肝臓、胆道、膵臓の病気の検査の一覧

肝臓は再生能力があり、予備能力に富んでいるので、少々のダメージや障害では影響を受けません。肝臓がトラブルを抱えても、すぐには自覚症状が現れにくいことから、「沈黙の臓器」といわれています。そのかわり、症状が出てきたときには、かなり深刻という警告でもあります。

肝臓、胆道、膵臓の病気は近年増加しています

脂肪の消化吸収を助ける胆汁は、肝臓でつくられますが、胆道はこの胆汁が十二指腸に流れる通路です。胆道は、細い管の胆管とナスのような形の胆嚢から構成されています。
肝臓から分泌された胆汁は胆嚢に一時蓄えられ、濃縮されますが、十二指腸に食べ物が入ってくると、胆嚢は胆汁をしぼり出し、十二指腸に送り込みます。そして脂肪の消化吸収を助けます。

膵臓の重要な役目の一つは外分泌腺機能といわれ、消化酵素を分泌する働きです。糖分を分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼなど20種類以上の消化酵素を作り出し、これらの消化酵素は膵液となって十二指腸に送られ、食べ物の消化吸収を助けます。

二つ目は、ない分泌機能といわれる血糖値をコントロールする働きです。膵臓にあるランゲルハンス島という細胞からは、糖尿病などと関係の深い血糖値を下げるインスリンや、血糖値を上げるグルカゴンなどのホルモンが分泌されています。
膵臓は、この二つのホルモンの分泌を調節して、血糖値を安定させる働きをしています。

  1. GOT、GPT…肝臓病の有無について調べるとき、最も一般的に行なわれる検査です。
  2. γ-GTP…アルコール性肝障害の診断に特に重要な検査です。
  3. LAP…胆道が詰まると血液中に増加するので、胆道閉塞を起こす病気の診断に有用です。
  4. ALP…γ-GTPやLAPと同様に、肝・胆道疾患の指標として用いられています。
  5. LDH…特に急性肝炎や肝臓がん、あるいは心筋梗塞のときに著しく増加します。
  6. ビリルビン…肝機能障害や胆管障害などがあると、ビリルビンが血液中に増加します。
  7. コリンエステラーゼ…慢性の肝臓病の経過をみていくうえで、とても重要な検査です。
  8. 尿ビリルビン、ウロビリノーゲン…急性肝炎の早期発見と経過観察に重要です。
  9. A/G比…肝障害、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍などの可能性を探ることができます。
  10. ICG試験…注射したICGの排出の具合を見て、肝臓の解毒機能をチェックします。
  11. 膠質反応(コロイド反応)…肝機能検査のスクリーニングとして用いられています。
  12. 腹部CT検査…肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなどの腹部臓器の悪性腫瘍を調べます。
  13. 腹部超音波検査…胆石、早期肝臓がんの発見に有用です。
  14. ERCP…早期の膵臓がん、胆嚢がん、胆管がんなどの精度の高い画像を得られます。
  15. PTC・PTCD…胆管の狭窄や閉塞が疑われる場合、その部位および原因を探ります。
  16. 腹腔鏡検査…腹部にレンズがついた細長い筒を挿入し、腹腔内臓器を肉眼で観察します。
  17. 肝生検…肝臓に針を刺して組織や細胞を採取し、顕微鏡で細かく観察する検査です。
  18. 腹水検査…腹水は必ず何らかの病気にともなって発生するので、採取して調べます。
  19. AFP…腫瘍マーカー。肝臓がんの患者の血液中に多く出てきます。
  20. CA19-9…膵臓がん、胆道がんで高い陽性率を示す腫瘍マーカーです。
  21. HCV抗体…C型肝炎の感染の有無を調べることができます。
  22. HBs抗原・抗体…B型肝炎ウイルス感染の有無や、その程度を知ることができます。
  23. アミラーゼ…膵炎やすい臓がんの腫瘍マーカーとして有効です。
  24. リパーゼ…アミラーゼと同様の変動を示しますが、より膵臓に特異的な変動を示します。
  25. エラスターゼ1…早期の膵臓がんで数値が上昇するため、スクリーニングに有用です。
  26. 十二指腸液検査…肝臓、胆嚢、胆管の異常、胆嚢の濃縮力、胆石の有無がわかります。

腹部超音波検査とは?

超音波は人間の耳には聞こえない高い周波数の音波で、一定方向に強く放射され直進性が高いという性質があります。これを利用して腹部に超音波を発信し、そこから返ってくるエコー(反射波)を受信し、コンピュータ処理で画像化して診断するのが腹部超音波検査(腹部エコー)です。

肝臓の断層画像

組織の組成によってそれぞれ基本的なパターンがありますが、腫瘍、ポリープ、炎症、結石などは周囲の正常な組織と組成が異なるため、超音波画像では、正常な組織との境界にコントラストが生じます。そのコントラストから、医師は異常が生じていることを見つけ出すのです。

超音波検査では、腫瘍などの有無だけでなく、その大きさや深達度(どのくらいの深さまで達しているか)も調べることができます。また、映し出される画像は、臓器がリアルタイムで動いて見えます。そのため、検査のための組織を採取したり、臓器の位置を確認しながら治療を行うときに使われることもあります。

さらに、この検査はX線検査のように放射線被爆の心配がなく、検査を受ける人の苦痛もなく安全なため、産婦人科では胎児の診察にも用いられています。

腹部超音波検査で何がわかるのか?
肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓の診断に重要で、なかでも胆石、早期肝臓がんの発見に有用です。
胆石は、腹痛など何らかの症状を認めずに、検診などで初めて指摘される場合も多く、また、胆石保有者の約10%は生涯、無症状で経過するといわれています。
胆石などが合っても腹痛や黄疸などの症状が出なければ問題ないので、胆石や胆のうがんを合併する確立は10%以下です。

C型肝炎ウイルスが原因となっている慢性肝炎は、肝硬変や肝臓がんに移行する確率が高いので、定期的な検査で早期の変化をとらえるために、この検査が頻用されています。

腹部超音波検査はどのように行なうのか?
腹部を十分に広く出すため、ズボンやスカートは腰の骨位まで下げます。
検査台に仰向けに寝て、両手を頭の方にあげて、手枕をした姿勢をとります。

最初に、皮膚と音波を出す探触子(プローブ)との間に空気が入らないように、腹部にゼリーを塗ります。プローブを腹部に押し当て、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓など腹部内臓器の断面層の画像をモニターテレビでで観察します。検査部位により横向きや座った姿勢で検査を受けます。

この検査は、放射線を使用しないので、被爆の心配はなく、安心して受けられます。
検査時間は部位によって異なりますが、通常10〜20分くらいです。

検査を受けるときの注意
検査前日は、夜9時から水以外の飲食は禁止です。おなかにガスが溜まっていると画像が見にくくなるため、便秘気味の人は、あらかじめ申し出てください。
施設により、前日に、下剤またはガスをとる消泡剤を服用することがあります。胃の中のガスのために、胃の後方にある膵臓の画像が不鮮明で観察が困難な場合、300〜400mlの水を服用して、胃の中のガスを追い出すこともあります。
検査は検査着に着替えずに行ないますので、ワンピースなどは避けて、腹部の出しやすい服装にしてください。

検査結果の判定
結石は、音波を強く反射します。胆嚢内は、液体があるため黒く写し出され、その中に石があると白い像(高エコー像)に写ります。また、音波は石に反射されるため、石の後方にエコーが伝わらない像(音響陰影)がみられます。
ポリープも白い像になりますが、音響陰影を認めないため、両者を区別できます。
肝臓がんは、肝臓内に腫瘍状の薄い白い像(低エコー像)を示します。

異常があったらどうするか?
GOT・GPTγ-GTPをはじめとする血液生化学検査や腹部X線CT、腹部血管造影などの画像診断、組織の一部を採取して生検(肝生検・膵生検)や細胞診断を行なったり、肝臓・胆道・膵臓の腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-U、CA19-9、PSTI)検査などをおこない診断を確定させます。

異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、肝血管腫、肝硬変、肝嚢胞、脂肪肝、胆石、胆嚢ポリープ、胆嚢がん、膵臓炎、すい臓がん、腹部大動脈瘤など

腹部CT検査とは?

腹部CT(コンピュータ断層撮影)は、腹部の横断面に多方向からX線を照射し、コンピュータ処理によって鮮明な横断画面線を描き出します。肝臓や胆嚢、膵臓など内視鏡で観察できない腹部臓器の病変を診断する際に有効です。
検査方法には、造影剤を使わない単純CT撮影と造影剤を使う造影CT撮影があり、後者ではより明らかに判定できます。近年では、どちらの場合も断層面5mmで撮影するため、小さな変化(5mm以上)も読影できるようになっています。

腹部CT

腹部CT検査で何がわかるのか?
肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなどの腹部臓器原発の悪性腫瘍がないかどうか、それがどの程度進展しているか、腹部リンパ節に転移していないか、などがわかります。
また、腹痛が急激に起こり、下痢や嘔吐などがともなう急性腹症が起きた際に、その原因となる消化管穿孔、胆石、胆嚢炎、膵炎、黄疸、尿路結石、解離性大動脈瘤、膿瘍などが見られないかを診断する際にも用いられます。

腹部CT検査はどのように行なうのか?
単純CT撮影と造影CT撮影の両方を行なうのが一般的です。検査着に着替え、検査台に仰向けに寝て、位置決めの撮影を行ないます。撮影は両腕を上にあげた姿勢で行ないます。
位置決め撮影の後、単純CTの撮影をします。腹部臓器の石灰化にともなう病巣や胆道結石、腎結石がある場合、造影剤を注入すると見にくくなってしまうので、まず造影剤(ヨード剤を静脈から注入)しないで撮影するのです。このとき、腸管が区別して写るように液体造影剤のガストログラフィンを口から飲むことがあります。

単純CTの後、必要と判断されれば、造影剤(ヨード剤)を2分くらいかけて点滴静注し、造影CT撮影を行ないます。造影剤を注射する後に、冷汗や熱感を感じることがありますが心配ありません。
検査中はマイクを通じて検査技師と会話することができますので、気分が優れない場合は申し出ましょう。検査時間は合わせて20〜40分くらいです。X線の被爆量は靭帯には問題なく、月に2〜3回の繰り返し検査も可能です。

また、ダイナミックCTと呼ばれる検査があります。これは、造影剤をより急速に静脈注射し、肝臓がんや血管腫の状態をよりはっきりと診断する方法で、必要に応じて追加される検査です。

検査を受けるときの注意
前日の夕食は普通にとってかまいませんが、当日の朝は絶食します。また、糖尿病薬以外の常用薬は、服用してもかまいません。検査後の安静は不要で、食事も問題ありません。検査時のヨード剤は尿から体外に排出されますので、水分は多めにとってください。

なお、ヨード剤にアレルギーのある人や妊娠中あるいはその可能性のある人は造影検査を行なうことは出来ませんので、医師にあらかじめ申し出てください。
また、喘息やそばアレルギーのある人、腎機能に障害がある人も、造影検査の際に注意が必要ですので、事前に申し出てください。

検査結果の判定
肝臓がんは、単純CT撮影では周囲の正常な肝細胞よりやや黒っぽい腫瘍像として写り、造影CT撮影ではそれが白く写ります。膵臓がんは、単純、造影のどちらでも部分的な黒っぽい腫瘍像として写り、膵臓の尾側の膵管が拡張している像になります。
必要があれば、腹部血管造影などの結果と組み合わせて、診断がなされます。

異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、胆道がん、肝硬変、胆石、胆嚢炎、膵炎、大動脈瘤など

GOT、GPTとは?

GOTとGPTは、肝臓病の有無について調べるとき、検診や人間ドックなどで最も一般的に行なわれる検査です。GOT、GPTはともにさまざまな臓器細菌の中にあり、人体の重要な構成要素であるアミノ酸をつくる働きをしています。

肝臓疾患の早期発見に努めましょう

血液中にも常に一定量が出ていますが、臓器や組織が損傷するとその分量が増加します。GOTは心筋、肝臓、骨格筋、腎臓などに多く存在するため、これらの臓器の細胞に異変が起こると血液中のGOTの量が増加します。そのため、肝臓障害、心筋梗塞、溶血などの診断に有効な検査となっています。
またGPTは、とくに肝細胞の変性や壊死に鋭敏に反応するので肝臓・胆道系の病気の診断に有効な検査となっています。

肝臓の機能は非常に複雑で、新陳代謝の中心的な役割を果たしていますが、病気にかかっても無自覚のまま症状が進む場合が多く「沈黙の臓器」と呼ばれています。
人体で唯一、再生可能な臓器ですが、一度壊れると元の状態に戻すのに時間がかかります。自覚症状が出る前に検査を受け、肝臓疾患を早期に発見することが大切です。

なお、最近、GOTはAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、GPTはALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)という名称に変更しつつあります。

GOTとGPTを調べると何がわかるのか?
GOTは肝細胞に多く含まれているため、肝細胞の破壊(障害)が進むと血液中のGOTの値が異常に上昇してきます。肝臓病の種類や障害の程度によって、GOTの上昇度に差があり、細胞の障害が強いほど数値は高くなります。

GOTは肝細胞のほか、心筋(心臓の筋肉)や骨格筋の細胞にも多く含まれているため、これらの病気の指標にもなります。例えば、急性心筋梗塞が起こって、心筋細胞が傷害されると基準値の数倍から10数倍、筋ジストロフィーなどの筋肉の病気では数倍の高値になります。

GPTもGOTと同様、肝細胞や心筋、骨格筋の細胞に多く含まれているために、これらの病気の指標になります。GPTは、GOTより血液中から消失するのに時間がかかるため、しばらく高値が続くという特徴があります。
そのため、急性肝炎の極期ではGOTよりGPTが高値となり、またこの時期に黄疸も強くなります。
さらに、慢性肝炎や脂肪肝でもGOTよりGPTが高値になります。

GOTとGPTはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。遠心分離器にかけて血清と血球に分け、血清部分を分析器で検出します。
GOTは、赤血球の中にも含まれているため、採血、分離するときに赤血球が壊れること(溶血)があると、GOTが外に出て軽度上昇します。

検査を受けるときの注意
GOTは骨格筋細胞にも多く含まれおり、運動などを行なうと検査値は上昇しますので、検査前日は激しい運動を控えましょう。検査当日は時間ぎりぎりで病院に駆け込むことのないように、少なくとも予約時間の30分前には到着し、心身を落ち着かせてから検査を受けましょう。
また、飲酒によっても10%前後上昇しますので、前日の飲酒は控えてください。

基準値(JSCC法)

  • GOT(AST)…35IU/l以下
  • GPT(ALT)…35IU/l以下

GOT/GPT比による疾患鑑別法と代表的な疾患

  • GOT/GPT<1(GOT値が小さい)…慢性・急性肝炎、脂肪肝、肝硬変初期、胆汁うっ滞など
  • GOT/GPT>1(GOT値が大きい)…劇症肝炎、アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、進行した肝硬変、溶血、うっ血性心不全、心筋梗塞など
  • GOT/GPT>2(GOT値が2倍超)…原発性肝がん、筋ジストロフィー

急性肝炎
急性肝炎にかかると、早期からGOTとGPTが高値になります。特に黄疸があれば、500〜3000IUくらいまで上昇します。しかし、ウイルス性肝炎の場合は、発症後2ヶ月以内にGOT、GPTとも基準値に戻り、約7割は跡形もなく直ります。

慢性肝炎
慢性肝炎の場合は、治りにくくて肝硬変まで進みやすい活動型か、比較的治りやすい非活動型かによって、GOT、GPTの値の比率が違ってきます。非活動型では、どちらの数値も50〜60IUの軽度の上昇を示し、活動型では100IUを超え、中等度の上昇を示すようになります。
肝炎の場合、急性か慢性化の決定や活動型か非活動型かの決定は、ほかの検査や肝臓の組織片をとって調べる組織検査などに基づいて診断されます。

劇症肝炎
GOT、GPTともに1000IU異常の著しい上昇を示します。そして黄疸が現れ、腫れていた肝臓が突然縮小して昏睡におちいり、志望することも少なくありません。
このような場合は、すでに肝細胞の広範囲な壊死により、血中に漏れ出る酵素が減少するため、GOT、GPTは低下し、基準値近くなります。劇症肝炎の場合、GOT、GPTの減少はむしろ経過不良を意味するわけです。

異常があったらどうするか?
胆道系酵素であるALPγ-GTPの検査も行ない、GOT、GPTと組み合わせて病気の鑑別を行ないます。
これらの組み合わせ検査は、考えられる病気の可能性をみるのに役立ち、また、確定診断後の病気の経過観察にも有用です。確定診断には、さらにウイルスマーカーや腫瘍マーカーのチェック、腹部CT検査腹部超音波検査などの画像診断、腹腔鏡検査、ときには肝生検を行ないます。

急性の病気の場合、特に心筋梗塞や劇症肝炎のように死亡率が高く思い病気の場合は、何よりも早期発見、早期治療が必要です。これらの病気は、病体が急激に変わるため、慎重な処置が必要です。
慢性の病気では病変の変化に応じて指導を受け、治療していくことが大切です。定期的に検査を受けることも忘れないようにしましょう。

異常な場合に疑われる病気
慢性・急性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がん、劇症肝炎、胆道系のがん、すい臓がん、筋ジストロフィー、心筋梗塞など

ビリルビンとは?

血液に含まれている黄色い色素です。肝臓障害などで黄疸の症状が出たときにからだが黄色くなるのは、このビリルビンが増加しているせいです。したがって、この血中のビリルビンの量をみることで、黄疸が出る前に障害を知ることができ、また障害の種類も推定することができます。

血液を採取して調べます

ビリルビンは赤血球の中のヘモグロビンからつくられます。赤血球の寿命は約120日ですが、寿命が尽きて破壊されるときヘモグロビンはヘムとグロビンに分解され、酵素のはたらきでヘムとビリルビンに変化します。これを「間接型ビリルビン」と呼んでいます。

このビリルビンは肝臓へ運ばれ、再び酵素がはたらいて「直接型ビリルビン」と呼ばれるもの変化し、便の一部となったり、腎臓で尿の一部となって排泄されます。間接型と直接型を合わせたものを「総ビリルビン」といいます。

ビリルビンを調べると何がわかるのか?
肝機能障害や胆管障害などがあると、ビリルビンが血液中に増加してきます。したがって、ビリルビン値を調べれば、それらの臓器の障害の有無や程度を知ることができます。

ビリルビンはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。酵素を用いて調べる方法と、試薬で調べる方法とがあります。
検査では総ビリルビンと直接ビリルビンを調べ、その差から間接ビリルビンを算出します。

基準値

  • 総ビリルビン…0.2〜1.2mg/dl
  • 直接ビリルビン…0.4mg/dl以下
  • 間接ビリルビン…0.8mg/dl以下

検査結果の判定
間接型ビリルビンが高値のときは、溶血性貧血や肺梗塞、敗血症、甲状腺機能低下症などの疑いがあります。直接型ビリルビンが高値のときは、胆汁うっ滞症など胆管・胆道系における閉塞の疑いがあります。また、直接型が高値で、中間型高ビリルビン血症になっている場合は肝細胞に異常があるとみられ、急性肝炎や慢性肝炎、肝硬変などが疑われます。

異常があったらどうするか?
GOT・GPTγ-GTPALPLAPなどのほかの肝機能検査の結果と合わせて検討し、さらに必要に応じて、腹部超音波検査腹腔鏡検査肝生検などの精密を検査を行ない、病気が診断されます。診断が下ったら、医師の指示にしたい治療を受けてください。
場合によっては、急性肝不全の処置、血液透析、肝外胆汁うっ滞に対する緊急処置などが必要なこともあります。

異常な場合に疑われる病気
体質性黄疸、慢性・急性肝炎、肝硬変、溶血性貧血、肺梗塞、敗血症、甲状腺機能亢進症など

γ-GTPとは?

γ(ガンマ)-GTPは、肝臓や腎臓、膵臓、血液中などに含まれており、GOT、GPTと同様にタンパク質を分解する酵素のことです。この酵素は、毒性のあるアルコールや薬剤などが肝細胞を破壊したり、結石やがんなどによって胆管がつまったときなどに血液中に出てきます。

γ-GTPはアルコールに敏感です

そこで血液中のγ-GTPの濃度を調べることで肝臓や胆管の異常の有無を調べるのですが、肝臓や胆管に病気があるときにはほかの酵素より早期に反応を示します。そのため、肝臓障害の鋭敏なマーカーとして用いられています。

γ-GTPを調べると何がわかるのか?
肝臓病(慢性・急性肝炎、肝硬変、肝臓がん、薬剤性肝障害)や、胆石やがんなどで胆道が詰まったときに(閉塞性黄疸)、膵臓の病気、心筋梗塞などで高値を示します。

γ-GTPはアルコールに敏感で、毎日のように飲んでいる常習飲酒者では高く出やすくなります。
特にアルコールで肝臓が障害されると、ALPやLAPなどのほかの胆道系酵素よりも早く異常値を示しますので、スクリーニング(ふるいわけ)としてよく使用されています。アルコール性肝障害の診断に特に重要な検査です。

γ-GTPはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。遠心分離器にかけて、血清部分を自動分析器で検出します。

検査を受けるときの注意
γ-GTPはアルコールに敏感に反応するので、検査前の数日から飲酒は控えましょう。
その他の飲食による影響はありませんが、この検査を受ける人は他の検査も合わせて受ける場合が多いので、検査当日は食事を控えるように指示される場合があります。
精神安定剤や鎮静剤などの薬も数値に影響するので、服用中の薬がある人はあらかじめ申し出てください。

基準値(JSCC勧告法)

  • 男性…50IU/l以下
  • 女性…30IU/l以下

女性ホルモンにはγ-GTPの働きを抑えたり、肝臓でγ-GTPが作られるのを抑える作用があるため、女性の基準値は男性に比べて低目となっています。
測定方法によって基準値は異なりますので、複数の医療機関での検査結果を比較する際は注意してください。

検査結果の判定
基準値を超えている場合には、GOT・GPTLAPALPLDH、血清総タンパクなどの結果と合わせて検討することが大切で、それらも高値を示しているときは、肝臓病や閉塞性黄疸などが考えられます。

γ-GTPだけが高いときには、アルコールが原因の肝障害か膵臓の病気(膵炎や膵臓がん)を考えます。この場合には数日間禁酒した後、再検査をします。
それでも数値の低下が認められなければ、肝臓か膵臓が障害されている可能性が高くなります。
超音波検査やCT検査、アミラーゼ検査など、肝臓と膵臓の精密検査を行ないます。
禁酒した後の再検査でγ-GTPが下がっていたら、肝障害の心配はありません。

異常があったらどうするか?
γ-GTP以外にGOT・GPTなども高値ならアルコール性肝障害以外の肝臓の病気が疑われるので、さらに詳しい検査が必要です。肝臓の病気も軽いものから重いものまでさまざまですから、ただγ-GTPが高いからといって、すぐに肝臓や胆道の病気だと深刻に考える必要はありません。
適切な検査を受けて、異常が認められれば医師の指示に従って治療をはじめましょう。

異常な場合に疑われる病気
アルコール性肝炎、アルコール性脂肪肝、胆汁うっ滞性肝炎、慢性・急性肝炎、肝硬変、肝臓がん、薬剤性肝障害、胆石、すい臓がん、膵炎など

LAP(ロイシンアミノペプチターゼ)とは?

LAP(ロイシンアミノペプチターゼ)は酵素の一種で、ロイシンなどのタンパク質を分解するはたらきを持っています。肝臓や腎臓、膵臓、腸管、子宮、睾丸、脳などの細胞に含まれていますが、血中に増えるのは主に肝臓・胆道系の障害のときです。

胆道閉塞を起こす病気の診断に有用です

したがって、肝臓障害などで胆汁のうっ滞<(胆道がつまって胆汁がうまく流れなくなること)が起こると、胆汁が逆流してLAPが血液中に流れ込み、血中のLAP値が著しく上昇します。
そこで、とくに肝臓・胆道系の病気を診断する指標として利用されています。ただし、この検査だけでは診断しきれないので、普通はほかの肝機能検査と組み合わせて行われます。

LAPはどのようにして調べるのか?
血液を採取し、遠心分離器で分けた血清を測定器で調べます。免疫抑制剤を服用していると活性が低下しますので、この薬を使用中の人はあらかじめ医師に申し出てください。

基準値
30〜80IU/l(LPNA法)となっていますが、検査方法にはさまざま種類があり、測定単位も異なります。したがって、複数の医療機関で検査を受け、その結果を比べる場合は数字だけではなく、単位にも気をつけてください。

LAPの検査値は、1歳未満の子供では高値を示しますが、それ以降は成人に向かうに従い安定し、性別や食事、運動による影響はほとんどありません。
ただし、飲酒などアルコールの摂取が多いとγ-GTPと平行して上昇する場合もあります。

検査結果の判定
LAP値が高度に上昇した場合には、肝臓がんや胆道系のがん、胆石、すい臓がんなどによる胆道閉塞が疑われます。肝臓がんでは胆道の閉塞がなくても高度に上昇し、ウイルス性肝炎や薬剤性肝炎でも胆汁がうっ滞すると高値になります。また、子宮がんや卵巣がんなどでも高値を示します。

軽度の上昇がみられる場合には、慢性・急性肝炎、脂肪肝、肝硬変などが考えられます。
また、妊娠でも上昇しますが、分娩後は正常値に落ち着きます。妊娠中毒症や切迫流産では正常妊娠よりCAP(シスチンアミノペプチターゼ)が低値を示すため、胎盤機能が正常かどうかをみる目安にもなります。

異常があったらどうするか?
LAPの検査だけでは、治療方針が立てられないので、ビリルビンALPA/G比ICG負荷試験膠質反応などの肝機能検査の結果と組み合わせて総合的に判断されます。
LAP値がやや高い程度で、他の検査で正常な場合は、積極的に治療は行なわれませんが、再検査をして経過がみられます。その場合、LDH(乳酸脱水素酵素)のアイソザイム検査でDLH5が増えるか、GOTやGPTがやや上昇しているときでも、他の肝機能検査で異常がなければ、特に治療の必要はありません。ただし、経過の観察と定期的なLAPの測定は必要となります。

胆汁がうっ滞して、LAP以外の胆道系酵素が増加する場合は、超音波検査やCT検査、胆道造影検査などの画像検査を行ない、胆管の拡張や炎症、がんなどの有無を調べます。
肝臓外で胆汁がうっ滞して黄疸が強くあらわれている場合は、肝臓から胆管に管を挿入して胆汁を取り除く、経皮経肝胆道ドレナージを行なうことがあります。

異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、胆道がん、すい臓がん、結石などの胆道閉塞、慢性・急性肝炎、薬剤性肝障害、ウイルス性肝炎、肝硬変など

ALP(アルカリホスファターゼ)とは?

ALPは体内でリン酸化合物の分解するときにはたらく酵素の一種です。
からだのほとんどあらゆる臓器の細胞の中に含まれていますが、血清中のALPはおもに肝臓や腎臓、小腸、骨から流出したもので、肝臓を経て胆道へ排泄されます。したがって、血清中のALPを調べることで、これらの臓器や骨の状態を知ることができるのです。

肝・胆道疾患の指標として用いられます

ただし、ALPは体内のあちこちに存在しているので、その値だけでは異常の種類を特定できません。そこで、GOTやGPTなども同時に調べ、それらにも異常があれば肝臓・胆道系の異常を疑います。
とくに、胆汁の流出経路が阻害される(胆石で胆道がつまるなど)と、胆汁が逆流してそこに含まれていたALPが血中に流れ込み、その量が大変増加します。

ALPはどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。キンド・キング法(KAU)、ベッシー・ローリー法(BLU)など、単位が違ってきますが、最近はIU(国際単位)が多く使われています。

検査を受けるときの注意
食事の影響を受けるので、採血の当日は絶食します。約200種類の薬剤がALP値に影響を及ぼすといわれているので、常用している薬(特に利尿剤や睡眠剤)があれば、あらかじめ医師に申し出てください。

基準値

  • P-NP法…58〜200IU/l
  • キンド・キング法…3.0〜10.0KAU
  • ベッシーローリー法…0.8〜2.9BLU

検査結果の判定
基準値を超えてALP値が高くなっているのは、胆汁の流れが完全に止まって黄疸が出てくるようなときです。胆道が詰まって胆汁の排出が阻害されると、胆汁中に存在したALPは肝細胞を逆流して血液中に増加します。同時に肝細胞では盛んにALPが生成されるため、いっそう増加します。

黄疸は色々な病気によって起こります。急性肝炎の黄疸では、ALPはそれほど上昇しませんが、細胆管性肝炎、胆汁性肝硬変、がんや胆石が原因の総胆管閉塞による黄疸では非常に高い数値を示します。
肝・胆道疾患以外では、副甲状腺機能亢進症のほか骨腫瘍、ベーチェット病などの骨疾患でも上昇します。病状に比例して数値も上昇するので、早期診断の有力な指標となっています。

ALP値が著しく高くなった場合、そのアイソザイム(同じはたらきをするが分子構造は異なる酵素群)を測定し、どれが多いか見極めることが診断の重要な手がかりとなります。
ALPアイソザイムの6種類(ALP1〜6)について、高値のとき疑われるは病気は以下の通りです。

  • ALP1…閉塞性黄疸、限局性肝障害
  • ALP2…各種肝疾患、胆道系疾患
  • ALP3…骨の病気(健常小児に多い)、副甲状腺機能亢進症
  • ALP4…悪性腫瘍の一部、妊娠後期
  • ALP5…肝硬変、慢性肝炎、慢性腎不全
  • ALP6…潰瘍性大腸炎

アイソザイム検査で疾患部位が特定できたら、自他覚症状からそれぞれの病気に適した検査法が選択され、確定診断されます。

異常があったらどうするか?
ほかの肝機能検査、特にGOT・GPTLAPγ-GTPなどの値も参考にして診断します。
ALPが異常値で、GOTやGPTの値にも異常がある場合は、肝臓や胆道系の病気が疑われます。特に慢性肝炎や肝硬変、栄養過多による脂肪肝などの慢性疾患、探査機などの胆道系疾患では、GOTやGPT値が軽度から中等度上昇し、ALP値も少し上昇します。

胆道の閉塞、狭窄や肝内うっ血では、LAP値やγ-GTP値も、しばしば同時に上昇します。
ALPが異常値でもGOTとGPTが異常値ではない場合は、肝臓や胆道系以外の病気が疑われます。その場合は前述のALPアイソザイム検査やLAP、γ-GTPなどの検査を行ないます。

異常な場合に疑われる病気
閉塞性黄疸、慢性・急性肝炎、肝硬変、肝臓がん、胆汁うっ滞、胆石、胆道系のがん、すい臓がん、がんの骨転移、骨軟化症、甲状腺機能亢進症、慢性腎不全など

A/G比(アルブミン/グロブリン比)とは?

血清中には約100種類のたん白があるといわれています。健康な人の場合、血清中の総たん白の約67%をアルブミンが占めています。アルブミンは肝臓のみでつくられているため、肝臓に何らかの障害があると、アルブミンの測定値は著しく低下します。
一方、残りの約33%を占めているのが、グロブリンです。グロブリンは、肝臓のほかにリンパ節、腸管、骨髄などのリンパ装置と呼ばれる器官でつくられています。

肝障害の有無がわかります

A/Gはアルブミン(A)とグロブリンの総量(G)との比を表わしたもので、肝臓などの異常を知る簡便な方法です。検査結果には「A/G比」などと表示されています。

A/G比(アルブミン/グロブリン比)で何がわかるのか?
血清総たん白値が基準範囲を示していても、アルブミンが減少し、グロブリンが増加していて、実はなんらかの異常が隠れている場合が少なくありません。こうした場合、A/G比を測ることによって、肝障害、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍などの可能性を探ることができます。
ただし、A/G比の検査では、かかっている病気を特定するまでには至りませんので、病気の程度を知るために使われることの方が多いです。

A/G比(アルブミン/グロブリン比)はどのようにして調べるのか?
血液を採取して調べます。当日は、他の検査を合わせて行なうことが多いので、その検査の内容によっては、飲食しないで採血に臨む場合もあります。
服用している薬剤によって検査値が微妙に左右されます。使用中の薬があれば、あらかじめ申し出て下さい

基準値

  • アルブミン…4.0g/dl以上
  • A/G比…1.0〜2.0

アルブミンの濃度は上昇することはなく、病気にかかると常に低下し、3.6〜3.9g/dlでは経過観察が、3.5g/dl以下では治療や精密検査が必要とされえちます。病気のときはA/G比も低くなります。

検査結果の判定
アルブミンは肝臓でつくられ、肝臓そのものに障害があると、血液中のアルブミン派著しく低下し、A/G比も低下します。ネフローゼ症候群、たん白漏出性胃腸症、栄養不良などでも、A/G比低下します。

血清総たん白の濃度が非常に高く、しかもA/G比が低い場合は、多発性骨髄腫やマクログロブリン血症などが疑われます。また、炎症や悪性腫瘍などでも、アルブミン低下とグロブリン増加が起こり、A/G比は著しく低下します。

異常があったらどうするか?
血清たん白分画を調べ、疑われる病気についての精密検査を受けます。

異常な場合に疑われる病気

  • アルブミン減少による低値…肝炎、肝硬変、肝がんなどの肝臓障害やネフローゼ症候群、糖尿病、栄養不良など
  • グロブリン増加による低値…多発性骨髄腫、悪性腫瘍、関節リウマチ、マクログロブリン血症など

膠質反応(TTT、ZTT)とは?

血液の成分の一つである血清には、常に一定量のたんぱくが含まれていて、代謝のはたらきを助けたり、からだを常に同じ状態に維持したりするのに役立っています。
血清たんぱくには100ほどの種類がありますが、主なものはアルブミンとグロブリンで、グロブリンはさらにα1、α2、β、γという4つの分画に分けられます。γ-グロブリンを除き、血清たんぱくの大半は肝臓で作られているため、この数値が上がるということは、肝機能に障害があることを示唆しています。
そこで、血清たんぱくの変化を調べる方法の一つが、この膠質反応検査です。

採血の様子です

膠質反応をみる方法はいくつかありますが、なかでも、自動化しやすく結果が早く出ることからTTT(チモール混濁試験)とZTT(硫酸亜鉛試験)という二つの方法がよく行なわれています。

膠質反応を調べると何がわかるのか?
膠質反応は、肝機能検査のスクリーニング(ふるいわけ)として用いられています。
TTTとZTTは主として血清アルブミンの減少とγ-グロブリンの増加を反映する膠質反応の1つで、肝障害時における血清たん白成分の異常を推測するための検査です。

TTT値を調べることにより、肝疾患あるいは多発性骨髄腫のようなγ-グロブリン(特にIgM)が増加する疾患を、一方、ZTT値を調べることにより、骨髄腫などのMたん白血症を推定することができます。
また、それぞれの混濁の程度(数値の上下)で肝障害の病態変化を把握できるので、診断だけではなく経過観察にも利用されています。

膠質反応はどのようにして調べるのか?
検査前日の夕食の後は絶食し、翌日の空腹時に採血をします。その血清をとり分け、そこに試薬(TTTならチモール、ZTTなら硫酸亜鉛)を加え、その混濁する具合を調べます。

基準値

  • TTT(チモール混濁試験)…0〜5クンケル単位
  • ZTT(硫酸亜鉛試験)…2〜14クンケル単位

TTT値は、女性は男性よりやや低値を示しますが、更年期以降は上昇します。これはコレステロールの増加によるものと考えられています。
一方、ZTT値では男女による差はみられません。ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)や抗腫用剤などを使用中の場合は低値を示します。

検査結果の判定
TTTだけが高値の場合は急性肝炎、TTTとZTTがともに高値の場合は慢性肝炎が考えられます。
なお、高脂血症ではTTT、膠原病や慢性感染症ではZTTが高値を示しますので、他の検査を受けてその鑑別をすることが大切です。

異常があったらどうするか?
膠質反応の検査だけでは、診断を確定できないので、GOT・GPTγ-GTPALPLDH、血清総たんぱく分画、γ-グロブリン、コレステロールなどの測定も行ない、肝臓の病気かどうかを確かめます。

さらに、場合によっては超音波検査やCT検査、血管造影なども行ないます。
とくにA型肝炎の確認のため、γ-グロブリンのうちのIgMHA抗体が陽性(+)かどうかを調べます。

異常な場合に疑われる病気

  • TTTが高値値…急性・慢性肝炎、高脂血症、膠原病、脂肪肝、肝硬変など
  • ZTTが高値…肝硬変、急性・慢性肝炎、肝がん、膠原病、サルコイドーシス、骨髄腫、悪性腫瘍など
  • ZTTが低値…胆汁うっ滞症、ネフローゼ症候群、糸球腎炎、骨髄腫など

コリンエステラーゼ(ChE)とは?

コリンエステラーゼ(ChE)は体内ではたらく酵素の一種です。コリンエステルという物質をコリンと酢酸に分解することによって、たんぱくをつくりだしています。
このChEには2つの種類があり、一つは赤血球や筋肉、神経組織の中に含まれていて(真性ChE)、もう一つは血清や肝臓、膵臓、腸、肺などに含まれています(偽性ChE)。健診などでは肝機能検査の一つとして、この偽性ChEを測ります。

急激な上昇では、ネフローゼ症候群が疑われます

コリンエステラーゼ(ChE)を調べると何がわかるのか?
コリンエステラーゼはアルブミンと同様に肝臓だけで産生されているので、両者の値はほぼ平行して変動します。また、プロトロンビン時間とも一致します。
コリンエステラーゼは、ほかの肝機能検査に比べていち早く異常値を示すので、これらの検査値とあわせてみることによって、肝臓の障害されている程度がわかります。
したがって、慢性肝炎や肝硬変などの慢性の肝臓病の経過をみていくうえで、とても重要な検査となっています。

脂肪肝やネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、糖尿病、原発性肝がんなどの場合は数値が上昇しますので、これらの病気を調べる際にも有用です。

コリンエステラーゼ(ChE)はどのように検査するのか?
血液を採取して、自動分析器で測定します。測定法により基準値が異なります。
日内変動や運動の影響はありませんが、睡眠薬や緑内障治療薬(降眼圧薬)、抗血栓剤などでは数値が下がるので、あらかじめ申し出てください。なお、検査当日の飲食は普通にとってかまいません。

基準値
測定法によって基準値や単位が異なりますので、異なる医療機関で受けた検査結果を比べる場合は、単位に注意しましょう。個人差が極めて大きいのが特徴ですが、同一個人では安定しています。

  • フェノールレッド法…0.6〜1.2ΔpH
  • ブチリルチオコリン法…1900〜3800IU/l
  • ベンゾイルコリン法・・・1100〜1900IU/l

検査結果の判定
コリンエステラーゼ(ChE)は肝臓で産生されているので、ChE値が基準値を下回っている場合は、急性・慢性肝炎、劇症肝炎などが疑われ、著しく低いときは肝硬変や転移性肝がんが疑われます。
逆に、急激に増加した場合はネフローゼ症候群の疑いがあり、高値のときはそのほか甲状腺機亢進症、脂肪肝、高血圧症、糖尿病などが疑われます。

異常があったらどうするか?
コリンエステラーゼの異常としては、低値を示したときが重要で、肝細胞での合成能力下低下していることを反映しています。
肝臓病であれば、GOT・GPTγ-GTPA/G比ICG試験などの血液検査や、尿ウロビリノーゲン腹部超音波検査腹部CT検査腹腔鏡検査肝生検などの精密検査を行なう必要があります。
肝硬変では、コリンエステラーゼが正常に回復する望みはありません。また、消耗性疾患(悪性腫瘍末期、低栄養)でも低値になるため、これらの鑑別、確定診断のための検査も重要になります。

異常な場合に疑われる病気

  • 低値…肝硬変、急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎、悪性腫瘍など
  • 高値…ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、糖尿病、脂肪肝など

LDH(乳酸脱水素酵素)とは?

LDHは乳酸脱水素酵素とも呼ばれ、体内で糖分がエネルギーに転換されるときにはたらく酵素の一種です。ほとんどあらゆる細胞に含まれていますが、肝臓や腎臓、心筋、骨格筋、赤血球などに特に多く含まれています。
したがって、これらの臓器などに異常があって細胞が壊死すると、細胞中のLDHが血液の中へ大量に流れ出します。その量を測定するのがLDHの検査です。

急性肝炎や肝臓がんなどで上昇します

LDHを調べると何がわかるのか?
LDHが含まれている上記の組織に障害が起こると、血液中にLDHが流れ出して高値を示すようになります。特に急性肝炎や肝臓がん、あるいは心筋梗塞のときに著しく増加します。
そのほか、慢性肝炎や肝硬変などの肝臓病、腎不全、悪性貧血などの血液病、筋ジストロフィーなどの骨格菌の病気、間質製肺炎、さまざまな臓器のがんなど、多くの病気で血液中に増加するので、これらの病気を発見するスクリーニング(ふるいわけ)検査として用いられています。

LDHはどのように検査するのか?
血液を採取して遠心分離し、自動分析器で測定します。運動によって。も変動しやすいので、検査前にはスポーツなどをせず、直前に階段などを駆け上がったりしないようしましょう。

基準値
LDHの基準値はSFBC準拠法で180〜370IU/lですが、測定法(ほかにUV法、PL反応法など)によって異なるので注意が必要です。男女の差はありませんが、妊娠後半期に急上昇し、出産前は基準値の2倍近くになります。

検査結果の判定
血清中のLDHが低値なら問題ありませんが、上昇するのは損傷した臓器の細胞からLDHが漏れ出ていることを意味しています。基準値の4〜5倍も高値を示す場合は急性肝炎や心筋梗塞、肝臓がんが疑われ、高値でも軽度の場合は全身の色々な病気が考えられます。
この検査だけで病気を特定することはできませんので、次に述べるアイソザイム検査を行なって詳しく調べていきます。

異常があったらどうするか?
LDHは肝臓、心臓、肺、腎臓、血液、骨格筋などの病気や、悪性腫瘍で増加します。
異常値が出たら、どの臓器の病気かを知るためにアイソザイム検査が行なわれます。
アイソザイムとは、同じはたらきをするが分子構造は異なる酵素群のことで、LDHの場合は、さらに分析するとLDH1〜LDH5の5つに分けられます。

肝臓の病気の場合、現在進行中の肝細胞障害の度合いを示しています。急性肝炎の初期にはLDH5が著しく増加します。肝臓がん(とくに転移性がん)でも増えます。しかし、慢性肝炎、肝硬変では数値はあまり上がりません。

心筋梗塞や溶血性貧血ではLDH1が非常に高くなります。筋ジストロフィーではLDH2が、大腸がんではLDH3が、肺梗塞と慢性骨髄性白血病ではLDH2とLDH3が、それぞれ増加します。

肝臓の病気とわかれば、GOT・GPTALPコリンエステラーゼ(ChE)腹腔鏡検査肝生検などの検査や、臨床症状を合わせて総合的に判断され、治療が行なわれます。

異常な場合に疑われる病気
心筋梗塞、心不全、肺梗塞、悪性貧血、白血病、筋ジストロフィー、急性肝炎、肝臓がん、胃がん、すい臓がん、大腸がんなど

尿ビリルビン、ウロビリノーゲンとは?

ビリルビンとは、赤血球中のヘモグロビンが肝臓や脾臓などで壊されたときにできる胆汁色素のことです。ビリルビンは、肝臓から胆汁に排泄されて、尿に出てくることはありません。
しかし、肝障害や胆道の閉塞などで胆汁の流れが妨げられると、ビリルビンが血液中に増え、それが腎臓から尿に排泄されるようになります。

試験紙の変色具合で判定します

そのビリルビンが腸に排泄され、腸内細菌によって分解されたものがウロビリノーゲンです。
ウロビリノーゲンの大半は弁と一緒に排泄されますが、一部は腸管から吸収され、再び肝臓へと戻って血液中や腎臓をめぐり尿中に排泄されます。

尿ビリルビン、ウロビリノーゲンを調べると何がわかるのか?
健康な人の場合は、ビリルビンが尿中に出ることはありませんが、肝臓や胆道の病気になると尿中に排出されます。特に、急性肝炎では黄疸が出る前から尿ビリルビンは陽性を示し、肝機能が回復してくると、黄疸が残っていても陰性になります。そのため尿ビリルビンは急性肝炎の早期発見と経過観察に重要となります。

また、肝臓病になると、肝臓で処理されるウロビリノーゲンが少なくなりますから、尿に出るウロビリノーゲンの量は正常の数十倍にもなります。『肝臓の悪い人は尿が濃くなる』といわれるのは、このためです。
急性肝炎では、ビリルビンと同様に、黄疸が出る前から尿中ウロビリノーゲンは陽性を示しますので、早期診断に役立ちます。
さらに、胆道閉塞などで胆道の流れが悪くなると、ウロビリノーゲンの材料となるビリルビンが減少するため、尿ウロビリノーゲンは陰性を示します。
このように、尿ビリルビンとウロビリノーゲンは視覚で判断できない黄疸を診断でき、肝機能異常の早期発見に役立っています。

尿ビリルビン、ウロビリノーゲンはどのように検査するのか?
尿に触れた試薬や試験紙の変色具合で判定する定性検査を行ない、異常値が出たら定量検査で検出量を詳しく調べます。ビリルビンを含む尿は、排尿後に黄色く泡立つ傾向があります。ウロビリノーゲンは、酸化するとウロビリンという物質に変化するので、尿採取後は速やかに検査を受けます。

検査を受けるときの注意

  • 尿は、中間尿(出始めと終わりは除く)を採取します。
  • 採尿用のコップの中に指を入れたりしないでください。
  • 尿は、できる限り新しいもので検査しましょう。

基準値
ビリルビンは陰性(-)が正常とされていますが、ウロビリノーゲンは健康な人でもわずかに尿中に排泄されるので疑陽性(±)が正常となりますので注意してください。

検査結果の判定
ビリルビンが陽性(+)であれば、急性肝炎、肝硬変、胆道閉塞などの肝臓、胆道の病気が疑われます。
一方、尿ウロビリノーゲンが陰性(-)が陽性の場合は、胆道閉塞などでビリルビンが腸内に正常に排泄されていないことを意味します。
また、溶血性貧血という赤血球が壊れる病気や、肝臓障害では、血中にビリルビンとウロビリノーゲンが多くなり、したがって尿中のウロビリノーゲンも多くなって陽性(+)になります。そのため、試験紙が少し変色する程度の弱陽性、あるいは疑陽性(±)が正常とされています。

異常があったらどうするか?
急性肝炎の場合、陽性の間は安静を守ります。その他の病気が疑われる場合は、GOT・GPT、γ-GTPLAP(ロイシンアミノペプチターゼ)A/G比(アルブミン/グロブリン比)コリンエステラーゼ(ChE)ICG負荷試験などの血液の肝機能検査や、肝・胆道シンチグラフィー、胆嚢胆管造影などを行なって診断をつけ、医師の指導のもと治療を開始します。

異常な場合に疑われる病気
ビリルビン

  • 陽性(+)・・・急性肝炎、劇症肝炎、肝硬変、薬剤性肝障害、胆道閉塞、閉塞性黄疸など

ウロビリノーゲン

  • 陽性(+)…急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、溶血性黄疸など
  • 陰性(-)…閉塞性胆道疾患(胆石症、胆道がん)、抗生物質投与など

ICG試験とは?

肝臓には体内に入った異物をとらえ、それを中和してしまう働きがあります。肝臓の働きが弱まっていると異物は中和されることなく血液中に残留することになります。
そこで、異物に相当する色素を体内に注入し、一定の時間ごとに採決して残留度を測り、肝臓の機能を診断しようというのがICGの検査です。検査試薬に使用される色素インドシアニングリーンの頭文字をとってICG試験と呼ばれています。

ICGを静脈注射後、採血します

この検査は鋭敏な方法で、肝臓疾患の診断、予後判定によく用いられます。また、ICGは、血液中に入るとほとんどが肝臓の細胞に吸収され、胆汁中に排出されます。
したがって、従来のBSP(ICGと同じ原理の検査で、BSP=ブロモスルホフタレインという色素を注射して調べる)に比べると、肝臓以外の臓器に吸収されることが少ないため、肝機能を調べる検査としてはより有用といえます。

ICG試験はどのような検査か?
体重1kgあたり0.5mgほどのICGをひじの静脈から注射します。そして15分後に、反対側のひじの静脈から採血をして、その血液残留量を調べます。

検査を受けるときの注意
検査に用いる色素(=ICG)は体にとっては異物なので、アレルギー体質の人や副作用の出やすい人は、事前に申し出てください。また、この検査は空腹時に、安静にして行なわれます。

基準値と許容範囲
15分後の値が10%以下なら正常と診断されます。

検査結果の判定
15分後のICG残留量が15%異常の値を示したときには、引き続き30分後と45分後に採血し、異常の程度を調べます。45分後に30%以上の場合は明らかに肝機能障害をおこしています。

15分後の段階でICG残留量が30%以上のときには、肝硬変だと思ってまず間違いはありません。
そのほか、肝炎、肝臓がん、体質性黄疸なども疑われます。また、症状にはあまり出ていなくても、異常値が出たら、隠れた肝障害があると考えてよいでしょう。

異常があったらどうするか?
肝機能障害が疑われたら、GOT、ALPプロトロンビン時間γ-GTP肝生検などの検査を受けます。肝障害の種類、原因の診断がついたら、医師の指示に従って疾患にあった治療を受けましょう。

異常な場合に疑われる病気
肝炎、肝硬変、肝臓がん、胆汁流出障害、体質性黄疸など

腹腔鏡検査とは?

腹腔鏡検査とは、腹部にレンズやその他の装置の付いた細長い筒を挿入し、肝臓、胆のう、腸など腹腔内臓器を肉眼で観察して病気の確定診断をするための検査です。
肝硬変などの肝疾患や、腹膜腫瘍の診断に役立つほか、消化器官の部分切除や腹膜などの検査にも利用されています。

イラストでみる腹腔鏡検査

管を挿入するためには、腹壁を小さく切開する必要があります。
腹腔鏡の先端部には組織を採取する装置があり、必要があれば病変と思われる部分の組織を取り出して、確定診断の材料にします(腹腔鏡下肝生検)。

最近では、胆のう、胆石、がんなどの摘出手術にも利用され、開腹しないで行なえる、患者に負担の少ない手術法としても注目されています。

腹腔鏡検査で何がわかるのか?
血液検査だけではわからない、肝臓表面の詳しい変化を知ることができ、肝疾患の確定診断と病態の把握、その後の治療に役立ちます。
特に、急性肝炎から慢性肝炎、肝硬変へと移行する過程において、現在がどの段階にあるのかを医師が自らの目で直接見て診断できます。

また、サルコイドーシスと腹膜疾患の診断法としては、他のどの画像検査よりも優れています。
検査時に生検のための組織を採取することも可能です。卵巣腫瘍、卵巣がんなどの婦人科の病変もこの検査でわかります。

腹腔鏡検査はどのような検査か?
局所麻酔をして、腹部の毛をそり、消毒をし、針を刺して腹腔に空気を入れて膨らませた後、小さな切開を加えて、そこから腹腔鏡を挿入して、中を観察します。組織をとるときには、採取する装置を腹腔鏡を通じて挿入し、採取します。
検査は一時間程度ですが、一晩の入院が必要です。

検査を受けるときの注意

  • 重度の心不全、肺疾患、横隔膜ヘルニア、腸閉塞などがある人はこの検査を受けることはできません。
  • 検査の3日前から、医師の指示に従って止血剤を飲みます。
  • 検査後に使用する抗生物質のアレルギーテストも事前に済ませます。
  • 検査前日の夕食を食べた後は絶食します。
  • 検査後は翌日まで安静を守り、排尿はベッドで行います。

検査結果の判定
観察だけならその場で分かりますが、組織細胞診は結果が出るまでには約1週間かかります。

異常な場合に疑われる病気
慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、サルコイドーシス、胆のうがん、脂肪肝、腹膜炎、卵巣嚢腫、卵巣がん、子宮外妊娠など

ERCPとは?

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)は、総胆管に内視鏡を挿入して、その先に付いた細いチューブ胃から造影剤を注入し、胆道系、膵管を直接造影する安全性の高い検査です。膵臓、胆道系疾患の診断には欠かすことができません。
1回の検査で、内視鏡的所見、胆肝像、膵管増など各種の情報を得ることができ、また膵臓や胆道系に隣接したほかの臓器の病変も指摘できるという特徴があります。

ERCPの画像

早期の膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、慢性膵炎の障害レベルなど、精度の高い画像を得られますので、膵臓や胆道疾患の疑い、原因不明の上腹部の腫瘤などがあるときに用いられます。
また、この検査において膵液や胆汁を直接採取し、細胞診などの精密検査を行うこともできます。

ERCPはどのように行なうのか?
のどにスプレーをして局所麻酔をした後、軽い鎮静剤を注射し、内視鏡を十二指腸まで挿入します。十二指腸乳頭部から、細い管を使って胆管と膵管に造影剤を入れ、レントゲン撮影を行います。
多方向から撮影を行い、結石などがある場合はより鮮明に描出するために圧迫して、撮影をすることがあります。検査時間はおよそ20〜30分位ですが、通常の上部内視鏡(食道、胃)より多少の苦痛がともないます。

検査によって診断する病気
胆管がん、胆道がん、膵臓がん、慢性膵炎、膵管胆管合流異常症など

PTC・PTCDとは?

PTC(経皮経肝胆管造影法)は、からだの外から皮膚、肝臓を通して肝内胆管に穿刺針を刺し、造影剤を注入して胆道の異常の有無をレントゲン撮影で検査する方法です。
PTCD(経皮経肝胆管ドレナージ)は、PTCと同じく針を胆管に刺したあと、その穿刺針を留置用のチューブに置き換えて持続的に胆汁を体外に排泄する治療法です。

PTCDで胆汁を体外に排泄する出口を作ります

PTCとPTCDはどんなときに行うのか?
腹部超音波検査などで、胆管の狭窄や閉塞が疑われる場合、その部位および原因(胆管の結石、腫瘍や胆管に隣接した臓器の炎症、腫瘍による胆管の圧迫)を突き止めるためにPTCを行います。
そして、胆管の狭窄や閉塞の結果、胆汁が貯留し横断が生じた場合など、胆汁の排泄の必要がある場合にはPTCDを行います。

検査の方法
近年はPTC、PTCDともに、通常は超音波画像の誘導下で行われます。検査の前は絶食します。
まず鎮痛剤、鎮静剤などを注射したあと、超音波装置で目標の胆管を決定し、皮膚を消毒してから局所麻酔をします。次に、超音波画像を見ながら穿刺針を刺します。PTCは造影剤を注入しレントゲン撮影をします。PTCDは、針をチューブに置き換え留置します。

腹水検査とは?

腹腔内に存在する液体を腹水といいます。腹水は生理的に必要な微量の液体成分ですが、肝硬変や心不全によって血流が滞ったり、血管の内圧が高くなったり、血液中のタンパク成分が低下したり、腹腔内に炎症や腫瘍があると増加します。この異常に腹水がたまっている状態を腹水貯留といいます。

顕微鏡で観察する細胞診も行われます

腹水検査で何がわかるのか?
異常な腹水の有無は、腹部の膨張や腹部超音波検査腹部CT検査などで発見することができます。そこで腹水を採取し、障害の原因や状態を調べるのが腹水検査です。

生化学的検査としては、タンパク量、電解質の濃度LDHなどが検査され、細菌培養では、グラム陰性棹菌、結核菌などが培養されます。細胞検査では、腫瘍細胞の有無が調べられ、白血球数が増加していれば、感染症やがんが考えられます。

腹水検査はどのように行われるのか?
腹水を比較的安全に採取できる部位は左下腹部で、採決に使用される針の付いた注射器が使われます。患者は腹水ができるだけ左下腹部に集まるように仰向けになり、やや左を向きます。

針を刺す箇所を消毒後、局所麻酔されます。患者は針を刺すとき、腹部に力を入れ、腹壁を緊張させると、刺しやすくなります。穿刺液は、滅菌試験管に数本に分けて採取されます。
腹水は、ある程度の量がないと採取ができません。腹水が多いと穿刺部から漏出することがあるため、採取後、ガーゼで穿刺部をしばらく圧迫する必要があります。

検査結果の判定
腹水は、タンパク含有の低い漏出液と、混濁して粘り気があり、タンパク含有の高い滲出液に分類されます。漏出液が認められれば、肝硬変やネフローゼ症候群、吸収不良症候群などが疑われます。
一方、浸出液なら、急性膵炎や腹膜炎などの炎症が起きていると考えられます。

細胞診に用いられる細胞の混入は、漏出液のほうが非常に多くなります。細胞診の結果はT〜Xの5段階で表わされ、T、Uなら陰性で異常なし、Vなら疑陽性で再検査が必要で、W、Xは要請でがんが疑われ、腫瘍マーカーや生検、画像診断などの精密検査が必要となります。

異常な場合に疑われる病気
肝硬変、ネフローゼ症候群、吸収不良症候群、うっ血性心不全、急性膵炎、腹膜炎、胆嚢炎、悪性腫瘍など

肝生検とは?

肝生検(針生検)とは、肝臓に針を刺して組織や細胞を採取し、顕微鏡で細かく観察する検査です。
血液検査や超音波検査、CT検査とは違い、肝組織を直接目で観察できるので、最も確実な検査法の一つとされています。そのため、慢性肝炎や肝硬変の確定診断に広く用いられています。
ただ、肝生検は患者への負担が大きいため、全ての患者に実施できる検査法ではありません。

肝生検の概要

肝生検で何がわかるのか?
肝障害の程度の判定、原因不明の肝障害の診断、黄疸の原因究明のために実施されます。
がんが疑われるときには、細胞を調べて良性か悪性かを鑑別し、悪性であればその性質や悪性度、さらに組織の変化がどの程度進んでいるかを調べます。

肝生検はどのような検査か?
左腕に止血剤および抗生剤の入った点滴をします。
ベッド上に仰向けになり、肝臓の下にある右側の胸の下に枕を差し込み、右側胸部を高くします。

針を穿刺する部位は右胸下部の肋間です。術前に超音波検査装置を用いて穿刺部が安全かどうかを確認のうえ、穿刺部を消毒し、皮膚から肝臓の表面まで麻酔されます。
穿刺部の皮膚を小切開した後、穿刺針を穿刺します。生検用組織を採取する際には、医師の指示に従って息を止めます。こうすると、肺を穿孔したり、肝臓を裂傷する危険性が低くなります。
検査にかかる時間は1時間くらいですが、入院が必要となります。

検査を受けるときの注意
投与する薬にアレルギー反応がある人、妊娠中の女性は予め申し出てください。
また、肝うっ血、肝膿瘍、胆道閉塞による著しい黄疸、腹膜炎、出血傾向のある人は、この検査を受けられません。
検査当日の朝食は抜きます。検査後6時間の安静が必要です。その日はトイレに行く場合に限って歩行が許されます。食事は検査2時間後から、昼食は寝たまま、夕食は座ってとることができます。
検査翌日からは通常の生活が可能となります。

検査結果の判定
肝疾患のほとんどは、この検査で確定診断がつきます。
B型、C型の慢性肝炎と診断された場合は、インターフェロンによる診断が行なわれる場合があります。

異常があったらどうするか?
肝障害の種類、原因の診断がついているはずなので、医師の指示に従って、疾患にあった治療を受けましょう。
肝臓がんが疑われる場合は、腹部CT検査腹部超音波検査、腹部血管造影検査、腫瘍マーカーAFPなどで、さらに詳しく検査します。

異常な場合に疑われる病気
肝臓がん、肝硬変、慢性肝炎、脂肪肝、自己免疫性肝炎、胆嚢胞など

アミラーゼとは?

アミラーゼは消化を行う酵素の一種で、でんぷんなどの糖分を分解するはたらきがあり、以前はジアスターゼと呼ばれていました。おもに膵臓と唾液腺から分泌され、膵臓の病気などを発見したり、経過を関さすつするための指標として用いられています。

膵炎や膵臓がんの早期発見に有用です

膵管閉塞が起こると、アミラーゼの流れが阻害されるため血中アミラーゼの上昇、遅れて血中濃度も増加します。そのほか膵炎や膵臓がんなど膵臓の病気でも変化が起こります。
そこで、血液と尿のアミラーゼを測定することで、それらの兆候を読み取ろうというのがこの検査の目的です。

アミラーゼはどのように検査するのか?
血清アミラーゼは血液を採取して、血清部分を自動分析器にかけて検出します。
また、尿アミラーゼは採取した尿を自動分析器にかけて検出します。
検査方法は色々ありますが、現在では酵素法と呼ばれる手法が主流となっています。

基準値と変動の範囲(酵素法)

  • 血清アミラーゼ…60〜250IU/l
  • 尿アミラーゼ…100〜1000IU/l

痩せている人は太っている人よりアミラーゼ値が20%ほど高くなります。減量しても値は上昇しますが、基準値の範囲内です。
すい臓刺激ホルモンやステロイド剤を、大量に投与すると、膵型アミラーゼが上昇します。
長期にわたって大量の飲酒をして高アミラーゼ血症になった場合には、膵型と唾液腺型のどちらのアミラーゼ値も上昇します。

検査結果の判定
急性膵炎は激しい腰痛を起こしますが、この場合には、アミラーゼの値が平常の5〜10倍に上昇します。発病から3〜4日で血清アミラーゼは正常に戻りますが、尿アミラーゼは高値が続きます。
回復期にもアミラーゼ値が変動することがあり、重症の膵炎や膵嚢胞を合併しているときは、経過の長引くこともあるので、2〜3週間は続けて測定します。
なお、急性膵炎はその他の膵酵素や腹部超音波検査、腹部CT検査とあわせて診断されます

慢性膵炎やすい臓がんは2〜3倍の高値が持続しますが、慢性膵炎でも急性増悪期には急性と同じように上昇します。この場合には、上記の検査のほか、膵胆管造影、腹部血管造影、腫瘍マーカーなどの検査を行ない、診断します。

急性耳下腺炎や唾石症など、唾液腺の病気でも血清アミラーゼは上昇しますが、ほおの腫れや顎の痛みなどで診断がつきます。

また、胃・十二指腸潰瘍の穿孔、急性の胆管・胆嚢炎、腸閉塞、腹膜炎などでも、すい臓が障害されたり膵液の排出が妨げられるため、膵型アミラーゼが上昇することがあります。
劇症肝炎、糖尿病性ケトーシス、腹部外傷では唾液腺型アミラーゼが上昇する場合があります。

異常があったらどうするか?
異常値の原因となっている病気を発見し、その治療にあたることが第一です。
ただし、マクロアミラーゼ血症や、特発性の高唾液型アミラーゼ血症などは治療の必要はありません。
持続する軽度の高値のときは、慢性膵炎やすい臓がんなどが考えられますので、エラスターゼ1リパーゼなどの酵素のほか、腹部超音波検査腹部CT検査、逆行性膵胆管造影、腹部血管造影、腫瘍マーカーなどの検査を受けましょう。

異常な場合に疑われる病気

  • 血清・尿ともに高値…急性膵炎、慢性膵炎の増悪期、すい臓がん、膵嚢胞、耳下腺炎、胃・十二指腸潰瘍、腹膜炎、腸閉塞など
  • 血清だけが高値…マクロアミラーゼ血症、腎不全、高唾液腺型アミラーゼ血症など
  • 血清・尿ともに低値…腎臓病末期、肝硬変、重度の糖尿病など