病院の検査の基礎知識

感染症の検査の一覧

病原微生物(病原体)が体内の臓器や組織に侵入して増殖し、生態に何らかの反応を引き起こすことを感染といいます。その結果起こってくる病気を感染症といいます。また、感染しても、発病しないことがあり、これを不顕性感染といいます。

細菌検査の様子です

感染症の原因となる病原体は、ウイルス、細菌、真菌(カビ)、原虫、寄生虫などで、細菌には一般の細菌、マイコプラズマ、クラミジア、リケッチア、スピロヘータなどが含まれます。
感染経路には、病原体を保有する人や動物、土壌などから直接感染する場合と、空気、水や食べ物、ほかの動物を介して、間接的に感染する場合があります。

  • 赤沈…赤血球沈降速度の略で、主に炎症をともなう病気の有無や程度がわかります。
  • CRP(C-反応性タンパク)…炎症の早期診断、病気の経過観察に役立ちます。
  • ASO検査…高熱や関節痛を起こす病原菌として知られている溶連菌の有無を調べます。
  • 細菌検査…臓器の分泌液や血液などから、病気の原因となっている細菌を検出します。
  • HBs抗原・抗体…B型肝炎ウイルス感染の有無や、その程度を知ることができます。
  • HCV抗体…C型肝炎の感染の有無を調べることができます。
  • 結核菌検査…塗沫・培養検査で痰に結核菌が確認されるかどうかを調べます。
  • ウイルス抗体価検査…体内に生じる抗体を検出して、ウイルス感染の有無を調べます。
  • 腸管出血性大腸菌O157…出血性の腸炎を起こす細菌で、食中毒の原因にもなります。
  • ヘリコバクター・ピロリ菌…胃の粘膜に感染するグラム陰性棹菌です。
  • 梅毒血清反応…妊婦検診や献血、手術の前後などにも必ず行なわれます。
  • HIV抗体検査…エイズウイルスに感染しているかどうかがわかります。
  • 寄生虫検査…テープで調べる方法や、血液で調べる免疫学的検査方法があります。
  • クラミジア検査…核酸増幅法(PCR法、LCR法)などを用いて検出します。
  • ブライダルチェック…結婚前に受ける検診で、妊娠や分娩に影響する疾患を調べます。

腸管出血性大腸菌O-157とは?

ヒトや家畜の腸管に存在する細菌のひとつが大腸菌です。大腸菌のなかには、急性の胃腸炎や下痢を起こすものがあり、特に腸管出血性大腸菌O157(O157)は出血性の腸炎を起こす毒性の強い細菌です。

O(オー)157

O157に感染すると、激しい腹痛と下痢を起こします。最初は水のような下痢ですが、ひどくなると腸管から出血して鮮血便となります。発熱をともなわないのも特徴です。
集団食中毒の原因菌となることが多く、子供や高齢者の場合は重症化しやすく、生命に関わることもあるので注意が必要です。
O157は75度以上で1分以上過熱すると死滅するので、食中毒の起こりやすい季節には加熱調理を心がけましょう。

腸管出血性大腸菌O157はどのように検査するのか?
検査方法には、便を培養して調べる方法(培養)と、O157が産生している細胞変性毒素のベロ毒素(VT)を免疫学的に検出する方法(ベロトキシン)があります。
便から菌が検出できるのは、下痢が始まってから5日程度なので、それを過ぎた場合には血清抗体価検査が必要となります。

検査結果の判定
O157が検出された場合は、O157がベロ毒素を産生しているかどうかの検査も必要です。
O157だからといって、全ての菌がベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌だとは限らないからです。
症状がないにもかかわらずベロ毒素を産生する菌であることが確認された場合、こうした人を「無症状病原体保有者」といい、本人に症状がなくても、他の人にうつす可能性があります。
そのため、感染症の法律上は、患者と同様に便の検査でベロ毒素産生菌が陰性になるまでの間は飲食物の製造や飲食物に直接接触するような業務につくことが制限されます。

異常があったらどうするか?
O157の感染が確認され、下痢症がある場合は、安静、水分の補給、消化しやすい食事の摂取に気をつけます。症状が重い場合は、輸液(点滴)を行います。
止痢剤(下痢止め)の使用は、毒素の排泄を遅らせることになるので使用しません。
また、抗菌剤の使用については賛否両論があり、医師の判断のもとで慎重に使用する必要があります。

下痢が長引いたり、激しい腹痛、血便、尿量が少ない、浮腫、出血斑、頭痛、傾眠傾向(眠りたがる)のような症状が認められる場合、溶血性尿毒症症候群(HUS)の合併が疑われます。
溶血性尿毒症症候群とは、5歳以下の子供や高齢者に発症しやすい急性腎不全のことで、破砕状赤血球を伴った貧血、血小板減少、腎機能障害を3大特徴とする生命に関わる重篤な病態です。

溶血性尿毒症症候群が疑われる場合、尿タンパク尿潜血反応を調べる尿検査、赤血球数白血球数血小板数を調べる血液検査、LDH血清ビルビリン値を調べる生化学検査、そのほかクレアチニンGOT・GPTなどの検査を行ないます。

溶血性尿毒症症候群の場合は、すぐに入院した上で、状態を見ながら輸血、血小板輸血、血しょう交換、人工透析などを行う必要があります。

異常な場合に疑われる病気
出血性大腸炎、溶血性尿毒症症候群(HUS)など

O157の感染を予防するためのポイント

  • O157は75度以上で1分以上過熱すると死減します。調理するときは、十分加熱しましょう。
  • 食品の調理に当たっては、手や調理器具は十分に洗いましょう。
  • 調理器具は食品ごとにこまめに流水で洗い、熱湯をかけておきましょう。洗浄した後でしっかり乾燥させましょう。
  • 生野菜は流水でよく洗って、肉は火を十分に通して食べましょう。衛生的に扱われているお刺し身やお寿司は安全です。
  • 調理した食品は早めに良べましよう。冷蔵庫に入れ低温で保存する場合も、冷蔵庫を過信しないようにしましょう。

結核菌検査とは?

結核に感染しても、多くの人は発病せずに、結核菌が体内で生き続けます。ストレスや栄養不良などでからだの抵抗力が落ちてくると、その結核菌が増殖し、発病します。
現代の高齢者は、若いうちに感染していることが多く、突然発病する可能性がありますので注意しましょう。

結核菌の画像です

結核菌の有無を調べる検査には、主に次のようなものがあります。

ツベルクリン反応
結核菌の培養液から抽出した精製タンパク質(PPD)を前腕部の内側の皮膚に注射し、48時間後、皮膚に一定の大きさの赤斑が出るか確認します。

塗沫検査
痰を採取し、ガラス板に塗沫してチール・ネールゼン染色という特殊な染色法を施し、顕微鏡で観察します。

培養検査
塗沫検査だけで菌が確認できなかった場合には、痰を特殊培地で1ヶ月ほど培養・発育させたうえで、再び検査を行います。培地で発育した菌は抗酸菌といいます。
結核菌のほかにも非定型坑酸菌が育ちますが、これはナイアシンテストという方法で鑑別できます。

検査を受けるときの注意
検査用の痰が採取できたら、表面が乾かないうちに速やかに提出します。ツベルクリン反応では、注射した皮膚をかきむしらないようにしてください。

基準値
塗沫・培養検査で痰に結核菌が確認されなければ陰性(-)で異常なし、ツベルクリン反応で皮膚に一定の大きさの赤斑が出れば陽性(+)で正常です。赤斑がなければ陰性(-)です。
結核の予防注射(BCG)を受けていると、ツベルクリン反応が陽性になります。陰性の場合にはこの予防注射が必要です。

検査結果の見方と判定
塗沫・培養検査で痰に結核菌が確認されれば陽性(+)で、結核と診断されます。
ツベルクリン反応では皮膚に一定以上の大きさの赤斑が出れば強陽性(++以上)で、結核にかかっている疑いがあります。その場合は、胸部X線検査やたんの塗沫・培養検査、白血球数赤沈CRP(C-反応性タンパク)など複数の検査を行い、結核かどうかの確定診断が行われます。

細菌検査とは?

細菌検査とは、細菌による感染を受けた臓器の分泌液や血液などから、病気の原因となっている細菌を検出する検査のことです。
感染症にかかると、発熱やはれ、痛みなどの自覚症状が起こり、毛付け期中の白血球や血沈、炎症反応などで診断できます。しかし、病気や症状によっては、原因菌がわからないと、根治が困難な場合があります。そのようなときに、この細菌検査が重要な役割を果たします。

検査によっては培養が必要です

細菌検査で何がわかるのか?

血液
静脈から血液を採取して、含まれる細菌を調べます。敗血症、感染性心内膜症、腸チフス、パラチフス、グラム陰性桿菌感染症などが疑われるときに行ないます。

痰(たん)
咳をして痰を排出し、容器にとります。肺炎、気管支炎、肺結核などが疑われるときに行ないます。

鼻汁
鼻をかんで鼻汁を採取します。鼻炎や副鼻腔炎のときに行ないます。

耳漏
耳から漏れ出る分泌液を採取します。外耳道炎や中耳炎のときに行ないます。

胃液
口から細い管を挿入して採取します。結核やアニサキス症が疑われるときに行ないます。

胆汁
口から細い管を挿入して採取します。胆嚢炎、胆管炎、膵炎などが疑われるときの行ないます。

髄液
背中から脊髄腔に針を刺して、髄液を採取します。髄膜炎が疑われるときの行ないます。

尿道や膣の分泌液
尿道や膣から分泌する液を採取します。淋病やクラミジアなどの性感染症(STD)、尿道炎、膀胱炎、トリコモナスやカンジダの感染症、膣炎、子宮頚管炎、子宮内膜症などが疑われるときの行ないます。

検査を受けるときの注意
細菌によっては特殊な染色をしたり、1週間ほど培養しないと、発見できないものもあります。
のどの粘膜を拭って検体とすることもありますが、このようにして検体を得る場合は、ほかの細菌による感染を招かないように注意します。

異常があったらどうするか?
病気の原因となる細菌が確認されたら、抗生物質による治療が行なわれます。
現在は、大部分の細菌感染に対して有効な抗生物質が開発されていますから、心配はいりません。
しかし、自己判断で治療を中断すると、抗生物質の効かない耐性菌をつくる原因となりますので、医師の指示にきちんと従って治療を行なってください。

細菌が陽性の場合に疑われる病気

  • 血液…敗血症、感染性心内膜症、チフス性疾患
  • 髄液…髄膜炎
  • 喀痰…肺炎、気管支炎、肺結核
  • 耳漏…外耳道炎、中耳炎
  • 胆汁…胆嚢・胆道感染症、膵炎、チフス
  • 胃液…肺結核、アニサキス症
  • 尿…腎盂腎炎、膀胱炎、チフス、ワイル病
  • 便…赤痢、サルモネラ、腸炎ビブリオ、コレラ

ASO検査とは?

ASOとは、正しくは抗ストレプトリジン-Oといい、腎炎や猩紅熱(しょうこうねつ)、扁桃炎、中耳炎などの引き金になる溶連菌(溶血性連鎖球菌)に感染すると、それに対抗するために血液中に出現する抗体のことを指します。

溶連菌

多少の差はありますが、成人なら普通は誰でも溶連菌の感染歴があり、体内に抗体を持っています。そのため、血液を調べると、健康な人からもASOが検出され、その数値の大きさから、現在も溶連菌に感染中かどうかなどが診断できます。

ASO検査で何がわかるのか?
溶連菌に感染すると、しばしば咽頭炎、扁桃炎、中耳炎などを起こし、続いて急性糸球体腎炎やリウマチ熱、敗血症などを起こすこともあります。それらの病気の原因が溶連菌であるかを知ることができます。

ASO検査はどのような検査か?
血清を用いて測定します。ASOは健康な人でも変動があり、明らかな陽性の場合以外は2週間以上の間隔で再測定し、2段階以上の変動があれば陽性と判断します。

溶連菌の中には、ストレプトリジン-O以外の毒素を作る菌もいて、この場合は溶連菌に感染していてもASOは陰性になるため、ほかの測定法(抗ストレプトキナーゼ、ASK)を行ない、溶連菌感染の有無を調べます。

ASOの基準値
ASOの基準値は、年齢により変動します。一般的なランツランドル法では、成人の基準値は166ToDDU以下が目安ですが、乳児期は100ToDDU以下、小児期は256ToDDU以下となっています。

検査結果の判定
ASO検査で170ToDDU以上の高値なら、感染中と考えてよいでしょう。
溶連菌が引き起こす感染症には、咽頭炎や扁桃炎の上気道感染症や、中耳炎、皮膚が化膿する蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの局部的感染症、敗血症や産褥熱などの全身的感染症があります。
また、上気道に感染したあとのリウマチ熱、急性糸球体腎炎も考えられます。

異常があったらどうするか?
溶連菌の感染で怖いのは、体の免疫機構に及ぼす影響とそれによる腎臓や心臓の障害などです。
溶連菌感染症のすべてが免疫機構を混乱させるとは限りませんが、経過が悪い場合は注意が必要です。内科で何回かASOの検査を繰り返して確かめ、ほかの検査で異常がないかどうか慎重にみていきます。

糸球体腎炎が疑われる場合は腎臓内科で、リウマチ熱による関節炎が疑われる場合は整形外科で、心内膜炎が疑われる場合は循環器科で、直ちに詳しい検査と治療を受ける必要があります。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…急性リウマチ熱、急性糸球体腎炎、急性咽頭炎、中耳炎、しょう紅熱(溶連菌感染症)、急性扁桃炎、関節リウマチなど
  • 低値…免疫不全症候群など

HIV抗体検査とは?

HIV(エイズウイルス)抗体検査とは、エイズに感染していないかを調べる検査です。健康な人の体は、外からウイルスが侵入すると、免疫細胞がはたらいて抗体をつくり、それらを攻撃する仕組みなっています。

HIV

ところがエイズウイルスの場合は、その免疫機構に重要な役割を果たしているヘルパーT細胞の中に侵入し、免疫機構を破壊してしまいます。細胞内に侵入したエイズウイルスは、ヘルパーT細胞が分裂する際、自分のコピーを作って一緒に分裂し、その細胞膜を破って、別のヘルパーT細胞に侵入していきます。

こうして免疫機構が破壊されてしまうと、健康な体だとかかりにくい病気におかされて、死に至ります。その代表的なものが、カリニ原虫によるカリニ肺炎や、肺や消火器に炎症を起こすカンジダ症などです。

HIV抗体検査で何がわかるのか?
エイズウイルスに感染しているかどうかがわかります。
エイズウイルスは感染者の血液や精液、膣分泌液などの体液を通じて、体の粘膜や傷口から侵入し、4〜7年の潜伏期を経て発病します。
ところが、キャリアと呼ばれる感染者でも潜伏期の間は健康な人と変わりなく元気なため、接触した人に知らずに感染させる危険があります。
エイズ患者だけではなく、キャリアの状態にある人も含めて、防疫対策の面からもHIV抗体を調べる検査は欠かせないものなのです。

HIV抗体検査はどのような検査か?
血液を採取して行ないます。エイズに感染しているかどうかを調べるには、血清の中にエイズウイルスに対抗する抗体ができているかどうかで確かめます。なお、感染後6〜12週間たたないと抗体はできません。

検査法には酵素抗体法(エリザ法)、凝集法(PA法)、間接蛍光抗体法(IF法)、ウエスタンブロット法(WB法)などがあります。エリザ法やPA法は感度がよすぎて、エイズ抗体以外に対しても陽性になることがあります。そのため、エリザ法やPA法でまずスクリーニング(ふるいわけ)検査を行ない、IF法、WB法などで確認試験を行ないます。

判定の基準
エリザ法やPA法で陰性(-)なら正常です。またこの検査で陽性(+)と出ても、他の抗体による陽性(偽陽性)の可能性があります。そのため、同じ方法で2回目を行ない、さらにIF法、WB法で陰性なら正常です。

医療機関の検査で陽性と判定されたとしても、その結果が本人以外の人に知らされることはなく、秘密は堅く守られます。
また、保健所では、無料で匿名の検査を予約制で行なっています。

検査を受けるときの注意
エイズに感染してから抗体ができるまで6〜12週間かかるといわれています。そのため、感染の可能性があってまもなく検査を受けても判定はできません。感染が疑われるときから3ヶ月以上してから検査を受けましょう。

異常があったらどうするか?
感染してから発病するまでに、1〜10年はかかるとされていますが、様々な薬が開発されて、多種類の薬を併用することにより、発病や進行はかなり抑えられるようになって来ています。
また、これからも特効薬が開発される可能性もあり、感染したからといって決して絶望する病気ではありません。体力の低下を招かないように、不摂生と過労を避け、栄養バランスの取れた食事と規則正しい生活を心がけましょう。

異常な場合に疑われる病気
エイズ、日和見感染(カリニ肺炎、カンジダ症、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、ヘルペスウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、真菌感染症)、カポジ肉腫、リンパ腫など

クラミジアの検査とは?

近年、若い世代に増えている非淋菌性尿道炎のほとんどはクラミジア・トラコマチスという病原微生物の感染によって起こります。男性では尿道の出口がかゆくなり、白く濁った尿が出て、排尿痛や熱っぽさをかんじます。女性では薄いおりものがある程度ですが、そのうち黄色い色がついてきます。

クラミジア・トラコマチス

男女ともに症状としては軽いものですが、放置していると菌が性器内部まで入っていき合併症を起こします。男性では慢性前立腺炎や精巣上体炎になる場合があります。
女性は尿道が短いために菌が膀胱へ達しやすいため、膀胱炎になったり、膣から子宮頚部におよんだ場合には、子宮頚管炎を引き起こすこともあります。

クラミジアの検査はどのように行うのか?
受診する診療科は、性病科もしくは泌尿器科(男性)・産婦人科(女性)になります。まず問診を行って、男性で尿道炎が疑われる場合は尿沈渣を行って白血球の有無を確認します。クラミジアの検出には核酸増幅法(PCR法、LCR法)、抗原検査法などを用います。
核酸増幅法は精度が高く、尿を検体として用いるので簡易性にも優れています。女性では子宮頚管から分泌物を採取し核酸増幅法にてクラミジアを検出し診断します。

以前は血液中の免疫グロブリン(Ig)のうち、IgA抗体とIgG抗体を調べる血液検査が行われていましたが、過去の感染しか判定できず、現在は治癒していても陽性反応を示すため、日常診療での使用機会は減っています。

梅毒血清反応とは?

梅毒にかかっているかどうかを調べる検査です。梅毒はトレポネーマ・パリズムという病原微生物によって引き起こされる病気で、陰部のしこりやリンパ節の腫れからはじまって、最終的には心臓や脳、脊髄などがおかされて死に至ることもあります。

梅毒トレポネーマ

抗生物質の普及によって以前のように恐れられることはなくなりましたが、現在でも潜在的な感染者はかなりいると考えられています。母子感染の危険性も高く、妊婦にはこの梅毒血清反応が欠かせません。また、人間ドックの血液検査にはたいていこれが含まれています。

梅毒血清反応はどのような検査か?
梅毒血清反応には、大きく分けて2つの方法があります。
1つは、牛からとったカルジオリピンという脂質を抗原とし、血清の中の抗体と反応するかどうかを調べる方法です。これには昔からあるワッセルマン反応のほか、緒方法、ガラス板法などがあり、STSと総称されています。
もう1つは、梅毒の病原体そのものを抗原とし、血清をくわえて反応を見るTPHAテストやFTA-ABSテストなどの方法で、TPといいます。

STSは、感染から4週間前後で陽性になりますが、TPはさらに遅いために、一般の梅毒のスクリーニング(ふるいわけ)検査にはSTSが用いられます。
またSTSは、梅毒の病態が第1期から第3期へと進むに連れて反応が強くなります。しかし、治療とともに反応は弱くなり、完治すれば陰性になります。そのため、STSは治療効果を見る上でも大切な目安となっています。

検査結果の判定
まず、スクリーニングとしてSTSが行なわれます。STSは梅毒だけではなく、膠原病や肝臓病、妊娠などでも陽性と出る(偽陽性)ことがあるので、要請の場合はさらにTPHAを行ない、これも陽性であれば梅毒だと診断されます。
STSが陽性でTPHAが陰性の場合は、さらにFTA-ABSを行ない、これが陽性であれば梅毒と診断されます。

なお、梅毒に感染したあと抗体が検出されるまでには、STSの場合は約4週間、TPHAではさらに2週間くらいかかるため、感染が疑われた場合は、4週間以上たってから検査を受けるとよいでしょう。
検査結果が陰性と出ても、疑わしい場合には3〜4週間後に改めて検査を行なうこともあります。

異常があったらどうするか?
抗体の量を調べる定量検査を行ない、病気の状態を調べ、ペニシリンなどの抗生物質を中心にして治療を進めます。
梅毒トレポネーマを完全に退治するには大量の抗生物質を長期間にわたって使用しなければなりません。治療を中断したり、自分の判断で薬の量を変えたりせずに、医師の指導の下で完治するまで続けましょう。血液や体液を他人に触れさせないようにすることも大切です。

異常な場合に疑われる病気
梅毒、膠原病、マラリア、γ(ガンマ)-グロブリン異常症など


 
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