病院の検査の基礎知識

肝臓、胆道、膵臓の病気の検査の一覧

肝臓は再生能力があり、予備能力に富んでいるので、少々のダメージや障害では影響を受けません。肝臓がトラブルを抱えても、すぐには自覚症状が現れにくいことから、「沈黙の臓器」といわれています。そのかわり、症状が出てきたときには、かなり深刻という警告でもあります。

肝臓、胆道、膵臓の病気は近年増加しています

  • GOT、GPT(AST、ALT)…肝臓病の有無を調べる際に行われる一般的な検査です。
  • γ-GTP…アルコール性肝障害の診断に特に重要な検査です。
  • LAP…胆道が詰まると血液中に増加するので、胆道閉塞を起こす病気の診断に有用です。
  • ALP…γ-GTPやLAPと同様に、肝・胆道疾患の指標として用いられています。
  • LDH…特に急性肝炎や肝臓がん、あるいは心筋梗塞のときに著しく増加します。
  • ビリルビン…肝機能障害や胆管障害などがあると、ビリルビンが血液中に増加します。
  • コリンエステラーゼ…慢性の肝臓病の経過をみていくうえで、とても重要な検査です。
  • 尿ビリルビン、ウロビリノーゲン…急性肝炎の早期発見と経過観察に重要です。
  • A/G比…肝障害、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍などの可能性を探ることができます。
  • ICG試験…注射したICGの排出の具合を見て、肝臓の解毒機能をチェックします。
  • 膠質反応(コロイド反応)…肝機能検査のスクリーニングとして用いられています。
  • 腹部CT検査…肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなどの腹部臓器の悪性腫瘍を調べます。
  • 腹部超音波検査…胆石、早期肝臓がんの発見に有用です。
  • 腹部血管造影検査…腹部の太い血管に造影剤を流して、X線撮影します。
  • ERCP…早期の膵臓がん、胆嚢がん、胆管がんなどの精度の高い画像を得られます。
  • PTC・PTCD…胆管の狭窄や閉塞が疑われる場合、その部位および原因を探ります。
  • 腹腔鏡検査…腹部にレンズがついた細長い筒を挿入し、腹腔内臓器を肉眼で観察します。
  • 肝生検…肝臓に針を刺して組織や細胞を採取し、顕微鏡で細かく観察する検査です。
  • 腹水検査…腹水は必ず何らかの病気にともなって発生するので、採取して調べます。
  • HCV抗体…C型肝炎の感染の有無を調べることができます。
  • HBs抗原・抗体…B型肝炎ウイルス感染の有無や、その程度を知ることができます。
  • AFP…腫瘍マーカー。肝臓がんの患者の血液中に多く出てきます。
  • CA19-9…膵臓がん、胆道がんで高い陽性率を示す腫瘍マーカーです。
  • アミラーゼ…膵炎やすい臓がんの腫瘍マーカーとして有効です。
  • リパーゼ…アミラーゼと同様の変動を示しますが、より膵臓に特異的な変動を示します。
  • エラスターゼ1…早期の膵臓がんで数値が上昇するため、スクリーニングに有用です。
  • 十二指腸液検査…肝臓、胆嚢、胆管の異常、胆嚢の濃縮力、胆石の有無がわかります。

腹部超音波検査とは?

超音波は人間の耳には聞こえない高い周波数の音波で、一定方向に強く放射され直進性が高いという性質があります。これを利用して腹部に超音波を発信し、そこから返ってくるエコー(反射波)を受信し、コンピュータ処理で画像化して診断するのが腹部超音波検査(腹部エコー)です。

肝臓の断層画像

組織の組成によってそれぞれ基本的なパターンがありますが、腫瘍、ポリープ、炎症、結石などは周囲の正常な組織と組成が異なるため、超音波画像では、正常な組織との境界にコントラストが生じます。そのコントラストから、医師は異常が生じていることを見つけ出すのです。

超音波検査では、腫瘍などの有無だけでなく、その大きさや深達度(どのくらいの深さまで達しているか)も調べることができます。また、映し出される画像は、臓器がリアルタイムで動いて見えます。そのため、検査のための組織を採取したり、臓器の位置を確認しながら治療を行うときに使われることもあります。

さらに、この検査はX線検査のように放射線被爆の心配がなく、検査を受ける人の苦痛もなく安全なため、産婦人科では胎児の診察にも用いられています。

腹部超音波検査で何がわかるのか?
肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓の診断に重要で、なかでも胆石、早期肝臓がんの発見に有用です。胆石は、腹痛など何らかの症状を認めずに、検診などで初めて指摘される場合も多く、また、胆石保有者の約10%は生涯、無症状で経過するといわれています。胆石などが合っても腹痛や黄疸などの症状が出なければ問題ないので、胆石や胆のうがんを合併する確立は10%以下です。

C型肝炎ウイルスが原因となっている慢性肝炎は、肝硬変や肝臓がんに移行する確率が高いので、定期的な検査で早期の変化をとらえるために、この検査が頻用されています。

腹部超音波検査はどのように行なうのか?
腹部を十分に広く出すため、ズボンやスカートは腰の骨位まで下げます。検査台に仰向けに寝て、両手を頭の方にあげて、手枕をした姿勢をとります。

最初に、皮膚と音波を出す探触子(プローブ)との間に空気が入らないように、腹部にゼリーを塗ります。プローブを腹部に押し当て、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓など腹部内臓器の断面層の画像をモニターテレビでで観察します。検査部位により横向きや座った姿勢で検査を受けます。

この検査は、放射線を使用しないので、被爆の心配はなく、安心して受けられます。検査時間は部位によって異なりますが、通常10〜20分くらいです。

検査結果の判定
結石は、音波を強く反射します。胆嚢内は、液体があるため黒く写し出され、その中に石があると白い像(高エコー像)に写ります。また、音波は石に反射されるため、石の後方にエコーが伝わらない像(音響陰影)がみられます。ポリープも白い像になりますが、音響陰影を認めないため、両者を区別できます。肝臓がんは、肝臓内に腫瘍状の薄い白い像(低エコー像)を示します。

異常があったらどうするか?
GOT・GPTγ-GTPをはじめとする血液生化学検査や腹部X線CT、腹部血管造影などの画像診断、組織の一部を採取して生検(肝生検・膵生検)や細胞診断を行なったり、肝臓・胆道・膵臓の腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-U、CA19-9、PSTI)検査などをおこない診断を確定させます。

異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、肝血管腫、肝硬変、肝嚢胞、脂肪肝、胆石、胆嚢ポリープ、胆嚢がん、膵臓炎、すい臓がん、腹部大動脈瘤など

腹部CT検査とは?

腹部CT(コンピュータ断層撮影)は、腹部の横断面に多方向からX線を照射し、コンピュータ処理によって鮮明な横断画面線を描き出します。肝臓や胆嚢、膵臓など内視鏡で観察できない腹部臓器の病変を診断する際に有効です。
検査方法には、造影剤を使わない単純CT撮影と造影剤を使う造影CT撮影があり、後者ではより明らかに判定できます。近年では、どちらの場合も断層面5mmで撮影するため、小さな変化(5mm以上)も読影できるようになっています。

腹部CT

腹部CT検査で何がわかるのか?
肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなどの腹部臓器原発の悪性腫瘍がないかどうか、それがどの程度進展しているか、腹部リンパ節に転移していないか、などがわかります。また、腹痛が急激に起こり、下痢や嘔吐などがともなう急性腹症が起きた際に、その原因となる消化管穿孔、胆石、胆嚢炎、膵炎、黄疸、尿路結石、解離性大動脈瘤、膿瘍などが見られないかを診断する際にも用いられます。

腹部CT検査はどのように行なうのか?
単純CT撮影と造影CT撮影の両方を行なうのが一般的です。検査着に着替え、検査台に仰向けに寝て、位置決めの撮影を行ないます。撮影は両腕を上にあげた姿勢で行ないます。位置決め撮影の後、単純CTの撮影をします。腹部臓器の石灰化にともなう病巣や胆道結石、腎結石がある場合、造影剤を注入すると見にくくなってしまうので、まず造影剤(ヨード剤を静脈から注入)しないで撮影するのです。このとき、腸管が区別して写るように液体造影剤のガストログラフィンを口から飲むことがあります。

単純CTの後、必要と判断されれば、造影剤(ヨード剤)を2分くらいかけて点滴静注し、造影CT撮影を行ないます。造影剤を注射する後に、冷汗や熱感を感じることがありますが心配ありません。検査中はマイクを通じて検査技師と会話することができますので、気分が優れない場合は申し出ましょう。検査時間は合わせて20〜40分くらいです。X線の被爆量は靭帯には問題なく、月に2〜3回の繰り返し検査も可能です。

また、ダイナミックCTと呼ばれる検査があります。これは、造影剤をより急速に静脈注射し、肝臓がんや血管腫の状態をよりはっきりと診断する方法で、必要に応じて追加される検査です。

検査結果の判定
肝臓がんは、単純CT撮影では周囲の正常な肝細胞よりやや黒っぽい腫瘍像として写り、造影CT撮影ではそれが白く写ります。膵臓がんは、単純、造影のどちらでも部分的な黒っぽい腫瘍像として写り、膵臓の尾側の膵管が拡張している像になります。必要があれば、腹部血管造影などの結果と組み合わせて、診断がなされます。

異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、胆道がん、肝硬変、胆石、胆嚢炎、膵炎、大動脈瘤など

GOT、GPTとは?

GOTとGPTは、肝臓病の有無について調べるとき、検診や人間ドックなどで最も一般的に行なわれる検査です。GOT、GPTはともにさまざまな臓器細菌の中にあり、人体の重要な構成要素であるアミノ酸をつくる働きをしています。

肝臓疾患の早期発見に努めましょう

血液中にも常に一定量が出ていますが、臓器や組織が損傷するとその分量が増加します。GOTは心筋、肝臓、骨格筋、腎臓などに多く存在するため、これらの臓器の細胞に異変が起こると血液中のGOTの量が増加します。そのため、肝臓障害、心筋梗塞、溶血などの診断に有効な検査となっています。またGPTは、とくに肝細胞の変性や壊死に鋭敏に反応するので肝臓・胆道系の病気の診断に有効な検査となっています。

肝臓の機能は非常に複雑で、新陳代謝の中心的な役割を果たしていますが、病気にかかっても無自覚のまま症状が進む場合が多く「沈黙の臓器」と呼ばれています。人体で唯一、再生可能な臓器ですが、一度壊れると元の状態に戻すのに時間がかかります。自覚症状が出る前に検査を受け、肝臓疾患を早期に発見することが大切です。

なお、最近、GOTはAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、GPTはALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)という名称に変更しつつあります。

GOTとGPTを調べると何がわかるのか?
GOTは肝細胞に多く含まれているため、肝細胞の破壊(障害)が進むと血液中のGOTの値が異常に上昇してきます。肝臓病の種類や障害の程度によって、GOTの上昇度に差があり、細胞の障害が強いほど数値は高くなります。

GOTは肝細胞のほか、心筋(心臓の筋肉)や骨格筋の細胞にも多く含まれているため、これらの病気の指標にもなります。例えば、急性心筋梗塞が起こって、心筋細胞が傷害されると基準値の数倍から10数倍、筋ジストロフィーなどの筋肉の病気では数倍の高値になります。

GPTもGOTと同様、肝細胞や心筋、骨格筋の細胞に多く含まれているために、これらの病気の指標になります。GPTは、GOTより血液中から消失するのに時間がかかるため、しばらく高値が続くという特徴があります。
そのため、急性肝炎の極期ではGOTよりGPTが高値となり、またこの時期に黄疸も強くなります。
さらに、慢性肝炎や脂肪肝でもGOTよりGPTが高値になります。

GOTとGPTはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。遠心分離器にかけて血清と血球に分け、血清部分を分析器で検出します。GOTは、赤血球の中にも含まれているため、採血、分離するときに赤血球が壊れること(溶血)があると、GOTが外に出て軽度上昇します。

基準値(JSCC法)

  • GOT(AST)…35IU/l以下
  • GPT(ALT)…35IU/l以下

GOT/GPT比による疾患鑑別法と代表的な疾患

  • GOT/GPT<1(GOT値が小さい)…慢性・急性肝炎、脂肪肝、肝硬変初期、胆汁うっ滞など
  • GOT/GPT>1(GOT値が大きい)…劇症肝炎、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、進行した肝硬変、溶血、うっ血性心不全、心筋梗塞など
  • GOT/GPT>2(GOT値が2倍超)…原発性肝がん、筋ジストロフィー

急性肝炎
急性肝炎にかかると、早期からGOTとGPTが高値になります。特に黄疸があれば、500〜3000IUくらいまで上昇します。しかし、ウイルス性肝炎の場合は、発症後2ヶ月以内にGOT、GPTとも基準値に戻り、約7割は跡形もなく直ります。

慢性肝炎
慢性肝炎の場合は、治りにくくて肝硬変まで進みやすい活動型か、比較的治りやすい非活動型かによって、GOT、GPTの値の比率が違ってきます。非活動型では、どちらの数値も50〜60IUの軽度の上昇を示し、活動型では100IUを超え、中等度の上昇を示すようになります。
肝炎の場合、急性か慢性化の決定や活動型か非活動型かの決定は、ほかの検査や肝臓の組織片をとって調べる組織検査などに基づいて診断されます。

劇症肝炎
GOT、GPTともに1000IU異常の著しい上昇を示します。そして黄疸が現れ、腫れていた肝臓が突然縮小して昏睡におちいり、志望することも少なくありません。
このような場合は、すでに肝細胞の広範囲な壊死により、血中に漏れ出る酵素が減少するため、GOT、GPTは低下し、基準値近くなります。劇症肝炎の場合、GOT、GPTの減少はむしろ経過不良を意味するわけです。

異常があったらどうするか?
胆道系酵素であるALPγ-GTPの検査も行ない、GOT、GPTと組み合わせて病気の鑑別を行ないます。これらの組み合わせ検査は、考えられる病気の可能性をみるのに役立ち、また、確定診断後の病気の経過観察にも有用です。確定診断には、さらにウイルスマーカーや腫瘍マーカーのチェック、腹部CT検査腹部超音波検査などの画像診断、腹腔鏡検査、ときには肝生検を行ないます。

急性の病気の場合、特に心筋梗塞や劇症肝炎のように死亡率が高く思い病気の場合は、何よりも早期発見、早期治療が必要です。これらの病気は、病体が急激に変わるため、慎重な処置が必要です。慢性の病気では病変の変化に応じて指導を受け、治療していくことが大切です。定期的に検査を受けることも忘れないようにしましょう。

異常な場合に疑われる病気
慢性・急性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がん、劇症肝炎、胆道系のがん、すい臓がん、筋ジストロフィー、心筋梗塞など

ビリルビンとは?

血液に含まれている黄色い色素です。肝臓障害などで黄疸の症状が出たときにからだが黄色くなるのは、このビリルビンが増加しているせいです。したがって、この血中のビリルビンの量をみることで、黄疸が出る前に障害を知ることができ、また障害の種類も推定することができます。

血液を採取して調べます

ビリルビンは赤血球の中のヘモグロビンからつくられます。赤血球の寿命は約120日ですが、寿命が尽きて破壊されるときヘモグロビンはヘムとグロビンに分解され、酵素のはたらきでヘムとビリルビンに変化します。これを「間接型ビリルビン」と呼んでいます。

このビリルビンは肝臓へ運ばれ、再び酵素がはたらいて「直接型ビリルビン」と呼ばれるもの変化し、便の一部となったり、腎臓で尿の一部となって排泄されます。間接型と直接型を合わせたものを「総ビリルビン」といいます。

ビリルビンを調べると何がわかるのか?
肝機能障害や胆管障害などがあると、ビリルビンが血液中に増加してきます。したがって、ビリルビン値を調べれば、それらの臓器の障害の有無や程度を知ることができます。

ビリルビンはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。酵素を用いて調べる方法と、試薬で調べる方法とがあります。検査では総ビリルビンと直接ビリルビンを調べ、その差から間接ビリルビンを算出します。

基準値

  • 総ビリルビン…0.2〜1.2mg/dl
  • 直接ビリルビン…0.4mg/dl以下
  • 間接ビリルビン…0.8mg/dl以下

検査結果の判定
間接型ビリルビンが高値のときは、溶血性貧血や肺梗塞、敗血症、甲状腺機能低下症などの疑いがあります。直接型ビリルビンが高値のときは、胆汁うっ滞症など胆管・胆道系における閉塞の疑いがあります。また、直接型が高値で、中間型高ビリルビン血症になっている場合は肝細胞に異常があるとみられ、急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変などが疑われます。

異常があったらどうするか?
GOT・GPTγ-GTPALPLAPなどのほかの肝機能検査の結果と合わせて検討し、さらに必要に応じて、腹部超音波検査腹腔鏡検査肝生検などの精密を検査を行ない、病気が診断されます。診断が下ったら、医師の指示にしたい治療を受けてください。
場合によっては、急性肝不全の処置、血液透析、肝外胆汁うっ滞に対する緊急処置などが必要なこともあります。

異常な場合に疑われる病気
体質性黄疸、慢性・急性肝炎、肝硬変、溶血性貧血、肺梗塞、敗血症、甲状腺機能亢進症など

γ-GTPとは?

γ(ガンマ)-GTPは、肝臓や腎臓、膵臓、血液中などに含まれており、GOT、GPTと同様にタンパク質を分解する酵素のことです。この酵素は、毒性のあるアルコールや薬剤などが肝細胞を破壊したり、結石やがんなどによって胆管がつまったときなどに血液中に出てきます。

γ-GTPはアルコールに敏感です

そこで血液中のγ-GTPの濃度を調べることで肝臓や胆管の異常の有無を調べるのですが、肝臓や胆管に病気があるときにはほかの酵素より早期に反応を示します。そのため、肝臓障害の鋭敏なマーカーとして用いられています。

γ-GTPを調べると何がわかるのか?
肝臓病(慢性・急性肝炎、肝硬変、肝臓がん、薬剤性肝障害)や、胆石やがんなどで胆道が詰まったときに(閉塞性黄疸)、膵臓の病気、心筋梗塞などで高値を示します。

γ-GTPはアルコールに敏感で、毎日のように飲んでいる常習飲酒者では高く出やすくなります。特にアルコールで肝臓が障害されると、ALPやLAPなどのほかの胆道系酵素よりも早く異常値を示しますので、スクリーニング(ふるいわけ)としてよく使用されています。アルコール性肝障害の診断に特に重要な検査です。

γ-GTPはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。遠心分離器にかけて、血清部分を自動分析器で検出します。

基準値(JSCC勧告法)

  • 男性…50IU/l以下
  • 女性…30IU/l以下

検査結果の判定
基準値を超えている場合には、GOT・GPTLAPALPLDH、血清総タンパクなどの結果と合わせて検討することが大切で、それらも高値を示しているときは、肝臓病や閉塞性黄疸などが考えられます。

γ-GTPだけが高いときには、アルコールが原因の肝障害か膵臓の病気(膵炎や膵臓がん)を考えます。この場合には数日間禁酒した後、再検査をします。それでも数値の低下が認められなければ、肝臓か膵臓が障害されている可能性が高くなります。超音波検査やCT検査、アミラーゼ検査など、肝臓と膵臓の精密検査を行ないます。禁酒した後の再検査でγ-GTPが下がっていたら、肝障害の心配はありません。

異常があったらどうするか?
γ-GTP以外にGOT・GPTなども高値ならアルコール性肝障害以外の肝臓の病気が疑われるので、さらに詳しい検査が必要です。肝臓の病気も軽いものから重いものまでさまざまですから、ただγ-GTPが高いからといって、すぐに肝臓や胆道の病気だと深刻に考える必要はありません。適切な検査を受けて、異常が認められれば医師の指示に従って治療をはじめましょう。

異常な場合に疑われる病気
アルコール性肝炎、アルコール性脂肪肝、胆汁うっ滞性肝炎、慢性・急性肝炎、肝硬変、肝臓がん、薬剤性肝障害、胆石、すい臓がん、膵炎など

コリンエステラーゼ(ChE)とは?

コリンエステラーゼ(ChE)は体内ではたらく酵素の一種です。コリンエステルという物質をコリンと酢酸に分解することによって、たんぱくをつくりだしています。
このChEには2つの種類があり、一つは赤血球や筋肉、神経組織の中に含まれていて(真性ChE)、もう一つは血清や肝臓、膵臓、腸、肺などに含まれています(偽性ChE)。健診などでは肝機能検査の一つとして、この偽性ChEを測ります。

急激な上昇では、ネフローゼ症候群が疑われます

コリンエステラーゼ(ChE)を調べると何がわかるのか?
コリンエステラーゼはアルブミンと同様に肝臓だけで産生されているので、両者の値はほぼ平行して変動します。また、プロトロンビン時間とも一致します。コリンエステラーゼは、ほかの肝機能検査に比べていち早く異常値を示すので、これらの検査値とあわせてみることによって、肝臓の障害されている程度がわかります。
したがって、慢性肝炎や肝硬変などの慢性の肝臓病の経過をみていくうえで、とても重要な検査となっています。

脂肪肝やネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、糖尿病、原発性肝がんなどの場合は数値が上昇しますので、これらの病気を調べる際にも有用です。

コリンエステラーゼ(ChE)はどのように検査するのか?
血液を採取して、自動分析器で測定します。測定法により基準値が異なります。日内変動や運動の影響はありませんが、睡眠薬や緑内障治療薬(降眼圧薬)、抗血栓剤などでは数値が下がるので、あらかじめ申し出てください。なお、検査当日の飲食は普通にとってかまいません。

基準値
測定法によって基準値や単位が異なりますので、異なる医療機関で受けた検査結果を比べる場合は、単位に注意しましょう。個人差が極めて大きいのが特徴ですが、同一個人では安定しています。

  • フェノールレッド法…0.6〜1.2ΔpH
  • ブチリルチオコリン法…1900〜3800IU/l
  • ベンゾイルコリン法・・・1100〜1900IU/l

検査結果の判定
コリンエステラーゼ(ChE)は肝臓で産生されているので、ChE値が基準値を下回っている場合は、急性・慢性肝炎、劇症肝炎などが疑われ、著しく低いときは肝硬変や転移性肝がんが疑われます。
逆に、急激に増加した場合はネフローゼ症候群の疑いがあり、高値のときはそのほか甲状腺機亢進症、脂肪肝、高血圧症、糖尿病などが疑われます。

異常があったらどうするか?
コリンエステラーゼの異常としては、低値を示したときが重要で、肝細胞での合成能力下低下していることを反映しています。肝臓病であれば、GOT・GPTγ-GTPA/G比ICG試験などの血液検査や、尿ウロビリノーゲン腹部超音波検査腹部CT検査腹腔鏡検査肝生検などの精密検査を行なう必要があります。
肝硬変では、コリンエステラーゼが正常に回復する望みはありません。また、消耗性疾患(悪性腫瘍末期、低栄養)でも低値になるため、これらの鑑別、確定診断のための検査も重要になります。

異常な場合に疑われる病気

  • 低値…肝硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、悪性腫瘍など
  • 高値…ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、糖尿病、脂肪肝など

ICG試験とは?

肝臓には体内に入った異物をとらえ、それを中和してしまう働きがあります。肝臓の働きが弱まっていると異物は中和されることなく血液中に残留することになります。
そこで、異物に相当する色素を体内に注入し、一定の時間ごとに採決して残留度を測り、肝臓の機能を診断しようというのがICGの検査です。検査試薬に使用される色素インドシアニングリーンの頭文字をとってICG試験と呼ばれています。

ICGを静脈注射後、採血します

この検査は鋭敏な方法で、肝臓疾患の診断、予後判定によく用いられます。また、ICGは、血液中に入るとほとんどが肝臓の細胞に吸収され、胆汁中に排出されます。したがって、従来のBSP(ICGと同じ原理の検査で、BSP=ブロモスルホフタレインという色素を注射して調べる)に比べると、肝臓以外の臓器に吸収されることが少ないため、肝機能を調べる検査としてはより有用といえます。

ICG試験はどのような検査か?
体重1kgあたり0.5mgほどのICGをひじの静脈から注射します。そして15分後に、反対側のひじの静脈から採血をして、その血液残留量を調べます。

基準値と許容範囲
15分後の値が10%以下なら正常と診断されます。

検査結果の判定
15分後のICG残留量が15%異常の値を示したときには、引き続き30分後と45分後に採血し、異常の程度を調べます。45分後に30%以上の場合は明らかに肝機能障害をおこしています。

15分後の段階でICG残留量が30%以上のときには、肝硬変だと思ってまず間違いはありません。そのほか、肝炎、肝臓がん、体質性黄疸なども疑われます。また、症状にはあまり出ていなくても、異常値が出たら、隠れた肝障害があると考えてよいでしょう。

異常があったらどうするか?
肝機能障害が疑われたら、GOT、ALPプロトロンビン時間γ-GTP肝生検などの検査を受けます。肝障害の種類、原因の診断がついたら、医師の指示に従って疾患にあった治療を受けましょう。

異常な場合に疑われる病気
肝炎、肝硬変、肝臓がん、胆汁流出障害、体質性黄疸など

アミラーゼとは?

アミラーゼは消化を行う酵素の一種で、でんぷんなどの糖分を分解するはたらきがあり、以前はジアスターゼと呼ばれていました。おもに膵臓と唾液腺から分泌され、膵臓の病気などを発見したり、経過を関さすつするための指標として用いられています。

膵炎や膵臓がんの早期発見に有用です

膵管閉塞が起こると、アミラーゼの流れが阻害されるため血中アミラーゼの上昇、遅れて血中濃度も増加します。そのほか膵炎や膵臓がんなど膵臓の病気でも変化が起こります。そこで、血液と尿のアミラーゼを測定することで、それらの兆候を読み取ろうというのがこの検査の目的です。

アミラーゼはどのように検査するのか?
血清アミラーゼは血液を採取して、血清部分を自動分析器にかけて検出します。
また、尿アミラーゼは採取した尿を自動分析器にかけて検出します。検査方法は色々ありますが、現在では酵素法と呼ばれる手法が主流となっています。

基準値と変動の範囲(酵素法)

  • 血清アミラーゼ…60〜250IU/l
  • 尿アミラーゼ…100〜1000IU/l

検査結果の判定
急性膵炎は激しい腰痛を起こしますが、この場合には、アミラーゼの値が平常の5〜10倍に上昇します。発病から3〜4日で血清アミラーゼは正常に戻りますが、尿アミラーゼは高値が続きます。回復期にもアミラーゼ値が変動することがあり、重症の膵炎や膵嚢胞を合併しているときは、経過の長引くこともあるので、2〜3週間は続けて測定します。
なお、急性膵炎はその他の膵酵素や腹部超音波検査、腹部CT検査とあわせて診断されます

慢性膵炎やすい臓がんは2〜3倍の高値が持続しますが、慢性膵炎でも急性増悪期には急性と同じように上昇します。この場合には、上記の検査のほか、膵胆管造影、腹部血管造影、腫瘍マーカーなどの検査を行ない、診断します。

急性耳下腺炎や唾石症など、唾液腺の病気でも血清アミラーゼは上昇しますが、ほおの腫れや顎の痛みなどで診断がつきます。

また、胃・十二指腸潰瘍の穿孔、急性の胆管・胆嚢炎、腸閉塞、腹膜炎などでも、すい臓が障害されたり膵液の排出が妨げられるため、膵型アミラーゼが上昇することがあります。劇症肝炎、糖尿病性ケトーシス、腹部外傷では唾液腺型アミラーゼが上昇する場合があります。

異常があったらどうするか?
異常値の原因となっている病気を発見し、その治療にあたることが第一です。
ただし、マクロアミラーゼ血症や、特発性の高唾液型アミラーゼ血症などは治療の必要はありません。持続する軽度の高値のときは、慢性膵炎やすい臓がんなどが考えられますので、エラスターゼ1リパーゼなどの酵素のほか、腹部超音波検査腹部CT検査、逆行性膵胆管造影、腹部血管造影、腫瘍マーカーなどの検査を受けましょう。

異常な場合に疑われる病気

  • 血清・尿ともに高値…急性膵炎、慢性膵炎の増悪期、すい臓がん、膵嚢胞、耳下腺炎、胃・十二指腸潰瘍、腹膜炎、腸閉塞など
  • 血清だけが高値…マクロアミラーゼ血症、腎不全、高唾液腺型アミラーゼ血症など
  • 血清・尿ともに低値…腎臓病末期、肝硬変、重度の糖尿病など

 
Copyright 2015 病院の検査の基礎知識 All Rights Reserved.