腎臓は、血液で運ばれてきた体内の老廃物を濾過して尿をつくって体外に排出するとともに、体内を回ってきた必要な物質を再吸収します。また、体内の水分量の調節と電解質バランスを保ったり、血圧の調節や赤血球を生産するためのホルモンを分泌しています。なかでも一番重要な働きが、老廃物を濾過して尿を作ることです。
腎臓や尿路のどこかに異常が起こると、頻尿になったり、逆に尿量が減り、水分が貯まってむくみが現れたりします。初期のうちは無症状のことも多いのですが、尿検査をすると血尿やタンパク尿がみられます。腎臓病の早期発見には、尿の色に注意することがポイントです。薄いピンクや赤、茶褐色の血尿、尿が泡立って泡がなかなか消えない(タンパク尿)ときは受診しましょう。
- 尿量…尿量を測定して腎機能に障害がないかを調べます。
- 尿比重…尿の濃さの変化を調べ、主に腎臓の病気を探る手がかりとします。
- 尿素窒素…腎機能が正常に機能しているかを知るための重要な指標になります。
- 尿タンパク…腎臓に障害があると、タンパク質は尿中に漏れ出てしまいます。
- 尿沈渣…尿タンパクや尿潜血などの定性検査で陽性と出たときに行なわれます。
- 尿潜血反応…炎症や結石、腫瘍の発見の手がかりとして用いられています。
- クレアチニン…腎機能、腎糸球体機能のスクリーニングや経過観察に用いられます。
- クレアチニン・クリアランス…糸球体が老廃物などを取り除く力を調べます。
- PSP試験…PSPを血管内に注射して、一定時間内にどれだけ排出できるかをみます。
- 腎動脈造影…血管造影によって、腎臓や副腎の病気を診断します。
- 腎盂造影…血尿の原因をはっきりさせるために行なう検査の一つです。
- 腎臓の超音波検査…超音波を利用し、腎臓、副腎、後腹膜の状態を観察します。
- 腎CT検査…腎腎臓、副腎、膀胱などの泌尿器系の疾患の診断に利用されています。
- 腎シンチグラフィー…腎臓の変化をシンチカメラで検出して、画像処理します。
- 膀胱尿道造影…排尿障害が現れ、前立腺肥大症が疑われたときに行われます。
- 膀胱鏡検査…金属製の筒を、尿道口から挿入して、尿道と膀胱を観察します。
- 腎生検…穿刺針を刺して腎臓に届かせ、腎臓の組織を採取して、顕微鏡で調べます。
- 前立腺針生検…前立腺に針を刺して疑わしい組織をとり、染色して細胞を調べます。
- 直腸診…前立腺肥大症や前立腺がんの発見、診断に役立ちます。
- 国際前立腺症状スコア…過去1ヶ月の排尿状態を回答し、結果を点数で表わします。
- 前立腺特異抗原(PSA)…前立腺がんの発見のスクリーニング検査として行なわれます。
- 酸性ホスファターゼ…かつては前立腺がんの腫瘍マーカーとして利用されていました。
- 電解質…体液中のイオン濃度を測定し、バランスの崩れで体内の障害を診断します。
尿素窒素とは、血清成分からタンパク質を取り除いた残りである残余窒素の30〜40%を占める成分です。生命活動のエネルギーとして使われたタンパク質の燃えかすとして生じるアンモニアを無害化するために、二酸化炭素と結びついた結果できたものです。
尿素窒素の検査で何がわかるのか?
尿素窒素は腎臓から尿に排出されますが、腎臓に障害があって十分に排出されないと、血液中に増えます。そのため、腎機能が正常に機能しているかを知るための重要な指標になります。
どのような検査か?
血液を採取し、分析器で測定します。
尿素窒素の基準値
尿素窒素の基準値は8〜21mg/dlですが、食事や年齢、性別などによって変動がみられます。
検査結果の判定
基準値を超えていたら、腎機能を調べるための様々な検査をします40mg/dlを超えたら腎不全が考えられ、さらに100mg/dl以上になったら尿毒症の起こる可能性が高く、かなり危険な状態です。。
異常があったらどうするか?
異常値が出たら脱水、発熱、貧血、常用薬の有無などを検査して、後日再検査します。同時に、尿タンパクや、尿沈渣、クレアチニンなどの検査を行ない、診断の参考にします。
その他の一般検査でも異常値を示して腎臓の病気が疑われるのであれば、腎機能は正常の30〜40%に低下していると考えられます。
尿素窒素は値は、基本的には尿素の生成と排泄のバランスで決まりますので、たん白摂取量、たん白代謝機能、腎機能の3つの因子が深く関連しています。したがって、この値が常時50mg/dlを超える場合は、腎不全を起こしているとみてよいでしょう。
腎不全や脱水では尿素窒素の排泄障害により、また高たん白食の多色や感染症、糖尿病、がんではつくられる尿素窒素の量が増えて高値になります。
肝不全や低たん白食の持続では作られる尿素窒素の量が減り、また尿崩症では排泄される量が多くなって低値になります。
異常な場合に疑われる病気
腎不全、閉塞性尿路疾患、脱水、糖尿病、肝不全、高(低)たん白食摂取、甲状腺機能亢進症など
尿タンパクとは、尿の中に含まれているタンパクの総称です。タンパクは、栄養分など各種物質を運搬したり、病原体に抵抗する抗体を作ったり、代謝や体の働きのバランスを保つなど、多くの役割を果たしています。
このタンパクは腎臓の糸球体と呼ばれる部位で濾過されますが、尿細管という部位で再び再吸収されて血液中に戻るため、尿に含まれて排泄されることはありません。あるとしてもごくわずかの量となります。
尿タンパクを調べると何がわかるのか?
腎臓に障害があると、タンパク質は尿細管で再吸収されずに、尿中に漏れ出てしまいます。また、尿管や膀胱などに異常があって出血したりする場合でも、血液中のタンパク質が尿に混じってしまいます。こうしたことから、尿タンパクの検査は腎臓や尿管などの障害の有無を調べるために用いられています。
尿タンパクはどのように検査するのか?
定性検査といってタンパク質が出ているかどうかを見る方法と、定量検査といって尿中のタンパクの量を測定する方法があります。定性検査の場合は、タンパクに反応する試薬を塗った試験紙を尿にひたして色の変化をみるか、スルフォサリチル酸を尿に加えたときの混濁をみるなどの方法で反応があれば陽性とします。
検査を受けるときの注意
- 尿は、出始めと終わりを除いた中間尿を採取します。特に女性の場合、外陰部の汚れや膣の分泌物が混入することがあるので必ず守ってください。
- 他の雑菌が入らないよう、採取するコップの中には指を入れないでください。
- 飲食に関する制限はありませんが、検査当日の激しい運動は控えてください。
基準値
- 定性検査…陰性(-)
- 定量検査…1日あたり100mg以下
異常があったらどうするか?
異常値が出ても1回の検査だけでは診断が確定せず、複数回検査を重ねます。
それでも異常が認められれば、おもに腎臓内科や泌尿器科で血液検査や尿中成分の定量検査、尿沈渣、尿潜血反応、超音波検査、CT検査、腎盂(尿路)造影などの精密検査で総合的に病状が診断されます。
膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症、腎炎、ネフローゼ症候群と診断されたら、安静にして、医師から指示された薬を服用しなくてはなりません。
また、腎炎やネフローゼ症候群の場合は、運動の制限や食事療法が必要になります。
腎障害の基本は食事療法にあると、言われるほど食事療法は大切ですので、医師の指示する食塩とタンパク質の1日の摂取量を忠実に守ることが大切です。
腎臓病以外の原因による良性のタンパク尿は、もとの病気が治れば消えます。妊娠中にタンパク尿が出た場合には、妊娠中毒症が疑われますので、ただちに産婦人科で適切な処置を受けましょう。
異常な場合に疑われる病気
糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、糖尿病性腎症、尿路感染症、尿路結石、膀胱炎など
尿沈渣(にょうちんさ)とは、尿を遠心分離器にかけたときに沈殿してくる赤血球や白血球、細胞、結晶成分などの固形成分のことをいいます。これらを顕微鏡で観察し、尿沈渣の数の増加や有無を調べて、腎臓などの異常の診断や病状の経過観察を行います。
この検査は、尿タンパクや尿糖、尿潜血などの定性検査で陽性(+)と出たときに行なわれます。
尿沈渣はどのように検査するのか?
採取した尿を5分間ほど遠心分離機にかけると、尿の液状成分と固形成分とが分離します。この固形成分を顕微鏡で観察すると、赤血球や白血球、尿酸結晶、細胞、細菌などが見えます。
顕微鏡の一視野の中にあるこれらの数をそれぞれに数えて、生常時より増加していないか、あるいは生常時ならみられないものが見えていないかを調べます。
検査を受けるときの注意
薬剤を服用中の人、整理中の女性などは検査に影響するので事前に申して出てください。また、尿に余計なものが混入しないように、検査前には陰部を清潔にしておいてください。
基準値
- 赤血球…1視野に1個以内
- 白血球…1視野に3個以内
- 上皮細胞…1視野に少数
- 円柱細胞…1視野に陰性(-)
- 結晶成分…1視野に少量
検査結果の判定
健康な人でも、赤血球やその他の固形物がごくわずかは見られますが、数が多い場合に、どこにどのような異常があるかがわかります。赤血球や白血球は出血があると考えられ、白血球が多い場合には炎症が起こっていると考えられます。
上皮細胞は粘膜などをつくっている細胞で、炎症があると剥がれ落ちて、尿中に増えます。
円柱細胞は腎臓の尿細管を鋳型にしてできたもので、尿細管に異常があると考えられます。
結晶は尿酸などの成分が多いために固まってできます。
異常があったらどうするか?
赤血球や白血球は体調の変化などにより一時的に多くなることがあるので、正確な診断のためには必ず再検査を行ないます。その結果、再び異常値が出て感染症が疑われれば、細菌培養検査で原因となっている菌を調べます。
その他の異常値では、おもに腎臓内科や泌尿器科で尿中成分の定量検査、尿素窒素、クレアチニン、電解質などの血液検査、超音波検査、X線CT検査、腎盂(尿路)造影、腎生検などの詳しい検査を受けます。
また、結晶成分が多く肝炎や黄疸が疑われる場合は肝機能検査、痛風が疑われる場合は代謝機能検査が内科で平行して行なわれます。
異常な場合に疑われる病気
それぞれの成分が多いときに考えられる病気は以下の通りです。
- 赤血球…急性糸球体腎炎、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、腎腫瘍、腎結石など
- 白血球…腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎など
- 円柱細胞…慢性腎炎、糸球体腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群など
- 上皮細胞…膀胱炎、尿道炎など
- 結晶成分…腎結石、急性肝炎、閉塞性黄疸、痛風など
尿に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。健康体であっても、1日におよそ2万個の赤血球が尿中に排泄されていますが、腎臓や膀胱、尿道などに異常があるとこの量が増加します。
量が非常に多いときは肉眼ではっきりわかるほどに尿の色が赤くなります(血尿)が、ごくわずかな量だとそれほど赤くなりません。そこで、試薬の反応を利用してわずかな血液の混入を確認するのが、尿潜血反応の検査です。
尿潜血反応をみると何がわかるのか?
尿中に赤血球が混じるのは、主に腎臓や尿管、膀胱といった尿の通り道(尿路・尿道)になんらかの異常が起きている場合です。それらに起きる炎症や結石、腫瘍を発見する手がかりとして尿潜血反応が用いられています。
尿潜血反応はどのように行なうのか?
採尿した尿に試験紙を入れ、その変色の度合いを見ます。なお、採尿する際は、尿の出始めと終わりは捨てて、中間の尿だけを採取します。
検査を受けるときの注意
生理中の女性では尿に血の混じることが多く、判定が難しいので、生理が終わった後に検査を受けるようにしましょう。また、採尿の前に激しい運動をすると陽性になることがあるので、採尿前のスポーツなどは控えてください。
ビタミンCを摂っていると、たとえ出血があっても偽陰性になることがありますので、ビタミンC製剤や抗生物質のテトラサイクリンは、検査の前に飲まないようにしましょう。
基準値
陰性(-)が正常値となります。健康な人でもわずかに赤血球が尿中に出ることがありますが、試験紙の判定ではほとんどが陰性になります。
検査結果の判定
疑陽性(±)または陽性(+)が異常値です。陽性の場合に疑われる病気は、膀胱炎、腎炎、結石がほとんどです。ただし、血液成分のヘモグロビンやミオグロビンだけが尿中に出ている場合も、試験紙では陽性反応が出ます。
一部の鎮痛解熱剤や抗生剤、利尿剤の使用で疑陽性を示すこともあります。
異常があったらどうするか?
過労などからくる一過性で害のない尿潜血もあるので、診断確定には複数回の検査が必要です。
再検査でも陽性と出たら、まず尿沈渣で尿に出ている赤血球数を確認し、クレアチニンや電解質、尿タンパクなどの検査を行なって腎機能を調べます。
さらに、腎盂(尿路)造影や超音波検査で結石や腫瘍の有無を調べます。急性腎炎が疑われる場合は、腎生検を行ない、診断が確定されます。
異常な場合に疑われる病気
- 腎臓…急性・慢性腎炎、腎結石、腎膿瘍、遊走腎など
- 尿管…尿管結石、尿管腫瘍、尿管異物など
- 膀胱…膀胱炎、膀胱結石、膀胱腫瘍など
- 尿道…前立腺炎、前立腺腫瘍、尿道炎など
- その他…白血病や紫斑病などの出血傾向のある病気、溶血性疾患など
尿量とは、1日に排泄される尿の量のことです。尿量を測定して腎機能に障害がないかを調べるのが尿量検査です。
尿量を調べると何がわかるのか?
腎臓では血液を濾過して、体の中の不要な物質や水分を尿に排泄し、老廃物を処理するとともに血液や体液の成分を一定に保っています。しかし、腎臓の働きが障害されたり、血液の濃度や尿量を調節するホルモンに異常が生じると、尿量が大きく変化しますので、この検査は病状把握の重要な手がかりとなります。
尿量はどのように検査するのか?
入院して、1日の尿を全て容器にとって、その量を調べます。
検査を受けるときの注意
コーヒーやビールなど利尿作用の強い飲食物をとると尿量が増え、運動で大汗をかいたのに水分補給を怠ると尿量が減ります。このような状態で尿量検査を受けると正確な診断はできません。検査当日の飲食や運動は、医師の指示に従うように注意してください。
基準値
1日の尿量が500〜2000mlなら正常の範囲です。
検査結果の判定
尿量が1日400ml以下を乏尿、100ml以下を無尿といい、逆に2500mlを超える場合を多尿といい、いずれもなんらかの異常があると考えます。
乏尿・無尿
急性ないし慢性の腎不全で、腎臓の機能が著しく低下したときで、ネフローゼ症候群、急性腎炎、慢性腎不全などが考えられます。がんや結石のために尿管がふさがって尿が出にくくなることもあります。また、うっ血性心不全でも尿が少なくなります。
多尿
尿量を調節するホルモンの異常のために起こる尿崩症、糖尿病、心因性多尿などが疑われます。
心因性多尿は口の中が乾いて水分を大量にとるのが原因です。また、急性腎不全の回復期でも多尿になります。
異常があったらどうするか?
乏尿や無尿は非常に危険な状態ですので、緊急入院による治療が必要となります。
多尿の場合も、治療が困難な病気が原因になっている可能性がありますので、尿沈渣、尿比重、尿素窒素、電解質、PSP試験、腎生検など検査を受けて診断を下し、治療を開始します。
異常な場合に疑われる病気
- 低値…ネフローゼ症候群、急性腎炎、慢性腎不全、悪性腫瘍(がん)、前立腺肥大などによる尿路閉塞、尿管結石、うっ血性心不全など
- 高値…尿崩症、腎不全、糖尿病など
尿比重とは、尿の中の水分と、水分以外の物質の割合を算出したものです。尿には余分な水分のほかに、体内活動の結果として含まれる老廃物(尿素や窒素、ナトリウム、クロールなど)が含まれています。そのため、尿の比重は水よりもやや高く、健康時には1.010〜1.030といった範囲で変動しています。
尿比重を調べると何がわかるのか?
腎臓は必要に応じて濃い尿や薄い尿をつくり、またそれを排泄することによって体内の水分量を一定に保っています。水分をあまり摂取していないときは尿量も減りますが、そのときに尿に含まれている老廃物の濃度も普段と同じままであれば、尿量に比例して老廃物の排泄量も減ることになります。
すると、血中から排泄されるべき老廃物量に満たなくなることもあるわけで、そうならないように尿中の老廃物濃度を高める働き(尿濃縮)も腎臓にはあるのです。
したがって、正常の場合、水をあまり飲まなければ尿比重が上昇しますが、腎臓の働きに異常があるとそれができません。尿比重の検査をそれをみるものです。
尿比重はどのように検査するのか?
電解質に反応する試薬を用いた試験紙に採取した尿をつけ、色の変化で判定します。
検査を受けるときの注意
コーヒーや緑茶など利尿作用の強い飲食物を多くとると尿量が増えて薄くなり、尿比重が低下します。また、スポーツなどで大量の汗をかくと尿量が減って濃くなり、尿比重が上がります。
このような状態で尿比重検査を受けると正確な診断ができないので、検査当日の飲食や運動は、医師の指示に従うようにしましょう。
基準値
尿比重の基準値は1.010〜1.030とされていますが、健康な人でも条件によって変動します。
検査結果の判定
尿比重が1.010以下の場合は通常の腎機能よりも尿濃縮力が低下して水分が多く排泄されている腎不全利尿期か、尿崩症などの病気の可能性が考えられます。
逆に1.030以上の場合は、腎不全による乏尿、ネフローゼ症候群、糖尿病、心不全、脱水症状などの可能性が考えられます。
異常があったらどうするか?
異常値の原因となっている病気の確定診断を下し、治療を開始します。確定診断には、血液検査や尿沈渣、クレアチニン・クリアランス、PSP試験、電解質などのさらに詳しい腎機能・代謝機能の検査や、抗利尿ホルモンなどの内分泌検査が必要となります。
異常な場合に疑われる病気
- 低比重…慢性腎炎、尿崩症
- 高比重…ネフローゼ症候群、糖尿病、心不全
クレアチニンは、体内でエネルギーとして消費されたたんぱくの残りかす(老廃物)です。血液に含まれていて、腎臓でろ過され、尿中に排泄されます。クレアチニン・クリアランスは、血清中と尿中のクレアチニンの量を測定して比較し、腎臓の糸球体が老廃物などを取り除く力がどれくらいあるかをチェックすることにより、腎機能を調べる検査です。
血清尿素窒素やクレアチニンも、腎機能のスクリーニング検査として有用ですが、これらの値が高値を示すようになるには、腎機能(糸球体濾過率)が正常の50〜70%以下になってからで、軽い腎機能障害を発見することはできません。
そこで、腎臓の糸球体機能を正確に知るためにこの検査が行なわれます。
クレアチニン・クリアランスはどのように測定するのか?
クレアチニン・クリアランスの測定法には、1〜2時間の短時間法と24時間法があります。どちらも、血清中のクレアチニン値を安定させるために、検査の2日ほど前から食事で摂るタンパク質の量を1日40〜50gとします。
短時間法では、まず尿を採取します。このとき、尿を完全に出し切ることが、検査の正確さを保つ上で大切となります。その30分後にもう一度、尿を採取して終了です。
24時間法では、その日の最初に排尿した分は全て捨て、それ以降の尿は専用のびんに蓄えておきます。尿量が検査結果を左右するので、排便時の尿も捨ててはいけません。24時間が経った翌朝までの尿をよく混ぜてから、クレアチニン量を測定します。同時に最後の採尿が終わった朝の空腹時に採血を行ない、血清クレアチニン値も測定します。
次の式により、クレアチニン・クリアランス値を求め、腎糸球体機能がうまく働いているどうかかを調べます。
- U:尿中クレアチニン濃度(mg/dl)
- V:1分間尿量(ml/min)
- S:血清中クレアチニン濃度(mg/dl)
- A:体表面積(m2)
- 1.73:日本人の平均体表面積(m2, 2001年の日本腎臓学会で従来の1.48から変更となっています)
基準値
女性より男性のほうがやや高めになります。
- 男性…90〜120ml/分
- 女性…80〜110ml/分
検査結果の判定
低値のときは、心不全や、糸球体腎炎、腎硬化症、糖尿病性腎炎、膠原病や尿管閉塞などによる腎障害が考えられます。異常値の程度としては、50〜70ml/分で軽度、30〜50ml/分で中等度、30ml/分以下で高度の障害が考えられます。30ml/分以下になると、心臓麻痺、腸閉塞、昏睡などを引き起こす尿毒症が疑われ、大変危険な状態です。
異常があったらどうするか?
境界値の範囲にいる人は、腎機能が基準値の1/2以下になっていることが考えられますので、脱水、妊娠など腎臓の負担になることや病状を悪化させることを避け、尿毒症にならないようにしましょう。
日常生活では、病気の程度に応じて軽い運動やタンパク質の摂取を制限する食事療法を行なうことが大切です。
異常な場合に疑われる病気
- 高値…糖尿病、末端肥大症など
- 低値…腎硬化症、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、膠原病などによる腎障害、心不全など
腎臓には異物を濾過して体外に排泄させるという重要な働きがあります。腎臓の糸球体では有用成分もいったん濾過されてしまいますが、健康であれば、有用成分のほとんどは尿細管を通過するときに再吸収され、老廃物と異物だけが体外に排泄されます。そこで、この色素を静脈からに注入し、どの程度の時間でどの程度の量が排出されるかをみることで、腎臓の機能を調べようというのがPSP試験(PSP排泄試験)です。
PSP試験で何がわかるのか?
PSPは血液内に入っても変化することなく、ほとんどが尿細管から排泄されますが、進行した腎炎やネフローゼ症候群、うっ血腎、水腎症などの尿細管の機能障害があると排泄が低下することになります。そのため、PSP試験は尿細管の機能を知るために欠かせない検査となっています。
PSP試験はどのように行なわれるのか?
排尿後に水300〜500ccを飲み、30分後にPSP試薬6mgを静脈内に注射して、15分後、30分後、60分後、120分後に排尿してPSP試薬の濃度を調べます。ただし、15分後の採尿分に37%以上のPSPの排泄がみられた場合には、腎臓の機能が正常と判定し、それ以上の検査は行わないこともあります。
基準値
採尿は数回行なわれますが、重要なのは15分後の値です。15分値で25%以上が基準値となります。
検査結果の判定
15分後のPSP排泄量が25%異常なら腎臓の尿細管は正常に機能していると判断されますが、25%未満であれば、腎臓の機能に何らかの障害があると考えられます。正常なら15分後には25〜50%、120分後には55%以上が排泄されます。
異常があったらどうするか?
腎機能を詳しく調べるため尿量、尿素窒素、クレアチニン、クレアチニン・クリアランス、電解質などの検査を受け、診断が下ったら指示に従って治療を進めます。
異常な場合に疑われる病気
急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、水腎症、尿毒症など
クレアチニンとは、筋肉運動のエネルギー源となるアミノ酸の一種クレアチンが代謝されてできた物質です。尿酸や尿素窒素と同様に老廃物のひとつです。
クレアチニンは腎臓の糸球体で濾過されますが、尿素窒素とは違って尿細管ではほとんど再吸収されずに、尿中に排泄されます。筋肉運動の代謝産物であるため、筋肉量に比例した量となります。
クレアチニンを調べると何がわかるのか?
クレアチニンは、腎臓が正常にはたらいていれば、尿として体外に排泄されます。つまり血液中のクレアチニンが多いということは、腎機能が障害されているということになります。この検査は簡単なうえに、腎臓以外の影響は受けにくいので、腎機能、腎糸球体機能のスクリーニング(ふるいわけ)や経過観察のための検査として行なわれています。
また、クレアチニンは、筋肉の病気を調べるときにも検査されます。筋肉内で合成されるクレアチニンの量は筋肉の量に比例するため、筋ジストロフィー症などの筋肉の萎縮する病気があるときは低値になります。
しかし、クレアチニンは、腎機能(糸球体濾過率)が50%以下になるまでは上昇しないため、軽度の腎機能障害の判定には適当とはいえません。そこで、診断にあたっては腎糸球体機能の変化をさらに正確に測定するクレアチニン・クリアランスを行ないます。
クレアチニンはどのように検査するのか?
血液を採取し、酵素を利用した試薬を加え、比色計で色の変化を調べます。食事については制限などはありませんが、検査前日からは激しい運動などは控えてください。
基準値の範囲
- 男性…0.5〜1.1mg/dl
- 女性…0.4〜0.8mg/dl
クレアチニン値は筋肉量に比例するので、一般に女性より男性のほうが10〜20%高値になります。年齢による変動はほとんどありません。高齢者では年齢とともに腎糸球体濾過率が低下しますが、筋肉量を減少するため、ほぼ一定になります。
検査結果の判定
血液中のクレアチニンの数値が高いのは、腎機能が低下していることを示唆し、低い場合は、筋肉に関わる異常を想定します。日本人間ドック学会の判定基準では、男性が1.2〜1.3mg/dl、女性が0.9〜1.0mg/dlは、場合により経過観察が必要とされています。
一般に中程度の腎不全では1.5mg/dlを超え、重症では2.4mg/dl以上になります。
そして、クレアチニンの値が5mg/dlを超えると回復は難しくなり、10mg/dlが人工透析を始める一つの目安となります。
クレアチニンと尿素窒素は、腎機能が50%前後まで低下しないと高値を示しません。数値に異常があればなんらかの疾患が進行していることが考えられますので、すぐに原因究明を行なうことが必要です。その意味では、境界域でも危険な数値と考えた方がよいでしょう。
異常があったらどうするか?
異常値の原因となっている病気を確定するため、PSP排泄試験、電解質測定、フィッシュバーグ濃縮試験、クレアチニン・クリアランス、腎盂造影、X線CT、腎生検などの検査が行なわれます。
原因となる病気の確定診断が付いたなら、治療を開始します。腎不全で老廃物が血液中にたまると、心臓麻痺、腸閉塞、昏睡などの危険性がある尿毒症を起こします。特に急性腎不全の場合は、クレアチニン値が一定以上になると人工透析の必要性も考慮に入れなければなりませんので、迅速な対応が必要となります。
腎盂腎炎や腎臓結石の場合、治療によって利尿が進めば、クレアチニン値は間もなく回復します。
日常生活では、タンパク質の摂取を制限する食事や適度な運動を心がけるとともに、脱水や感染などの憎悪因子を避けるようにしましょう。また、慢性腎疾患ではクレアチニン値を月1〜2回測定し、さらに糸球体濾過率を推定するために、クレアチニン・クリアランスを半年ごとに調べるとよいでしょう。
異常な場合に疑われる病気
- 高値…急性・慢性腎炎、腎不全、尿毒症、腎盂腎炎、腎臓結石、肝硬変、心不全など
- 低値…筋疾患(筋ジストロフィー)、尿崩症など
人間の体の約60%は水分で、この水分は細胞内液や血漿などの体液として存在します。体液はさらに、水に溶けて電気を通すミネラルイオンである電解質(ナトリウムイオンや塩素イオンなど)と、水には溶けるが電気は通さない非電解質(ブドウ糖や尿素など)とに区分されますが、ここで検査の対象としているのは前者、つまり電解質です。
それぞれの電解質はバランスをとりながら、人間が生きていくうえで欠かすことのできない重要な役割を果たしています。列挙すれば、「ナトリウム」はからだの水分を調節する働き、「カリウム」は筋肉や神経に関係のある働き、「カルシウム」は骨や歯の形成、神経刺激の伝達、血液の凝固に関係した働き、「クロール」は体内に酸素を供給する働き、を担っています。
電解質を調べると何がわかるのか?
体液中のイオン濃度を測定し、バランスの崩れを調べて体内の障害を診断します。
陽イオンと陰イオンは、バランスを保ちながら体液中に存在し、血液の浸透圧を保っており、病気になるとこのバランスが崩れ、体内が酸性になったり(アシドーシス)、アルカリ性になったり(アルカローシス)します。
また、体内の水分量の調節は腎臓が担っているため、腎障害の疑いがあるときにも実施されます。高血圧治療用のカリウムを大量に排泄させる利尿剤を飲んでいる人にもこの検査が必要です。
電解質はどのように検査するのか?
採取した血液を分析器で調べます。
電解質イオンの基準値(イオン選択電極法)
- ナトリウム(Na)…135〜150mEq/l
- カリウム(K)…3.5〜5.0mEq/l
- カルシウム(Ca)…9〜11mEq/l
- クロール(Cl)…95〜108mEq/l
異常があったらどうするか?
血清中の電解質の濃度に異常がある場合は、重い病気にかかっていることが多く、大部分は入院治療となります。また、偏食による異常値なら、食事内容を改善する必要があります。拒食症の場合には、精神科医に相談して治療を受けなくてはなりません。
電解質イオンの濃度のバランスは滅多に崩れるものではありませんが、一度崩れたら生命も危険な状態に陥りますから、すぐに専門医による治療が必要です。
腎盂造影検査とは、尿が排泄される通り道となる腎盂や尿管、膀胱などを造影剤で染め出し、それらの形の変化や異常を調べる検査です。この検査からは、それらの臓器の機能的な異常まではわかりません。検査方法には、静脈に造影剤を注入してX線撮影する排泄性腎盂造影検査(IP)と、膀胱内視鏡とカテーテルを用いて造影検査をする逆行性腎盂造影検査(RP)があります。
腎盂造影検査で何がわかるのか?
血尿は、腎臓、尿管、尿道の病気で認められ、無症状の場合から激しい痛みや発熱を伴うものまで、症状はさまざまです。血尿の原因をはっきりさせるために行なう検査の一つが、この腎盂造影検査です。この検査では、腎臓の結石、腫瘍や尿管結石、膀胱の腫瘍や結石、水腎症などが診断されます。
腎盂造影検査はどのような検査か?
腎盂造影検査には、造影剤を注射する排泄製造影と、尿道から細い管(カテーテル)を入れて造影剤を注入する逆行性造影とがありますが、前者が一般的です。
排泄性腎盂造影検査は、検査台に仰向けに寝ます。まず、腎臓、尿管の単純撮影(造影剤を使わない検査)を行ない、次に造影剤を注射します。注射終了後5、10、15分に腎臓、尿管を撮影します。その後、排尿して立位で膀胱を撮影して検査は終了です。
逆行性腎盂造影検査は、まず鎮静剤を筋肉注射し、検査台に仰向けに寝ます。麻酔薬の入ったゼリーを塗った膀胱鏡を、尿道口から膀胱へと入れ、次に膀胱鏡の中を通したカテーテルを尿管口から目的の尿道や腎盂まで挿入し、造影剤を注入し撮影します。
検査を受けるときの注意
- 喘息やそばアレルギーのある人、腎機能の弱い人は、造影検査の歳には注意が必要です。事前に申し出てください。
- 妊娠中の女性や以前ヨード系薬剤でアレルギー反応を起こしたことのある人は、必ず医師に報告してください。
- 腸にガスが溜まるとX線フィルムが読み取りにくくなるので、検査前に排尿、排便を済ませておきます。ガスの溜まりやすい人は前日に消泡剤を服用することがあります。
検査結果の判定
造影剤はX線を透過させないので、腎盂や尿管、膀胱が、形どおりに白く写り、結石があるとその部分が抜けて見えます。また、膀胱腫瘍では、腫瘍状の欠損(黒い塊)に写ります。
異常があったらどうするか?
異常が発見されたら、必要に応じて超音波、ヘリカルCT、腹腔鏡などの検査を行ない、診断に従って治療を進めます。
異常な場合に疑われる病気
尿管結石症、尿管狭窄、腎盂腫瘍、腎臓結石、水腎症、膀胱腫瘍など
腎臓は、尿素やクレアチニンなどの体の老廃物を濾過して尿の中に排泄したり、体の中の水分や電解質(ナトリウムやカリウムなど)の調節、さらにレニンなどの血圧の調節をするホルモンの一部を分泌するなどの働きがあります。
腎シンチグラフィーは、これらの腎臓の働きをみる検査で、放射性同位元素(RI=ラジオアイソトープ)を体内に注入して、腎臓の変化をシンチカメラで検出して、画像処理して判定するもので、腎核医学検査とも呼ばれています。
腎シンチグラフィーには、腎臓の血流や糸球体での濾過能力など、腎臓の機能をみる腎動態シンチグラフィーと、腎臓の位置や大きさ、病変部位を調べるなど、腎臓の形態をみる腎静態シンチグラフィーの2つのタイプがあります。
腎動態シンチグラフィー
腎通過尿量を確保して検査結果の評価が行なえるように、検査20〜30分前に水200〜300mlを飲み、排尿してから核医学検査室で行ないます。γ(ガンマ)線を放出するアイソトープを静脈注射し、直後からγ線を感知するシンチカメラを腰部に近づけ30分連続して撮像し、画像解析します。
この検査では、アイソトープの腎臓への集積、排泄される様子を時間を追って画像の変化でとらえることができ、腎実質障害と尿路排泄障害との鑑別や、障害の程度を視覚的に確認できます。移植腎の急性拒絶反応の診断にも有効です。
また同時に撮影できるレノグラムでは、腎臓に流れ込む腎動脈の血流の様子、糸球体濾過値などを左右別々の腎臓で知ることができます。ヨード剤にアレルギーのあるために腎盂造影検査を行なうことができない場合、この検査が非常に有効です。
腎静態シンチグラフィー
使用するアイソトープは長時間、腎臓の皮質に集積し、尿中にほとんど排泄されないので、腎臓の形態をみるのに適しています。アイソトープを静脈注射して2時間後に撮影します。
この検査で、腎臓の位置、大きさ、形態、病変部位などが確認でき、左右の腎RI摂取率なども測定されます。慢性腎炎、腎不全、腎梗塞、馬蹄腎(左右の腎臓がつながっている形体異常)、腎損傷の診断、腎盂腎炎などの感染後の腎瘢痕の早期診断、腎移植後の残存機能の評価などに有効です。
検査を受けるときの注意点
- 妊娠中、または妊娠の可能性のある方は検査を受けられない場合がありますので、事前に申し出てください。
- 検査当日の飲食は普通にとってかまいません。
- 検査着に着替える必要はありませんが、金属類は画像処理に影響するので、あらかじめはずしておきましょう。
- 体内に入ったアイソトープはごく微量で、速やかに尿中に排泄されるので、体内に貯留する心配はありません。
異常な場合に疑われる病気
慢性腎炎、腎不全、腎梗塞、馬蹄腎、腎損傷など
前立腺は、男性にのみある生殖器官です。多くの男性は、50歳代後半になる頃から、尿の出に勢いがなくなる、尿の切れが悪い、尿が出始めるまで時間がかかるなどの症状を自覚し始めます。
これらの症状は、前立腺肥大による初期症状と考えられ、この場合に行なう検査の一つが膀胱尿道造影検査です。
膀胱尿道造影検査で何がわかるのか?
前立腺は、尿道の根部(膀胱との境)にあり、これが肥大すると尿道を圧迫して排尿障害をおこします。前立腺がんでも、前立腺は大きくなり、初期には前立腺肥大症と同じ症状を示すため、がんと肥大を区別するためにも重要な検査です。
その他、尿道狭窄、尿道憩室、外傷、膀胱がんなどの診断のためにも行なわれます。
膀胱尿道造影検査はどのような検査か?
排尿してから検査を始めます。まず、ズボンや下着はすべて脱ぎ、タオルを腰に巻いて検査台に仰向けになり、造影剤を使わない状態で膀胱部の写真を1枚撮ります。
次に、外尿道口から麻酔薬の入ったゼリーを塗ったカテーテル(細い管)を約3cm挿入、カテーテルを通して造影剤を注入しながら尿道の正面の写真を、さらに45度ほど体を起こして、再び造影剤を注入しながら同じ部分の写真を撮ります。
最後に、再び造影剤を注入して、膀胱部の正面像を撮影します。造影剤の注入時は、痛みはほとんどありません。検査にかかる所要時間は約20分くらいで、外来でもできます。
検査結果の判定
前立腺が大きくなっていると、膀胱が圧迫されている形が写しだされます。前立腺肥大の場合にはその線が滑らかですが、がんの場合には不整になります。
異常があったらどうするか?
前立腺がんが疑われるときには、CT検査や前立腺生検を行なって確認し、手術を行ないます。前立腺肥大の場合には、排尿障害の程度を診断し、必要に応じて手術を行ないます。
異常な場合に疑われる病気
前立腺肥大、前立腺がん、尿道狭窄、尿道憩室、膀胱がんなど
CTとは、X線を人体の横断面に360度の多方向から照射し、各方向でのX線吸収の差をデータとして収集し、コンピュータで像を作り上げ、人体の横断面(輪切りにした画像)を得る検査です。通常のX線では写らない臓器の病変も、はっきり観察できるのが特徴です。
腎CT検査は、苦痛が少なく、診断評価の高い画像が得られるため、腎臓、副腎、膀胱、後腹膜腔などの泌尿器系の疾患の診断に広く利用されています。腎嚢胞や多発性嚢胞腎では、病変部がはっきりわかり、確定診断をつけることができます。そのほか、腎がん、腎結石、水腎症、副腎腫瘍、尿管結石、膀胱腫瘍などの診断に有効です。
腎CT検査はどのように行うのか?
装置のベッド上に仰向けになり、両腕を上げた姿勢で検査をします。造影剤を使用しない単純CTと、造影剤を使用する造影CTとがあり、通常は単純CTの後に続いて造影CTを行います。
異常な場合に疑われる病気
腎嚢胞、多発性嚢胞腎、腎がん、腎結石、水腎症、副腎腫瘍、尿管結石など
膀胱鏡(ぼうこうきょう)検査とは、直径6mm、長さ30cmくらいの金属製の筒を、尿道口から挿入して、尿道と膀胱を観察する検査のことです。炎症や腫瘍を観察する検査で、腫瘍が疑われる場合には、その部分から組織をとって、生検を行ないます。
膀胱鏡検査はどのような検査か?
局所麻酔をして内視鏡を挿入します。女性は尿道が短くて真っすぐなのでほとんど苦痛はありませんが、男性は尿道が長く曲っているので苦痛を訴えることが少なくありません。
なるべくリラックスしていれば苦痛は少なくてすみます。所要時間は30分、通院で行なえます。
検査結果の判定
異常は、そのままの形で肉眼視できます。必要に応じて画像を撮影することがあります。代表的な疾患は、膀胱炎、膀胱腫瘍、膀胱結石、膀胱憩室などです。膀胱壁が外部から押されたような形で変形していたら、前立腺肥大や前立腺がんなどを想定します。腫瘍の疑いがあれば、組織採取を行なって、悪性か両性かを判断します。
異常があったらどうするか?
診断結果に従って治療を受けます。膀胱炎の場合は薬物治療が、がんの場合には切除するか抗がん剤を注入する治療が行なわれます。
異常な場合に疑われる病気
膀胱がん、膀胱炎、膀胱憩室、膀胱結石など
腎生検とは、背中から穿刺針を刺して腎臓に届かせ、腎臓の組織を採取して、顕微鏡で調べる検査です。腎臓は左右にありますが、どちらか片方の腎臓から採取します。
穿刺前は局所麻酔が行なわれ、超音波装置でみながら腎臓の位置や大きさが確認されます。
通常の顕微鏡だけではなく、電子顕微鏡でも観察し、組織を蛍光染料で染めて、自己免疫タンパクがないかどうか調べます。
腎臓の組織の一部をとり、顕微鏡で評価を行なうこの検査は、蛋白尿、腎炎、腎硬化症、腎不全などの腎臓疾患を診断し、患者さんにとって最適な治療法を決定するうえで欠かせません。
腎生検で何がわかるのか?
糸球体や尿細管の状態をみるだけでなく、自己免疫性タンパクを見つけたりして、腎炎、腎硬化症、自己免疫腎炎などの腎臓疾患の確定診断を下すことができます。
なお、腎臓の腫瘍に対しては、腎生検は行なわれません。
腎生検はどのような検査か?
超音波で腎臓を映し出しながら、目的の場所まで穿刺針を刺しこみ、組織を採取してきます。背中に多少強めの衝撃と圧迫感を感じますが、局所麻酔を行なうので痛みはある程度抑えられます。所要時間は2時間くらいです。
穿刺針を抜いた直後は、腎臓からの出血を抑えるために強い圧迫止血が行なわれ、その後は絶対安静が必要となります。安静中に血尿があれば、穿刺部に血塊ができるのを防ぐ輸血が行なわれます。
24時間以上経過したら超音波検査で腎臓の状態を確認して、穿刺部の血塊がなく止血していれば、安静が解除されます。
検査結果の判定
糸球体や尿細管の状態で、急性腎炎、慢性腎炎、腎硬化症の鑑別ができます。また、組織中の自己免疫タンパクを見つけることによって自己免疫性腎炎の診断が下せます。
異常があったらどうするか?
腎臓疾患の確定診断がなされますから、治療方針に従って治療を進めることになります。
異常な場合に疑われる病気
急性・慢性腎炎、腎硬化症、ネフローゼ症候群、自己免疫性腎炎、増殖性腎炎、腎不全など
前立腺がんが疑われるときに行なわれる検査です。前立腺を調べるには、肛門から指を挿入して触れる検査(直腸診)を行います。かたい、凹凸がある、圧痛があるなどで、前立腺がんの疑いが強い場合には、超音波検査やCT検査をおこないますが、更に確実に診断するために、前立腺に針を刺して疑わしい組織をとり、染色してがん細胞を調べる検査が行なわれます。これが前立腺針生検です。
前立腺針生検はどのような検査か?
出血の心配があるので、入院して行なわれます。局所麻酔をして肛門ないしは会陰部から針を刺し、超音波画像を見ながら疑わしい場所に届かせ、組織を採取します。前立腺がんが主に発生する左右の辺縁領域から少なくとも6か所以上採取するのが一般的です。最近ではがんの検出率を高めるため、多数か所から組織を採取する多部位生検を行う傾向にあります。検査時間は30分〜1時間くらいです。そのあと止血するまでの数時間は安静にします。
異常があったらどうするか?
がんの確定診断がついたら、骨盤部のCTやMRI検査と、骨に転移がないか骨シンチグラフィーの画像診断を行い、がんの病期分類をしてから治療に入ります。
異常な場合に疑われる病気
前立腺がん
前立腺肥大症の症状の程度を点数化して評価し、治療に用いるために、米国泌尿器科学会で提唱されたアンケート形式の検査です。過去1ヶ月間の排尿の状態を数項目に分けて回答し、結果を点数で表わします。
国際前立腺症状スコアの判定
尿路の症状には複数の要素が関係しているため、この点数だけで完全な判定はできませんが、一般的には0〜8が軽症、9〜20が中等症、20以上が重症の前立腺肥大症と考えられています。
注意点
尿が全然出ない(尿閉)状態が繰り返される場合は、合計の点数が低くても「重症」ですので、点数に高低に関わらず、気になる症状がある人は早めに泌尿器科を受診しましょう。前立腺肥大症の疑いがある場合は、直腸診、膀胱尿道造影、超音波検査、尿流量測定、残尿測定などが行われます。
前立腺特異抗原とは、前立腺の上皮細胞と尿道の周囲の腺から特異的につくられて分泌される、糖タンパクの一種です。英語表記のProstatic Specific Antigenの頭文字をとって、一般的にはPSAと呼ばれています。
前立腺にがんができると、このPSAの分泌量が正常の2倍以上に増えるために、早期がんの発見のスクリーニング検査とし行なわれるほか、進行がんの診断や治療経過を見るうえでも大変重要な検査となっています。
なお、前立腺がんのスクリーニングとして早くから用いられていたPAP(前立腺に含まれる酸性ホスファターゼ)は、早期がんの検出率はあまり高くなく、むしろ、前立腺がんの転移の発見や治療効果、経過観察などに役立てられれいます。
前立腺特異抗原(PSA)はどのように測定するのか
血液を採取して測定します。約1mlの血液で調べることができるので、一般の血液検査と同時に行なうことができます。そのため、生活習慣病検診などでもPSA検査が実施されるようになっています。
基準値(タンデム法)
4.0ng/ml以下
検査結果の判定
PSAは、値が高くなればなるほど、前立腺がんである危険性も高くなります。ただ、「どの値からが前立腺がんだ」という明確な基準はありません。上記のタンデム法を基準にすると、4.0ng/ml以下を正常、4.1〜10ng/mlをグレーゾーンといい、がんの危険性は20〜30%、10.1ng/ml以上では強くがんが疑われ、がんの危険性は50%胃所湯になります。
PSA検査は、前立腺がんのスクリーニングとしてきわめて有効な方法ですが、前立腺がんのみに特異的なマーカーではなく、前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇します。そこで、PSA検査だけで前立腺がんを見分ける確立を高くするために、ざまざま研究がなされています。
異常があったらどうするか?
PSA値が高くても、本当にがんか、また、がんの進行度や広がりまではわかりません。まず、肛門から指を入れる直腸診で前立腺の状態を調べ、MRI、経直腸的超音波検査などを行ない、がんが疑われたら、組織片を調べる前立腺生検で確定診断をつける必要があります。
異常な場合に疑われる病気
高値…前立腺がん、前立腺肥大症、急性前立腺炎