロールしてこれらを予防することが大切です。
なお、糖尿病の人の血糖コントロールを把握するためには、次のような検査が行なわれます。

  • グリコヘモグロビン(HbA1c)…過去1〜2か月の血糖コントロール状態がわかります。
  • グリコアルブミン(GA)…<過去1〜2週間の血糖の状態を調べるのに有効です。/li>
  • フルクトサミン(FRA)…過去1〜2週間の血糖の状態を調べるのに有効です。
  • 1.5AG…過去数日間の血糖の状態を把握するのに有効です。

境界型は、糖尿病に進行する恐れがあるので、やはり医師の指導のもとで日常的な食事や運動に気をつけなければなりません。境界型のままで経過する人や、その後正常に戻る人も少なくありませんが油断は禁物です。

異常な場合に疑われる病気
糖尿病、糖尿病境界型など

血中インスリン活性とは?

インスリンとは膵臓のランゲルハンス島(β細胞)から分泌されるホルモンのことで、免疫活性インスリン(IRI)とも呼ばれています。ブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギーを作るときに欠かせない重要なホルモンです。
健康なときはインスリンの供給と消費のバランスがとれていて、血糖は常に一定の濃度に保たれています。インスリンが不足したり、インスリン抵抗性が高くなると、糖分がエネルギーとして利用されなくなり、血糖値が上昇します。

血液中のインスリン濃度を測定します

血液中の免疫活性インスリンの量やブドウ糖負荷試験の結果などとあわせると、β細胞のインスリン分泌能力や、インスリンがどの程度作用しているか(インスリン反応)を知ることができます。

血中インスリン活性を調べると何がわかるのか?
糖尿病の検査法として代表的なものは血糖の検査ですが、甲状腺機能亢進症や肝臓病、副腎皮質ホルモン剤の服用などでも、血糖値が高くなることがあります。
そのため、高血糖の原因が紛らわしい場合は、血中インスリン活性検査でほかの病気と鑑別します。境界型の糖尿病、つまり糖尿病予備軍を早期発見する手がかりにもなります。
糖尿病かどうかの判断が微妙な人に対する最終判断として、または糖尿病の人の治療方針を立てるための精密検査として行われます。

血中インスリン活性はどのように調べるのか?
ブドウ糖液を飲んで血糖値を調べるブドウ糖負荷試験の際に採血が行われますが、併せて血液中のインスリン濃度の変化を測定します。

検査を受けるときの注意
ブドウ糖負荷試験と同様、前日の夜8時以降の飲食を避け、睡眠を十分にとります。
発熱や下痢がある場合、ほかの病気のある人、薬を使用中の人は医師に申し出てください。

基準値

  • 空腹時…15.1μU/ml以下
  • GTT30分値…0.5△IRI/△BS

ブドウ糖液を飲んで30分後のインスリン分泌状態が重視されます。30分後の血中インスリン濃度が飲む前に比べてどれだけ増加しているか、そしてそれは血糖の増加分と比較してどの程度かを調べて判定します。

検査結果の判定
空腹時が低値の場合は、1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)が、空腹時が正常でブドウ糖負荷試験の2時間値が低い場合には、2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)が考えられます。

肝硬変になると、インスリンの分泌量に変化がなくても、作用が低下して上昇することがあります。また、慢性膵炎などによる膵臓β細胞の障害や、糖尿病の進行でインスリン分泌量が低下すると低値となります。コルチゾール成長ホルモンの減少でも低値となります。

異常があったらどうするか?
高値でも低値でも、糖尿病の検査を行なう必要があります。糖尿病がないときには、考えられる病気についての検査を行ないます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…2型糖尿病の一部、インスリンノーマ、肥満、肝疾患、クッシング症候群、末端肥大症、異常インスリン血症、インスリン自己免疫症候群など
  • 低値…1型糖尿病、2型糖尿病の一部、下垂体副腎機能低下症、膵炎、低血糖、低栄養状態など

C-ペプチド(CPR)とは?

C-ペプチド(CPR)とは、インスリンが合成される前段階の物質(プロインスリン)が、分解されるときに発生する物質です。インスリンと同程度の割合で血液中に分泌され、ほとんどが分解されないまま血液中を循環し、尿とともに排出されます。
血中や尿中のC-ペプチドを測定すると、インスリンがどの程度膵臓から分泌されているのかが把握できます。

CPR

インスリンの分泌能力は、血中インスリン活性で直接測定することもできますが、インスリン治療を受けている人の場合、膵臓から分泌されているインスリンと治療で使っているインスリンの合計値が出てしまうので、正しい測定ができないという欠点があります。
C-ペプチドは膵臓から分泌されているインスリンだけを測定することができますので、上記の理由で測定が難しい人に有用な検査です。

C-ペプチド(CPR)はどのように測定するのか
血中値を測定する場合は、採血をして調べます。尿中値は、24時間の蓄尿を行なって、アジ化ナトリウムを添加して測定します。

基準値

  • 血中C-ペプチド…1.2〜2.0ng/ml
  • 尿中C-ペプチド排泄量…24〜97μg/日

検査結果の判定
CPRが高値の場合は、膵臓の障害(インスリンノーマなど)、コルチゾール成長ホルモンの過剰分泌(クッシング症候群や副腎皮質ホルモンの過剰な服用など)、インスリンの作用低下などが原因と考えられます。

一方、2型糖尿病で、インスリンの分泌が低下するとCPRは低値となります。
血糖値が低い状態や低栄養状態で、体内のブドウ糖が不足しているとインスリンの分泌量も減少します。コルチゾールや成長ホルモンの分泌量が、減少したときにも低値を招きます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…インスリンノーマ、肥満、肝疾患、クッシング症候群、末端肥大症、異常インスリン血症、インスリン自己免疫症候群など
  • 低値…1型糖尿病、2型糖尿病の一部、低血糖、低栄養状態、褐色細胞腫、下垂体副腎機能低下症など

尿糖とは?

尿糖とは、血液中のブドウ糖(血糖)が尿中に漏れ出てきたものです。
ブドウ糖は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きによって、細胞に取り込まれて我々の生命活動に必要なエネルギーに変わります。
そして、最終的には二酸化炭素と水になって、余計な水分は尿として体外に排泄されます。
健康な人の場合、尿中にブドウ糖が漏れ出すのはほんのわずかですが、この尿中に出てしまったものが尿糖なのです。

変色具合で判断する定性検査

尿糖を調べると何がわかるのか?
腎臓は、体に有用なブドウ糖がかなり高値になっても、尿中に漏出させない仕組みになっています。血糖値が160〜180mg/dlを超えないと、糖は尿中には出てきません。
しかし、糖尿病などで血糖値がこれ以上に高くなると、腎臓での糖の処理能力が限度を超えて尿中に糖が漏れ出てきます。
したがって、尿糖検査は糖尿病を見つけ出すスクリーニング(ふるいわけ)検査として行なわれますが、この数値が陽性であっても必ずしも糖尿病とはいえません。

尿糖はどのように検査するのか?
検査方法としては、試験紙を尿で濡らしたときの変色具合で判断する定性検査と、1日分の尿にどれくらいの糖が出ているかを測定する定量検査があります。
一般には、定性検査で尿糖が出ていると認められた場合に定量検査が行なわれます。
検査当日の食事はふつうにとってかまいませんが、飲酒は控えてください。

検査を受けるときの注意
食後すぐに検査したのか、空腹時に検査したのかでは数値に大きな違いが出ますから、この点をはっきりさせておかなければなりません。また、栄養剤などでビタミンCを大量に摂取していると、尿糖が多くても試験紙の反応が陰性になることがあります。

逆に、甘いものを大量に食べたり飲んだり、あるいは精神的なストレスが影響して尿糖が増加することもあります。特に高齢者の場合など、血糖値が高いのに、それが尿糖として現れないこともよくあるので、尿糖の検査結果だけで正常と決め込むのは危険です。

基準値

  • 定性検査…陰性(−)
  • 定量検査…1日1g以下

検査結果の判定
尿糖が出ていなければ、定性検査では陰性(−)を示し正常です。
また、定量検査で、尿糖の量が1日1g以下なら、基準範囲です。副腎皮質ホルモンなどの服用や妊娠中などでも陽性になることがあります。
一方、定性検査で疑陽性(±)か、陽性(+)なら、糖尿病が疑われます。
定量検査では尿糖が1日1gを超えると異常値となります。

異常があったらどうするか?
糖尿病が疑われると空腹時血糖値血中インスリン濃度を検査し、さらにブドウ糖負荷試験などで調べて診断していきます。
甲状腺機能亢進症が疑われるならホルモン検査を行ない、診断を確定します。
腎性糖尿が疑われると、約10%が糖尿病に移行する可能性がありますので、年に一度は検査を受けておくと安心でしょう。
また、肥満気味の人は、糖尿病予防のために適度な運動などを行なって、標準体重に近づけるように努力することが大切です。

糖尿病と診断されたら、すぐに治療を開始します。
重症度により食事療法、薬の用法、インスリン注射など、治療方法が違いますので、必ず専門医に相談し、定期的に状態をチェックしてもらいましょう。

異常な場合に疑われる病気
糖尿病、腎性糖尿、甲状腺機能亢進症などのホルモン異常、クッシング症候群など

グリコヘモグロビンとは?

グリコヘモグロビン(HbA1c)とは、赤血球の中で体内に酸素を運ぶ役目のヘモグロビンと、血液中のブドウ糖が結合したものです。糖化ヘモグロビンともいい、血糖値が高いほどグリコヘモグロビンが形成されてやすくなりますので、糖尿病の患者さんでは血液中に顕著な増加がみられます。

過去1〜2ヶ月の血糖状態を把握できます

グリコヘモグロビンを調べると何がわかるのか?
血糖値は常に変化していますが、グリコヘモグロビンは濃度が安定しています。
ヘモグロビンの寿命は約4ヶ月であるため、グリコヘモグロビンの値を調べれば、過去1〜2ヶ月の血糖の平均的な状態を知ることができます。
通常は、グリコアルブミン、もしくはフルクトサミン1.5AGなどとあわせて、既に糖尿病を治療している人の血糖コントロールの様子を知るために実施されています。

血糖値尿酸値が検査前の食事や飲酒、それに検査に時間によって変動するのに対し、グリコヘモグロビン値は、それらにほとんど影響を受けないという特徴もあります。

グリコヘモグロビンはどのように検査するのか?
採血をして測定します。測定法には、HPLC法(高速液体クロマトグラフィ法)、免疫学的法があります。検査当日の食事制限などはありません。

基準値
一般的に最も用いられているHPLC法では4.3〜5.8%が基準値となっています。
検査直前に大食しても絶食しても、正常ならこの範囲を超えることはありません。

検査結果の判定
グリコヘモグロビン(HbA1c)が高値の場合に考えられる病気は、以下の通りです。

糖尿病
血糖値が糖尿病型の場合、HbA1cが6.5%以上か、糖尿病の典型的症状(多飲、多尿、口渇、体重減少)か糖尿病性網膜症があれば、糖尿病と診断されます。
しかし、境界型や軽症糖尿病ではHbA1cが基準値内におさまる場合がありますので、この場合は、確定診断のためにブドウ糖負荷試験が必要となります。

腎不全
腎不全の場合にも、血液中の尿素窒素が上昇するにつれHbA1cの値が高くなります。
したがって、血液中の尿素窒素値が高値になると、ヘモグロビンを血糖コントロールの目安にすることは不適当となります。

異常ヘモグロビン血症
糖尿病でも腎不全でもないのにHbA1cが高値の人は、異常ヘモグロビン血症の可能性があります。

また、グリコヘモグロビンが低値の場合にも病気の疑いがあります。
低血糖になるインスリノーマ(膵島線種)や、赤血球の縦妙が短くなる溶血性貧血、悪性貧血、異常ヘモグロビンなどが考えられます。

異常があったらどうするか?
異常値が出たら1ヶ月以上の間隔をあけて、再検査を行ないます。
糖尿病を治療中の人で高値の場合は、血糖コントロールが上手くいっていないということですから、食事療法を守るのはもちろん、適度な運動を行なう、飲酒量を控えるなど、生活スタイルから見直す必要があります。
それでも改善がみられない場合は、治療方針を見直す必要があるかもしれません。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…糖尿病、腎不全、異常ヘモグロビン血症など
  • 低値…溶血性貧血、インスリノーマ(膵島線種)、肝硬変など

グリコアルブミンとは?

血清中のタンパクの一種アルブミンと、ブドウ糖が結合したものをグリコアルブミンといいます。インスリン治療中などで血糖の変動が激しい場合に、グリコヘモグロビンと同様に、過去の血糖値の変動を推定できる指標として利用されています。グリコアルブミンは、近い将来、糖尿病の検査の中心になると考えられています。

血糖コントロールの状態を把握できます

グリコアルブミンを調べると何がわかるのか?
アルブミンの半減期は20日前後で、グリコヘモグロビンの120日という寿命より短期間です。したがってグリコアルブミンは、グリコヘモグロビンよりも近い過去の血糖コントロール状態を知ることができます。

糖尿病の進行を防ぎ、合併症を予防するためには、血糖コントロール状態を正確に把握する必要があります。現在の状態だけではなく、グリコアルブミン(1〜2週間前)、グリコヘモグロビン(1〜2ヶ月前)の血糖状態を知ることが治療に役立ちます。

なお、グリコアルブミンと同じくフルクトサミンも糖化タンパクで、血糖コントロールの指標として用いられていますが、グリコヘモグロビンを測定すれば十分とされています。

グリコアルブミンの値はどのように測定するのか?
血液を採取します。従来の測定方法は、専用の分析装置を必要とするHPLC法であったため、適応性に欠けているという問題がありましたが、近年はプロテアーゼを用いた酵素法が開発され、生化学自動分析装置での測定が可能になっています。

基準値(酵素法)
12.3〜16.5%

グリコアルブミンは乳幼児にはやや低い値ですが、少年期には成人とほぼ同じくらいまで上昇し、成人後はあまり変化しません。血糖値と異なり、その日の食事や運動などの影響を受けることはなく、日内変動もありません。

検査結果の判定
高値では糖尿病が最も多くを占めます。高血糖状態が長く続いているほど高値となります。また、甲状腺機能低下症でも高値となります。
一方、ネフローゼ症候群や甲状腺機能亢進症などでは、タンパクの代謝が促進されるため低値となります。肝硬変などによる肝細胞の破壊、低栄養などが原因で、肝臓のタンパク合成機能が低下した場合にも低値となります。

異常があったらどうするか?
糖尿病の人で異常値が出た場合は、血糖コントロールが上手くいっていないということですので、基準値に近い値を保つための食事療法、運動療法をはじめとする治療に努力しましょう。
糖尿病は「検査の病気」と言われています。「最近忙しくて検査に行ってないが、まだ大丈夫だろう」などと自分勝手な判断をせず、定期的な検査を忘れずに受け、コントロール状態を確認し、病気を進行させないことが大事です。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…糖尿病、甲状腺機能低下症など
  • 低値…ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、肝硬変など

フルクトサミンとは?

フルクトサミン(FRA)とは、血液中の糖とタンパクが結合してできる物質で、血糖の濃度に比例します。長期の血糖コントロールの指標としてグリコヘモグロビン(HbA1c)が利用されてきましたが、最近のコントロールの悪化状況や改善状況は、正確に反映しない欠点がありました。そこで、この欠点を補うものとして登場したのが、フルクトサミンです。
ただし、近年では、同じ糖化タンパクのグリコアルブミンを、使用する場合が多くなっています。

糖尿病

フルクトサミンを調べると何がわかるのか?
過去2週間の平均的な血糖の状態がわかります。検査直前の食事などの影響は受けません。
グリコヘモグロビン(HbA1c)が過去1ヶ月の血糖レベルの平均を反映するのに対し、フルクトサミン(FRA)の測定は、より短期(最近2週間)の血糖コントロールの指標として利用されています。
また、溶血性貧血などでグリコヘモグロビンの測定が困難な場合にも、このフルクトサミンを代わりに測定することもあります。

フルクトサミンはどのように検査するのか?
血液を分析器で測定します。

基準値
205〜280μ mol/l

検査結果の判定
高値の場合、糖尿病を治療中の人は、320μ mol/l以下を当面の目標にします。
450μ mol/l以上あれば、血糖コントロールが全くできていない危険な状態です。
一般的に基準値の280μ mol/lを超えていれば、糖尿病に注意する必要があります。

異常があったらどうするか?
高値の場合、糖尿病治療中の人は血糖コントロールが不十分ですので、食事療法をしっかりと見直す必要があります。それ以外の人は糖尿病の疑いがありますので、血糖値とグリコヘモグロビン(HbA1c)の検査を受けましょう。
血清たん白が異常低下すると、フルクトサミンも低値を示しますので、その場合は、肝硬変、ネフローゼ症候群などの腎疾患、肝疾患の有無を調べます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…重症糖尿病、グリコーゲン病、甲状腺機能低下症など
  • 低値…肝硬変、甲状腺機能亢進症、ネフローゼ症候群、低蛋白血症など

1.5AGとは?

1.5AG(1.5アンヒドログルシトール)とは、血液中にブドウ糖に次いで多く含まれる糖で、日常に摂取する多くの食物中に含まれています。普通の食事による摂取量はおよそ、3〜10mgとされています。

1.5AGは、腎臓の糸球体で濾過されますが、そのほとんどが尿細管で再吸収され、1日の尿中排泄と経口摂取量がほぼ均衡するため、血液中の濃度はほぼ一定しています。
しかし、糖尿病などで尿糖が増加すると、尿中への排泄が増加し血中濃度は低下します。
このため、軽症糖尿病の過去数日間の血糖コントロールの指標として利用されています。

血糖コントロール状態がわかります

1.5AGを調べると何がわかるのか?
血糖が高くなれば、血液中の1.5AGは低くなり、血糖が下がれば1.5AGは血中で増加するなど、軽微な血糖改善や、軽度の悪化を確実にとらえます。
つまり、この値を調べれば、その時点での血糖のコントロール状態が明らかになりますので、糖尿病の治療効果、薬の増減、その経過観察に欠かせない検査となっています。

フルクトサミングリコヘモグロビンの検査では、月や週単位での血糖コントロール状態がわかりますが、この1.5AGは前日の状態までリアルタイムに把握でき、食事の影響もありません。

1.5AGはどのように検査するのか?
血液を分析器で測定します。

基準値

  • 男性…15〜45μg/ml
  • 女性…12〜29μg/ml

検査結果の判定
男女とも13μg/ml以下になったら、血糖のコントロール状態が不十分です。

異常があったらどうするか?
食生活をはじめとする血糖の管理をきちんと行ないましょう。

異常な場合に疑われる病気
糖尿病のコントロールが不十分、腎性糖尿、腎不全など

尿中アセトン体とは?

生命活動の大切なエネルギー源である糖分を、何らかの異常によって、体内において正しく消費することができなくなったときに、アセトン体が作られます。いくつかの種類があり、各アセトン体を総称してケトン体と呼ぶこともあります。

尿を採取して行ないます

アセトン体はいわば糖分の代用品で、肝臓で産生され、エネルギー源として各組織へ送り出されます。ところが、異常の程度が著しくて、組織の処理能力を超えてしまうと、アセトン体が血液中にあふれて尿中にもれ出てきます。そうなると、尿に甘酸っぱいような臭いがあらわれ、息にも同じような臭いがするようになります。糖尿病の人の尿や域が甘酸っぱいのは、このアセトン体の臭いなのです。

糖尿病になると、体内の糖分をエネルギーとして正しく利用することが困難となります。
また、なんらかの異常により、からだの組織において糖質をうまく消費することができなくなる場合もあります。さらに、極端なダイエットによって糖分の供給が不足する(糖質飢餓)こともありえます。

これらの原因のなかで、尿中のアセトン内が異常増加しているとき、もっとも強く疑われるのが糖尿病です。したがって、糖尿病を発見したり診断したり診断したりするだけでなく、糖尿病治療の効果が十分にあがってるかどうかを確認するためにも、この検査が重要になります。

どのような検査か?
試験紙を尿につけ、色の変化で判定する簡単な検査です。

検査結果の判定
陽性と出たら要注意の状態です。インスリン不足のため、糖ではなく脂肪がエネルギーとして使われているということなので、糖尿病のコントロールが不十分だと考えられます。
ただし、激しい運動をしたり、高脂肪食を食べたり、怪我や発熱をしたときも陽性になることがあります。

異常があったらどうするか?
ただちに医師に見てもらうと同時に、糖尿病のコントロールを正しく行ないましょう。

異常な場合に疑われる病気
糖尿病でコントロールが不十分な場合、あるいは飢餓や絶食の場合など

尿酸とは?

おもに痛風の診断をするため、血液中の尿酸値を測定する検査です。
からだの細胞は常に新しく生まれていくる一方で死んでいくものもあり、この活動を代謝といいます。代謝の結果としてできる燃えかすの一つが尿酸と呼ばれる物質で、約70%は尿の一部となって排泄され、残りは腸などから排泄されます。

尿酸結晶は痛風のもとです

ところが、腎臓の機能に障害が起こって尿酸が正しく排泄されなかったり、何らかの原因で尿酸がつくられすぎたりすると、たまった尿酸が異常を引き起こします。その代表が痛風です。

尿酸は血液中には尿酸塩となって溶け込んでいますが、その濃度が一定以上に高くなると過飽和状態となって結晶化し、足の親指や関節などにたまります。これが激しい痛み、すなわち痛風発作を引き起こすのです。また、腎臓にたまった尿酸結晶は腎炎を起こし、腎・尿路系において結石のもとになることもしばしばあります。
尿酸検査では、これらの原因となる血清中の尿酸の濃度を測定し、病気を診断します。

尿酸はどのように検査するのか?
血液を採取して、自動分析器で測定します。

尿酸検査を受けるときの注意
検査前日の夕食の後は、コップ1杯の水以外、飲食は一切しないで採血します。

尿酸の基準値
尿酸の基準値は3.0〜7.0mg/dlです。また、一日に排泄される尿酸の量はおよそ400〜900mgで、これ以上だと異常とみなされます。

尿酸値は幼児期には低めですが、次第に上昇し、成年期には一定になります。
男性は女性より0.5〜1.5mg/dl高値となります。しかし、女性の場合も更年期を過ぎると、男性の値に近くなります。女性が高尿酸血症になる原因としては、腎障害、高カロリー食、飲酒などが挙げられます。

検査結果の判定
血液中の尿酸が基準値を超えると高尿酸血症と診断されます。

異常があったらどうするか?
高尿酸血症に対しては、尿酸代謝に関係する様々な要因をチェックします。
痛風発作は中年以降の男性に多いので、心電図眼底検査、血液測定など、人間ドックなみの検査を行ないます。

痛風以外の病気が疑われる場合は、その原因を突き止める必要があります。
クレアチニン尿素窒素などの腎機能検査、血糖コレステロールの測定などが行なわれます。
尿検査では高尿酸血症のタイプや、尿路結石のできやすさなどがわかります。
腎結石や尿路結石の有無を調べるためには超音波検査などが行なわれます。

尿酸値が低ければもとの病気を治療し、高い場合は尿酸を下げる薬を併用します。高血圧、高脂血症、肥満などの合併症があれば、それらの治療も行ないます。
測定値が8.0mg/dl以上になる人は、どこかの臓器に尿酸結晶が沈着している可能性が強いため、積極的な治療が必要となります。

高尿酸血症、痛風の治療は、食事療法と薬の併用によって行ないます。食事はプリン体の多い食品はなるべく控えるようにします。総カロリーを抑え、アルカリ性食品を多くとることも心がけましょう。
尿酸を抑える薬は長期間、人によっては一生服用しなければならない場合もあります。

高尿酸血症が起こる要因には、悪い生活習慣の積み重ねがあります。肥満解消、飲酒の制限、軽い運動、ストレスの発散、水分摂取などを心がけましょう。

異常な場合に疑われる病気

  • 尿酸値が高値…高尿酸血症、痛風、グルタミン代謝異常症、尿酸結合血清たん白欠損症、腎機能障害、多発性のう胞腎
  • 尿酸値が低値…低尿酸血症、ウィルソン病