循環器の病気の検査の一覧

循環器の病気は、心臓の病気、血管の病気、高血圧症の3つに分けられます。次に述べるような様々な病気を正確に診断し、治療法を決定するうえで、特殊な検査が必要となります。

心臓疾患、血管の病気、高血圧症があります

心臓の病気(虚血性心疾患、弁膜症、心筋症、不整脈)
心臓は、1日に10万回拍動を繰り返しており、多くの酸素を消費します。
酸素は心臓に栄養を送る冠動脈を介して心臓全体に供給され、冠動脈に血管障害が起こると、心臓の筋肉は正常に機能しなくなります。この心臓の筋肉の酸欠状態を、心筋の虚血といい、そのために生じる病気が虚血性心疾患です。狭心症と心筋梗塞がその代表です。

弁膜症とは、血液を押し出す役目を持つ心臓の4つの弁に異常が起こり、本来の役割を果たせなくなった状態をいいます。この弁に異常があると血液を効率的に押し出せず、左心室に負荷が加わったり、十分な血液が流れ込めなかったりして、心不全を起こします。

心筋症とは、心筋(心臓の筋肉)に障害が起こる病気で、心筋が弱くなって心不全になる拡張型心筋症と、心筋が肥厚して不整脈や心不全を起こす肥大型心筋症が、主なものです。

不整脈とは、脈が不規則にうったり、勝手に速くなったり遅くなったりする状態をいいます。これには、放置しておいてかまわないものから生命に危険があるものまで、様々な病気が含まれています。虚血性心疾患にともなう不整脈は、重大な危険信号です。

血管の病気
大動脈が局部的に拡張したものを大動脈瘤といいます。ある程度大きくなると破裂し、突然死を起こします。発見されたら、心臓血管外科医による適切な治療が必要です。

大動脈の壁が避けることを大動脈乖離といいます。大変危険な病気で、避けた直後は生命の危険が極めて高いものです。そのほか、大動脈に炎症を起こして、血管の閉塞や大動脈弁膜症を起こす大動脈炎、動脈硬化が進行して足などの血管閉塞を起こす閉塞性動脈硬化症などがあります。

高血圧症
高血圧症は、最高血圧が160mmHg以上か、最低血圧が95mmHg以上ある状態です。原因のはっきりしない本態性高血圧症と、内分泌疾患や腎臓病などの原因で血圧が高くなる二次性高血圧症があります。

  1. 血圧測定…血圧は動脈硬化や脳卒中などの病気を予防する上で重要な指針になります。
  2. 心電図検査…心臓病の発見や診断、病状の把握、治療効果の確認などに欠かせません。
  3. 負荷心電図…心臓に負担をかけ、これに伴う心筋の変化を心電図で観察します。
  4. ホルター心電図…24時間の心電図を持続的に記録して、後日、解析して診断します。
  5. 心音図・心機図検査…心臓の先天性疾患や心臓弁膜症などの診断に有用です。
  6. 総コレステロール…動脈硬化や心臓病などの循環器障害の診断や経過判定に有用です。
  7. LDLコレステロール…動脈硬化を引き起こす原因となる、「悪玉コレステロール」です。
  8. HDLコレステロール…血管内壁にへばりついて動脈硬化を引き起こすLDLを引き抜きます。
  9. 中性脂肪…血液中に増加してくると、動脈硬化を進める一因になります。
  10. 心臓超音波検査…心臓からエコーを受信して画像に映し出し、心臓の動きを観察します。
  11. 心臓核医学検査…静脈に放射性同位元素を注射し、心臓の血液の流れを映し出します。
  12. 心臓カテーテル検査…先天的心疾患や心臓弁膜症の診断や重症度判定に有用です。
  13. 冠動脈造影検査…造影剤で冠動脈を造影して血管の状態を調べたり、治療を行います。
  14. シネMRI…心臓の動きを1心拍16〜40コマの動画で表示する画像診断法です。
  15. 遅延造影MRI…心筋梗塞部が高信号の領域として鮮明に描き出されます。
  16. 負荷心筋血流MRI…造影剤による心筋の染まりから心筋血流を診断する検査法です。
  17. 電気生理学的検査…心臓へ電極を挿入し、内部の電気活動の状態をとらえます。
  18. 不整脈の立体画像検査…不整脈の電気刺激を立体画像で表示する診断法です。
  19. マルチスライスCT…あらゆる角度、方向から、心臓が立体的に手に取るように見えます。
  20. 心筋梗塞マーカー…心筋細胞の壊死により漏出したトロポニンの増加を薬剤で調べます。
  21. ABI・PWV検査…動脈硬化の度合いや早期血管障害を検出することができます。
  22. クレアチンキナーゼ…急性心筋梗塞、筋ジストロフィーで著しく上昇します。
  23. 心筋生検…心臓の筋肉を採取して、顕微鏡で観察し、心臓の異常の原因を調べます。

血圧測定とは?

血圧とは、心臓のポンプ作用によって全身に血液が送り出されるとき、血管に与える圧力のことです。心臓が血液を動脈に送り出すときの圧力を「収縮期血圧」または「最高(最大)血圧」といいます。これに対して心臓が元に戻り、血液をためる間の血圧を「拡張期血圧」または「最低(最小)血圧」といいます。

血圧測定

血圧測定で何がわかるのか?
循環器系の検査のベースになります。特に、高血圧は動脈硬化に伴って起こる脳卒中や心臓病の重要な危険因子となるため、血圧はこれらの病気を予防する上で重要な指針になります。
また、血圧の高低を調べるだけでなく心臓の収縮力を調べたり、血流の状態をチェックしたりと、さまざまな診断に役立て、さらには血圧降下剤の効き目を測定したりと、高血圧を治療している人の経過観察にも力を発揮します。

血圧測定はどのように行なうのか?
上腕部にマンシェット(駆血帯)を巻きつけ、そのマンシェットの中に空気を送って上腕を圧迫し、空気を抜きながら血圧を測定します。
血圧は測定条件によって大きく変化することが知られています。肉体的・精神的な緊張、測定日時のほか、測る姿勢(立位、座位、臥位)によってもかなり違います。日常生活では座位や立位が多いため血圧測定は座位で行ないます。検査は1〜2分で終了し、苦痛などは全くありません。
最近では、腕を差し込みボタンを押すだけで自動的に測定を行なえる機械も登場しています。

検査を受けるときの注意

  • 血圧は運動や緊張によって変動しますので、検査の15分くらい前から安静にし、深呼吸などをしてリラックスするように心がけましょう。
  • 袖を捲り上げたときに上腕部を締め付けるような服装は避けてください。
  • アルコールが体内に残っているのは、よくありません。
  • 定期的に血圧測定を受けるときは、できるだけ同じ条件下で受けてください。
  • 自分で血圧を測る場合、食後、運動の直後や風呂上がりは、血圧に影響が出るので、避けたほうがよいでしょう。

基準値
日本高血圧学会が2004年に定めた血圧の判定基準では、最高血圧140mmHgまたは最低血圧90mmHg以上を高血圧とし、さらに次のように分類しています。

血圧の判定基準(単位:mmHg)
左の数値は最高血圧(収縮期血圧)を、右の数値は最小血圧(拡張期血圧)を表しています。

  • 至適血圧…120 かつ 80未満
  • 正常血圧…130 かつ 85未満
  • 正常高値血圧…130〜139 または 85〜89
  • 軽症高血圧…140〜159 または 90〜99
  • 中高症高血圧…160〜179 または 100〜109
  • 重症高血圧…180以上 または 110以上
  • 収縮期高血圧…140以上 かつ 90未満

検査結果の判定
最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上なら高血圧で、その程度は上記のように軽症、中高症、重症に分かれ、重症度に比例して心臓病や脳血管障害のリスクも高くなります。
最小血圧が90mmHg未満でも、最高血圧が140mmHg以上なら収縮期高血圧という異常値に分類されます。

高血圧の多くは本態性高血圧症という遺伝的・体質的なものですが、二次性高血圧症といって、原因となる病気により血圧が高くなっている場合もあります。
血圧が高いと、動脈硬化が早まり、心臓病(狭心症、心筋梗塞、心肥大など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、腎硬化症などがおこりやすくなります。

異常があったらどうするか?
原因となる病気がある二次性高血圧が疑われる場合は、心電図心エコー胸部X線撮影、血液検査、眼底検査、尿検査などで詳しく調べて診断をつけ、その病気を治療することが必要です。

高血圧それ自体はほとんど症状がありませんが、動脈硬化を促進して狭心症、心筋梗塞、心不全、脳出血、脳梗塞、腎不全、大動脈瘤、動脈硬化などの重大な病気を引き起こす恐れがあるので、医師の指導のもとで、きちんと治療をしなくてはなりません。
定期的に検査を受けるとともに、食事や運動などの生活習慣の改善により血圧のコントロール(目標:130/85mmHg以下)を行ないます。

なお、高齢者の場合は、血圧を下げする下げすぎると血流量が低下して、かえって脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす危険性がありますので、降圧目標はやや高めに設定することが多いようです。
食事療法や運動療法によっても改善がみられない場合は、降圧薬の服用を開始します。

異常な場合に疑われる病気

  • 高血圧…本態性高血圧、二次性高血圧(腎臓病、脳血管障害、大動脈縮窄症、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、褐色細胞腫、睡眠時無呼吸症候群)など
  • 低血圧…自律神経失調症、貧血、下痢、内分泌異常など

心電図検査とは?

心臓の筋肉が全身に血液を循環させるために拡張と収縮を繰り返すとき、微弱な活動電流が発生します。その変化を波形として記録し、その乱れから病気の兆候を読み取ろうとするのが心電図検査です。心臓の疾患に関する検査の中では比較的簡単に行えるものであることから、病気発見の第一の手がかりとしてよく用いられます。

電極を皮膚に取り付けます

一般的な心電図は安静状態で測定しますが、必要に応じて、体を動かしてとる負荷心電図や、24時間通常の生活時にとるホルター心電図などの検査も行なわれます。

心電図検査で何がわかるのか?
心臓全体のはたらきを調べることができ、心臓病の発見や診断、病状の把握、治療効果の確認、薬の副作用の発見などに欠かせない検査です。

心臓の収縮・拡張が正常に行なわれているか、心臓の筋肉に酸素と栄養を供給している冠状動脈の血流の流れが円滑に行なわれているか(動脈硬化がないか)、心筋に異常がないかなどがわかります。また、甲状腺機能障害などの内分泌疾患によってどのくらい心臓に影響が及んでいるかや、電解質(カルシウムやカリウムなど)の異常もわかります。

心電図検査はどのように行なうのか?
上半身裸になり検査台に仰向けに寝てます。電極を付ける部分に、皮膚と電極間の電気を通りやすくするケラチンクリームを塗ります。
多くは、両手首と両足首、胸に6ヶ所、電極を取り付けます(胸部誘導)。そのほか、両手首と両足首の3ヶ所だけで測定する(四肢誘導)など、必要に応じて電極の数を増減します。

心電計のスイッチを入れて、心臓の拍動に伴っておこる微細な電位変動を記録していきます。
体を流れる電流を器械に導くだけで、器械から電流を流すわけではありませんので、苦痛は全くありません。検査時間は3〜5分程度です。

検査結果の判定

心電図

1回分の心臓の収縮は、P波(心房の収縮)、QRS波(心室の収縮)、T波(心室の収縮の終了)という組み合わせてで表示され、心臓の拍動が規則的に行なわれていれば、P波は常に一定間隔で出現します。ただし、健康な人でも、体調によって心臓の不規則な収縮(期外収縮)が起こり、QRS波に乱れを生じることがあります。

心臓の収縮で発生する電流が一時的にきれた状態を脚ブロックといい、それが左心室内で起これば左脚ブロック、右心室内で起これば右脚ブロックといいます。左脚ブロックは心不全が疑われますが、右脚ブロックは心臓に異常がなくても起こる場合があります。

また、心電図が細かい揺れのような波形を示す場合は、心房の筋肉が不規則に収縮していると考えられます。これは心臓の弱っている高齢者や心房中隔欠損症、心筋梗塞、拡張型心筋症による心不全などが考えられます。
ほかにも波長の異常が疑われる病気ごとに特徴があり、不整脈、心不全、心臓偏位、心臓弁膜症、狭心症など、それぞれの波形を示します。

なお、心臓に異常があれば必ず心電図に変化が現れるわけではありません。
例えば、狭心症や不整脈などでは発作が起こったときでないと変化がみられないこともありますので、測定時の心電図が正常だから心臓病がないとは言い切れません。

異常があったらどうするか?
異常が見つかれば、負荷心電図、ホルター心電図、心臓超音波検査(心エコー)の検査が組まれることがあります。
その上で必要に応じて、心臓カテーテル心筋シンチグラフィー冠状動脈造影などの検査が行なわれ、それらの結果と照合し、病気の診断、治療法の決定、予後の判定が行なわれます。

異常な場合に疑われる病気
不整脈、心肥大、心筋虚血、心房中隔欠損症、心筋梗塞、拡張型心筋症、心臓偏位、心臓弁膜症、狭心症、電解質失調など

負荷心電図検査とは?

心電図検査は安静に保ちながら行いますが、運動で心臓に一定の負荷(負担)をかけつつ、あるいはその直後に行い、心臓の筋肉の変化を観察するのが負荷心電図検査です。

エルゴメーター

安静時には健康体と変わらないのに、運動中や仕事中に狭心症などの症状が出ることがあります。このように狭心症の疑いがある場合には、心筋での酸素需要を高め、心筋の虚血(心筋に酸素が十分供給されない状態)を意図的に誘発することによって異常の有無を調べることができます。また、通常の心電図検査で異常があったときや、運動中の胸痛、不整脈などの症状があるときによく行なわれる検査です。

負荷心電図検査はどのように行なうのか?
負荷をかける度合いは年齢や性別、病気の程度により異なりますが、運動方法は主に次の3通りです。検査時間は10〜20分程度ですが、運動中に胸の痛みなどを感じたら、すぐに申し出てください。

マスター法
あらかじめ安静にしている状態での心電図をとっておきます。次に2段の階段をメトロノームに合わせて昇降します。運動後1分、3分、5分、10分後の心電図をとり、安静の状態での心電図と比較します。

トレッドミル法
胸に電極を付けたまま、ベルトコンベア状の検査装置の上を歩きながら心電図をとります。
ベルトコンベアの速度と角度の調節によりさまざまな負荷をかけることができます。

エルゴメーター法
胸に電極を付けたまま、自転車状の検査装置のへダルをこぎながら心電図をとります。
ペダルの抵抗を調節することにより、さまざまな負荷をかけることができます。
なお、このエルゴメーター法と上記のトレッドミル法は、心臓への負荷が強いので、必ず医師の管理下で行ないます。

検査結果の判定

心電図の見方

心電図に現れる波形はその場所によって、P波、Q波、R波、S波、T波と名づけられています。
P波はは心房の筋肉の興奮を、Q・R・S波は心室の筋肉の興奮を表し、T波は心室の筋肉の興奮が元に戻る状態を表しています。

負荷心電図検査を行ない、写真右下のようにST波の下降が認められた場合は、冠状動脈での血流が少なって虚血に陥ったことを示しており、狭心症などの虚血性心疾患が疑われます。
一方、写真右上のようにST波の上昇がみられた場合は、冠状動脈狭窄の有無に関わらず、痙攣によっておこる異型狭心症が疑われます。日本人に多いタイプの狭心症で、主として夜間から早朝にかけて集中的に発生します。
不整脈では、脈のリズムの乱れが心電図に現れます。

異常があったらどうするか?
心電図に異常が認められ、狭心症などの虚血性心疾患が疑われる場合は、心臓超音波ホルター心電図心筋シンチグラフィ心臓カテーテル冠状動脈造影検査を、不整脈が疑われる場合は、ホルター心電図や胸部X線検査を行ないさらに詳しく調べます。

異常な場合に疑われる病気
狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、不整脈をともなう病気

ホルター心電図とは?

ホルター心電図は、小型軽量の装置を身につけて、日常生活中の長時間の心電図を記録して、これを解析して観察する検査です。不整脈や狭心症は何の予兆もなく突然起こる病気ですので、短時間の心電図検査では、異常を捉えきれないことが多く、この検査が欠かせません。

ホルター心電図の装着図

なお、「ホルター」という名称はアメリカの物理学者で、24時間心電図記録法の発表者であるHolter博士の名前に由来しています。心電計を腰に固定(ホールド)することから、ホルダーと誤解されていること多いようです(笑)

ホルター心電図で何がわかるのか?
見逃されがちな安静時狭心症(安静にしているときに発作を起こす)は、負荷心電図検査にも現れないのでこの検査は欠かせません。
また、最高、最低心拍数や不整脈の種類、数、発生時間や心拍数との関係などから、不整脈の診断やペースメーカーの機能評価、薬物治療効果を判定することができます。

ホルター心電図の使い方
写真のように、胸に電極を取り付け、テープレコーダー型の機械(腰に固定)を携帯して、心電図を記録します。記録された心電図はコンピュータで解析し、診断をつけます。
もし、携帯中に動悸や自覚症状があった場合には、心電計についているボタンを押してください。
解析の際に、その時間や症状と心電図を対比させるために必要となります。

ホルター心電図を携帯中に注意すべき点
日常生活における記録をとるのが目的ですので、安静にし過ぎないで、普段どおりの生活スタイルを心がけてください。軽い運動や嗜む程度のアルコールもかまいません。

検査結果の判定
携帯中に不整脈の自覚症状が出現した場合は、その症状と心電図を対比させます。
自覚症状がなくても、不整脈が出現していれば心電図で検出されています。
この検査で、発作性頻拍症、発作性心房細動、期外収縮や危険な不整脈の診断がつきます。
同様に、狭心症が出現したときも、心電図に異常が現れますので診断がつきます。

ただ、発作の頻度が1ヶ月に1回程度の人の場合は、検査期間中に心電図の異常が認められなかったといって、不整脈や狭心症の心配がないとは言えません。

異常があったらどうするか?
不整脈と診断がついたら、その予防が大切になってきます。現在、多くの種類の抗不整脈薬が出ていますので、医師と相談して適切な薬剤を処方してもらいましょう。
不整脈にも、危険なものと普通の生活を送るうえでは問題がないものがあります。
脈がたまに飛ぶ程度の人や、症状のない徐脈は心配のないことがほとんどです。また、運動や精神的な興奮によって脈が速くなる場合も心配ありません。
ただ、不整脈がある場合は、何が原因で起こっているか、元に心臓病がないかなどを、最低一度は心電図検査などで確認してもらった方がよいでしょう。

異常な場合に疑われる病気
不整脈、狭心症

心音図検査・心機図検査とは?

心臓に関して、病気の兆候を確認するためのスクリーニング(ふるい分け)としては、心電図検査胸部X線検査などがあります。その結果から心臓の異常が疑われるとき、さらに詳しく調べるための検査として心臓超音波検査心筋シンチグラフィー心臓カテーテルとともに、心音図検査や心機図検査があります。

心音図検査
心臓の音を図に表して調べる検査です。心臓はその拍動とともに弁を開閉し、それによって血流が送り出されたり流れ込んだりしているため、それらが一定の音を発生させています。それが心音です。
心臓に何らかの障害があると、異常心音とか心雑音と呼ばれる普段とは違う音が生じることから、心臓の先天性疾患や心臓弁膜症などをとらえる手がかりとなります。

検査には心音計を用い、マイクロフォンで心音を拾って電気信号に変え、波形として記録します。普通は心電図検査と平行して行い、心筋の電気的活動とあわせて調べます。

心機図検査
心音図検査が心臓の活動を音としてとらえるのに対して、こちらはそれを振動してとらえます。心臓の拍動や動脈および静脈の脈動は、からだの表面に脈波として伝わってくるので、それを捕捉しては系図として記録するものです。

普通は心電図や心音図検査と平行して行い、データを総合して診断に役立てます。左心室の動きや収縮時間などを知るために用いられ、心臓の先天性疾患や心臓弁膜症などの診断に有用です。

総コレステロールとは?

コレステロールは体内にある脂質(脂肪)の一種で、脂肪酸と結合したエステル型と、別々に分かれた遊離型があり、これら二つを合わせて総コレステロール(T-Cho)といいます。
コレステロールは細胞膜の材料となったり、血管の強化や維持にも重要な役割を果たしています。
また、副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどは、このコレステロールをもとに作られています。
脂肪の消化を助ける胆汁酸の主成分ともなっており、私たちの体には必要不可欠なものです。

低コレステロールを意識した食生活

しかし、ご存知のとおり、血液中のコレステロールが多くなりすぎると動脈硬化症などの生活習慣病の原因となります。日本人のコレステロール値は、ファーストフードなどに代表される食生活の欧米化により年々高くなってきています。
増えすぎたコレステロールは、構造が安定して壊れにくく、血管の壁に付着し、血管を詰まらせる一因となります。これが脳動脈で起きれば脳梗塞に、心臓の冠状動脈で起きれば心筋梗塞になります。

総コレステロールで何がわかるのか?
動脈硬化を早める危険因子には、高脂血症、高血圧症、糖尿病、喫煙、ストレスなどさまざまなものがあります。
なかでもコレステロールや中性脂肪が増加する高脂血症が長引くと、心臓の冠状動脈硬化や脳動脈硬化が起こりやすくなります。これが、狭心症や心筋梗塞の原因となるのです。
そのため、総コレステロールの検査は、動脈硬化や心臓病などの循環器障害の診断や経過の判定に重要な役割を果たしているわけです。

総コレステロールはどのように測定するのか?
血液を採取して行ないます。酵素を使って簡単に測定できます。

検査を受けるときの注意
食後には、食事でとった栄養素が血液中に増えるため、正しい測定ができません。
そのため、総コレステロール値を測定する場合は、原則として前日の夕食後は飲食を禁止し、空腹の状態で採血をします。

基準値と変動の範囲
総コレステロールの基準値は140〜219mg/dlですが、閉経後の女性は、ホルモンの関係で上昇する傾向があり、150〜239mg/dlを基準値としています。

ただ、総コレステロール値は個人差があり、遺伝的な体質や食生活の内容、ストレスによっても左右されるので、多少の変動なら神経質になる必要ありません。

異常があったらどうするか?
総コレステロール値が基準値を超えていれば、動脈硬化の進行を考えて、HDLコレステロールLDLコレステロール眼底検査、CT、MRI、心電図冠状動脈造影心筋シンチなどの検査を受けておくことが大切です。
喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を促進させるので、今すぐ禁煙しましょう。そのうえで、動脈硬化予防のために食生活を見直します。

コレステロール値は、脂肪、とくに動物性植物に多い飽和脂肪酸を多く含む食品を、多量に食べると高くなります。バターや豚ロース肉、牛霜降り肉、エビ、卵黄など、コレステロールを上昇させる食品は、なるべく控えるようにしましょう。
これに対して、植物油や魚油に多く含まれている不飽和脂肪酸や、果物や海草に多い水溶性の食物繊維、キノコ類や大豆製品などには、血液中のコレステロールを低下させる作用があります。

食生活をこれらの低コレステロール食中心に変え、適度な運動を実践してもコレステロール値に改善がみられない場合には、薬剤による治療も考えなくてはならないでしょう。

逆に、コレステロール値が基準値よりも低い場合には、肝機能の検査を受け、異常がなけければ食生活(偏食や栄養不足)についても調べます。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…高コレステロール血症、動脈硬化、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、脂肪肝、閉塞性黄疸など
  • 低値…肝硬変、肝臓がん、栄養障害、甲状腺機能亢進症、アジソン病など

HDLコレステロールとは?

血液中のコレステロールや中性脂肪などが、たんぱく質と結びついたものをリポたんぱくといいます。リポたんぱくを遠心分離器にかけると、比重の違いによって軽い順に、カイロミクロン、VLDL(超低比重リポたんぱく)、LDL(低比重リポタンパク)、HDL(高比重リポたんぱく)に分けられます。
一般に、コレステロールを多く含んでいるリポたんぱくとしてはのはHDLとLDLがあります。

HDLとLDL

HDLコレステロールは、血管内壁にへばりついて動脈硬化を引き起こすコレステロールを引き抜いて、肝臓まで運ぶ働きをしています。このことからHDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれています。

一方、LDLコレステロールは、細胞内に取り込まれなかった余剰なコレステロールを血管内に放置し、動脈硬化を引き起こす原因となるため、「悪玉コレステロール」と呼ばれています。

HDLコレステロールで何がわかるのか?
この検査は、動脈硬化を防ぐ作用のあるHDLコレステロールが、どれ位あるかを調べる検査です。
総コレステロール値が高くなくても、HDLコレステロール値が低いと、動脈硬化が進んで狭心症や心筋梗塞を引き起こしやすいことがわかっています。
動脈硬化の危険度の指針として、総コレステロール値とともに、検診や人間ドックで欠かせない検査となっています。

HDLコレステロールはどのように調べるのか?
検査当日の朝は絶食し、空腹時の血液を採取して調べます。特殊な試薬を用いて、LDLとほかのリポたんぱくを沈殿させ、残ったHDLを酵素で処理して測定します。最近はHDLを直接検出する検査法もおこなわれています。

基準値と変動の範囲

  • 男性…30〜80mg/dl
  • 女性…40〜90mg/dl

検査結果の判定
HDLコレステロールの値が基準値よりも低ければ、低HDLコレステロール血症で動脈硬化の危険性が高くなります。心筋梗塞や脳血栓症、高脂血症などに注意しましょう。
一方、HDLコレステロール値の高い人は、心筋梗塞や脳卒中などが起こりにくく、長生きする人が多いため長寿症候群と呼ばれています。

異常があったらどうするか?
HDLコレステロールは総コレステロールと関係しており、HDLコレステロールが低値でも、総コレステロールが低値であれば、問題はありません。逆に、HDLコレステロールが高値でも、総コレステロールが著しく高値の場合は運動や食事で改善することが必要です。

食事のポイントとしては、エネルギーの摂取量を適正にするよう心がけましょう。
脂肪のとり方にも注意が必要で、動物性脂肪を控え、その分は植物油(リノール酸、オレイン酸)や新鮮な魚の油(EPA、DHA)で補います。海草やキノコなどを積極的にとり、食物繊維の摂取量を増やすことも大切です。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…薬剤(クロフィブレート、HMG-CoA還元酵素阻害剤)の影響、CETP欠損症など
  • 低値…動脈硬化、LCAT欠損症、糖尿病、肝硬変、腎透析など

LDLコレステロールとは?

コレステロールはLDL、HDL、VLDLの3つの成分に分かれますが、LDLは、肝臓でつくられたコレステロールを各臓器に運ぶ働きをしている低比重リポたんぱくのことです。
LDLコレステロールは、細胞内に取り込まれなかった余剰なコレステロールを血管内に放置し、動脈硬化を引き起こす原因となるため、「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
血液中の総コレステロールの2/3はLDLコレステロールが占めているので、コレステロール総量が多い場合は、LDL、つまり悪玉コレステロールが多いと考えられます。

ファーストフードはLDLの王様です

LDLコレステロールで何がわかるのか?
総コレステロールが高い場合、そこに含まれるHDLコレステロールが高いため、LDLコレステロールが正常域でも高脂血症と指摘されることがあります。
しかし、実際には、動脈硬化を促進するのはLDLコレステロールですから、正確に高脂血症を判定するには、総コレステロールの値よりもLDLコレステロールを測定することが大切です。

LDLコレステロールの算出方法
LDLコレステロール=総コレステロール−HDLコレステロール−(中性脂肪)÷5
注)ただし中性脂肪が400mg/dl以上の場合は、この式はあてはまりません。

基準値と変動の範囲
LDLコレステロールの基準値は、一般男女で60〜139mg/dlですが、閉経後の女性の基準値は、70〜159mg/dlと高めに設定されています。
異常値と判断されるLDLコレステロールの値140mg/dlは、総コレステロールでは220mg/dlに相当すると覚えておくとよいでしょう。

検査結果の判定
高値でも低値でも、原因となる病気がないかを調べます。
高値で他の病気が見つからない場合は、高コレステロール血症の治療が必要です。

異常があったらどうするか?
LDLコレステロールの値が140mg/dl以上の場合は、生活習慣の改善が必要です。
医師の指導のもと、正しい食事療法(動物性脂肪を極力控えた不飽和脂肪酸中心のメニュー)を行ない、喫煙を控え、毎日適度な運動を心がけましょう。それでも改善しない場合は薬の助けによる治療が必要です。
また、女性は閉経後のLDLコレステロール値が上昇しやすいので注意しましょう。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…高コレステロール血症、動脈硬化、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群
  • 低値…肝硬変、甲状腺機能亢進症など

中性脂肪とは?

中性脂肪(トリグリセライド=GT)とは、体内にある中性脂質、リン脂質、糖脂質、ステロイドの4種類の脂質の一種です。中性脂肪は砂糖などの糖質、炭水化物、動物性脂肪などが主な原料で、肝臓でつくられます。これらの原料を多く取りすぎると、皮下脂肪の主成分として蓄積されるのです。

正しい食生活と適度な運動を!

人間の体が活動するとき、第一のエネルギー源となるのは、熱効率のよいブドウ糖です。
そのブドウ糖が不足してくると、貯蔵されていた脂肪が分解されて再び血液中に放出され、エネルギーとして使われます。

しかし、血液中の中性脂肪やコレステロールが増えすぎる(高脂血症)と、動脈硬化の危険が高まります。日本人の場合は、心筋梗塞の人のコレステロール値はそれほど高くなく、中性脂肪が高値を示す例が多いといわれています。

中性脂肪で何がわかるのか?
中性脂肪が余分になり、血液中に増加してくると、動脈硬化を進める一因になります。
そのため、中性脂肪の測定は、動脈硬化性疾患(狭心症、心筋梗塞、脳卒中など)を予防するために大切な検査となります。
中性脂肪の値が高い場合には動脈硬化の危険度が高く、低い場合には栄養障害やそれを引き起こす病気が考えられます。

中性脂肪はどのように検査するのか?
血液を採取して調べます。酵素の試薬を使って検出します。

基準値と変動の範囲
中性脂肪の基準値30〜149mg/dlですが、一回だけではなく複数回の測定を行なったほうがよいでしょう。

中性脂肪値は食後30分ぐらいから上昇し始め、4〜6時間後に最も高くなります。
測定する時間によっても変動が大きいため、検査は早朝空腹時に行ないます。

検査結果の判定
日本人間ドック学会の判定基準では、中性脂肪値が150〜249mg/dlの場合は、要経過観察、250mg/dl異常の場合は、精密検査または治療が必要だとしています。

中性脂肪値が高いのは高脂血症です。中年以降の男性で高脂血症と診断される人の4割は、中性脂肪値の異常高値によるもので、たいてい肥満がみられます。
中性脂肪だけでなくコレステロール値も高い場合は、動脈硬化症、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群などが疑われます。

中性脂肪値が1000mg/dl以上の場合は、急性膵炎を起こしやすいので治療が必要です。
中性脂肪が低値の場合は、肝臓病、アジソン病、甲状腺機能亢進症などが疑われます。

異常があったらどうするか?
中性脂肪値が高値を示す人の大半は、肥満や食べすぎ、運動不足、飲酒によるものです。
この状態が続くと、心筋梗塞、脳血管障害など、動脈硬化症の病気の原因になりますので、中性脂肪を家庭でコントロールすることが大切です。

飲酒している人は禁酒するか、週2回程度に節酒します。
肥満や運動不足の人は、運動する習慣をつけ、炭水化物や脂肪の多い食事を控えるなどといった努力で、たいてい改善できます。
正しい食事療法を行なうだけでも、中性脂肪を約30%も減らすことができますので、頑張りましょう。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…高脂血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、クッシング症候群、肥満、アルコール性肝障害など
  • 低値…甲状腺機能亢進症、肝臓病、アジソン病、栄養障害など

マルチスライスCTとは?

コンピューター断層撮影(CT)は、X線を体の周りを回転させながら照射することで、輪切りの断面写真を撮ることができます。画像診断の主役ですが、従来のCTでは平面画像でしかありません。
上半身全体など、広い範囲の撮影には長い息止めが必要ですが、撮影中に血圧や脈拍数が上昇するため、乳幼児や高齢者、重病の人には使いにくいという問題がありました。特に常に動いている心臓は、精密な画像を撮ることは難しいとされていました。

マルチスライスCTの画像です

この問題を解決したのが、これまで1列だったX線検出器を複数に配列したマルチスライスCTです。16列の高性能機器(国内最高は64列ですが、医療機関が限られます)では、従来に比べて撮影速度が16倍、装置の回転速度は2倍となります。
このため、従来より30倍以上の高速度や、より鮮明な画質を得ることが可能となりました。また、撮影速度が速くなったことにより、被爆量も約40%軽減することができます。

マルチスライスCTで何がわかるのか?
1mm以下の幅で輪切り画像を多数積み重ねることで、従来では不可能だった縦方向の画像もあらわせるようになりました。あらゆる角度、方向から、臓器が立体的に手に取るように見えます。
画面上で臓器を動かし、下や裏側から見ることも簡単です。

冠動脈、大動脈などの循環器領域は勿論のこと、胃、腸などの消化管や肝臓、胆のう、膵臓などの各臓器、腰椎、頚椎などの骨など全身が撮影可能です。

その中でも特に力を発揮するのが心臓です。例えば、大動脈瘤では瘤の大きさ、破裂しやすさなども簡単にわかります。形の異常の発見だけでなく、狭窄部を広げる風船療法やステント留置、バイパス手術の経過をみるのにも最適です。心臓の拍動にあわせた画像にすることも出来ます。
また、心拍数が不整であったり、脈が速過ぎたり遅過ぎたりしても、ほぼ正確に冠動脈の狭窄度を検出することができます。

一方、心臓カテーテル検査は実際の病変を映し出せますが、入院が必要となり、管が血管を突き破ったり、血のかたまりが飛んでほかの血管に詰まったりするなどの危険性が少なからずありました。

マルチスライスCTによる検査はどのように行なうのか?
検査着に着替え、検査台に仰向けに寝ます。ガントリーとよばれる大きなドーナッツ状の装置の中をゆっくり移動しながら検査を行ないます。あらかじめ確保しておいた点滴ルートより50〜100mlほど造影剤を静脈注入しながら画像データを収集します。
造影剤を使う点では、心臓カテーテル検査と同じですが、動脈に針を刺してカテーテルを入れていく必要がないため、検査に伴う合併症のリスクはありません。検査中は、5秒〜15秒程度息止めをします。

検査時間も1分以内で、検査後も特別な止血操作や安静時間は必要でなく、外来での待ち時間中に検査を終えてそのまま帰宅できます。

異常な場合に疑われる循環器系の病気
先天性の心臓病、心臓弁膜症、狭心症、心筋梗塞、心肥大、心筋症、心不全、不整脈、大動脈の病気など

心臓超音波検査とは?

心臓超音波検査(心エコー)とは、人の耳には聞こえないほどの高周波数の超音波を心臓に発信して、返ってくるエコー(反射波)を受診し、心臓の様子を画像に映し出して診断する検査です。
超音波は、臓器や組織にあたると、歪が生じるので、心臓からエコーを受信して画像に映し出し、心臓の動きを観察します。
超音波は、X線撮影やRI検査のように放射線による被曝の心配がありませんので、妊婦や乳幼児でも安心して受けることができます。

カラードップラー法による心エコー

心臓超音波検査で何がわかるのか?
この検査を行なう目的は二つあり、一つは心臓の形の異常を発見する形態的診断、もう一つは心臓の働きを見る機能的診断です。特に、心臓は常に拍動していますが、その動いている状態をそのまま観察できる、とても有用な検査です。

心室や心房の大きさや壁の厚さ、壁の動き、弁の形態や動きなどがわかります。カラードップラー法を行なうと、心臓の中の血液の流れを映し出すことができ、弁の異常や壁に穴があいているかどうかなどの異常を発見できます。
またPW法、CW法などの特殊な方法によって心臓の圧を推定することもできます。

心臓超音波検査はどのような検査か?
一般的な心臓超音波検査は、胸部を露出してベッドに仰向けになって寝ている状態で、プローブと呼ばれる超音波発信機を肋骨の隙間に沿うようにあてて行なわれます。
プローブと皮膚の間には隙間が開かないように、ゼリー剤を塗ってピッタリと密着させます。
プローブは超音波画像モニターに繋がっており、その場で医師が画像を見て診断します。
同時に心電図もとりますので、前胸部や手首と足首に電極をとりつけます。検査にかかる時間は20〜30分ほどです。

また、心臓や大動脈のより詳細な情報が必要な場合は、直径1cmほどの超音波発信機を食堂内に入れ、食堂壁を経て心臓の動きを観察する、経食道心エコーと呼ばれる特殊な検査が行なわれることがあります。

検査結果の判定
心房や心室の大きさ、壁の暑さや動きなどから、心肥大、心拡大、心筋梗塞とその範囲などが診断できます。弁の形や動きから、心臓弁膜症とその程度を判定します。
カラードップラー法で心臓の中の血流がわかれば、弁膜症によってどの程度逆流が起こっているかや、心房中隔欠損症のような先天性の心臓病の診断に役立ちます。
PW法やCW法を行なえば心臓内の圧力を推測することができ、左室拡張期圧上昇や廃校血圧の診断材料になります。

異常があったらどうするか?
心臓超音波検査で心臓の形が大きかったり、動きが悪かったり、血液の逆流がみられたりした場合は、経過を観察する、胸部X線検査心電図検査などのさらに詳しい検査を行なう、心臓カテーテル検査を行ない必要があれば治療をするといった対応がなされます。

異常な場合に疑われる病気
心肥大、拡張型心筋症、各種の弁膜症、心拡大、心筋梗塞、先天性の心臓病、肺高血圧、弁狭窄症など

心臓核医学検査とは?

心臓核医学検査(心シンチ)とは、静脈に放射性同位元素を注射し、放出される放射線を撮影して、放射線量をコンピューター処理して画像にし、心臓の血液の流れを映し出す検査です。
放射性同位元素(ラジオアイソトープ=RI)を使用するので、シンチグラフィーとかRI検査ともいわれ、甲状腺や肝臓、骨などの病気の検査にも用います。

心筋シンチグラフィー

心臓核医学検査で何がわかるのか?
心臓核医学検査には心プール検査と心筋シンチ検査とがあります。
心臓の機能すなわちポンプとしての働き具合を調べるのに心プール検査が行なわれ、心臓の筋肉を養っている冠状動脈や心筋の中の細い血管などの血液の流れを調べるのに心筋シンチ検査が行なわれます。

心プール検査では、心臓の壁の運動や左室駆出率などの新機能がわかり、心筋梗塞や心不全の症状の把握に役立ちます。
心筋シンチ検査では、心筋の血液の流れが映し出されるので。心筋梗塞の有無や広がりを診断することができます。
同時に運動負荷心電図検査を行なう事がありますが、この検査では、負荷がかかったときの心機能や、狭心症で心筋に虚血の起こっている場所などがわかります。

心臓核医学検査はどのような検査か?
放射性物質を使うので特別な検査室で行ないます。上半身を裸にして検査台に仰向けに寝ます。放射性同位元素の入った薬剤を静脈注射し。シンチカメラで心臓の部分を撮影します。
所要時間は30分ほどですが、負荷試験の場合は、3時間ほど間を置いてもう一度検査を行なう場合があります。

静脈注射の痛み以外に苦痛はありません。放射性物質を使っても、放射線量はごく微量ですから、人体に対する害はほとんどありませんが、妊婦の場合は原則的にこの検査は行ないません。

検査を受けるときの注意点

  • 検査前の2時間から飲食は禁止になります。
  • 検査時の服装は自由ですが、体を締め付けないものがよいでしょう。
  • 撮影時はなるべく体を動かさないようにします。
  • 気分が悪くなったら、すぐに申し出てください。
  • 妊娠中、あるいは妊娠の可能性のある女性は、必ず申し出てください。

検査結果の判定
心プール検査を行なえば、心臓の壁の動きの異常や左室駆出率の低下など、心不全の程度を把握することができます。心筋シンチ検査をすると、心筋の血管の映っていない部分を見ることによって心筋梗塞の場所や広がりがわかり、負荷試験を行なえば、狭心症で血管の狭くなっている部分や虚血の範囲も明らかになります。
特殊なアイソトープを使うことによって心筋症を診断したり、糖尿病による心筋障害なども検出することができます。

異常があったらどうするか?
なんらかの異常が認められた場合は、下記の病気が疑われますので、心電図ホルター心電図心臓超音波検査胸部X線撮影胸部CT心臓カテーテル検査などでさらに詳しく調べます。
それらの結果を総合的に判断したうえで、治療方針を立ててもらい、治療を受けることになります。

異常な場合に疑われる病気
狭心症、心筋梗塞、心肥大、心拡大、心不全、心筋症など

心臓カテーテル検査とは?

心臓カテーテル検査は、心臓に特殊な細いプラッチックの管(カテーテル)を挿入し、心臓内の圧や血液の酸素濃度を測定・分析したり、造影剤を注入してX線撮影し、心臓の血液状態や形、心室・心房と弁の動きを調べたり、さらには心臓の筋肉(心筋)を採取して病理学的に検査する心筋生検などを行なう検査です。

心臓カテーテル検査

血圧測定心電図検査心臓超音波検査などで心臓の異常が疑われる場合には、CT検査、MRI検査、心筋シンチグラフィなどでもさらに詳しく調べますが、とくにこの検査は最終診断や確定診断のために行われます。

以前は、先天的心疾患や心臓弁膜症などの診断や重症度判定には欠かせないものでしたが、現在では精神的・身体的負担の少ないマルチスライスCTが主流となっています。

心臓カテーテル検査で何がわかるのか?

冠状動脈造影
動脈から挿入したカテーテルの先端を冠状動脈の入り口まで進め、造影剤を注入して心臓をX線撮影します。ビデオカメラを使い、リアルタイムに撮影します。
造影剤によって冠状動脈が映し出され、動脈硬化が進行して血管が狭くなって狭心症の原因となっている場所が見つかり、心筋梗塞で詰まってしまった場所と障害された場所がわかります。

この検査によって今日心身症や心筋梗塞の確定診断をするとともに、治療方針の決定、たとえばバルーン療法(PTCA)を行なうのがいいのか、A-Cバイパス手術がいいのかと行ったことを判断する材料となります。

急性心筋梗塞の場合には緊急冠状動脈造影を行ない、カテーテルの先端から血栓溶解剤を注入して血栓を溶かし、詰まった部分の血流を再開させる治療(PTCR)も行ないます。
さらに、バルーン療法やステント挿入術も行なって、血流の再開を図る方法も採られます。

左心造影
方法や冠状動脈造影とほぼ同じで、通常は同時に行なわれます。動脈から挿入したカテーテルをさらに進めて左心室に届かせ、圧を測定した後、造影剤を注入してX線撮影を行ないます。
狭心症や心筋梗塞、高血圧性の心肥大の場合には、左心室のはたらきが低下しますが、それを判定する上で重要な検査となります。

大動脈造影
カテーテルを動脈から挿入し、先端を大動脈に到達させて造影剤を注入し、X線撮影をします。解難性大動脈瘤や大動脈縮窄症の診断に欠かせない検査です。

右心カテーテル検査
先端にバルーンのついた特殊なカテーテルを使用します。静脈から挿入したカテーテルを、右心房から右心室を経て肺動脈まで届かせます。
ここでバルーンを膨らませて圧を測定すると、左心室とほぼ同じ圧が測定されます。さらに、肺動脈、右心室、右心房の圧も測定し、心拍出量も調べます
この検査で、右心機能と左心機能を調べることができ、心不全の診断や、治療方針の毛って、治療効果の測定ができます。
さらに心房中隔欠損症などの先天性の心臓病では、血液中の酸素量を調べることによって、病名や重症度を診断することができ、手術の適否の判断にもなります。

心筋生検
組織を採取するための特殊なカテーテルを、左心室または右心室まで挿入し、病気が疑われる部分の筋肉をつまんで採取します。
これを病理検査して、肥大型心筋症、拡張型心筋症、心筋炎など、心筋の病気の診断をします。

電気生理学的検査
電極の着いた特殊なカテーテルを静脈から挿入し、電気刺激を加えて心電図を記録します。
洞結節回復時間、心房・心室・房室結節・副伝導路の不応期(心筋が反応しない期間)の測定、副伝導路の位置決定、心室性頻脈症の誘発試験などが行なわれます。薬物を用いて自律神経を遮断しての検査も行なわれます。

電気生理学的検査は心臓の拍動をコントロールしている刺激伝導系の働きを調べる検査で、不整脈の診断を行なううえで大切で、治療方針の決定にも役立ちます。特に、ペースメーカーの植え込みに適しているかどうかを決定する際には必ず行なわれる検査です。

心臓カテーテル検査はどのように行なうのか?
検査当日の朝は絶食し、まず血液凝固時間など血液一般の検査を行ないます。検査着に着替えて検査室(アンギオルーム)に入り、カテーテルを挿入する場所の体毛を剃り、消毒します。
局所麻酔をして切開部からカテーテルを挿入します。造影剤を注入すると体が熱くなってきますが、一時的なものなので心配は要りません。

検査時間は30分〜1時間。カテーテルを抜いた後は止血のために15分くらい圧迫を続け、止血したら絆創膏で止めます。さらに、止血を確実にするために砂袋をのせ、約6時間ベッドで安静にします。

異常があったらどうするか?
専門的な検査であり、診断も確定し、治療方針も決まるので、その決定に従って治療を受けましょう。

異常な場合に疑われる病気
先天性の心臓病、心臓弁膜症、狭心症、心筋梗塞、心肥大、心筋症、心不全、不整脈、大動脈の病気など

冠動脈造影検査とは?

心臓の周囲を取り巻いている動脈を冠動脈といい、心臓の筋肉に酸素や栄養を運ぶ重要な役割を果たしています。冠動脈造影検査とは、カテーテル検査のひとつで、カテーテル(細い管)を挿入して造影剤で左右の冠動脈を造影して血管の状態を調べたり、血管を広げるための治療などを行ないます。

冠動脈造影

冠動脈造影検査で何がわかるのか?
冠動脈の動脈硬化が進行すると、血管の内腔が狭くなったり(狭窄)、狭窄した血管に血栓が詰まって、心筋に十分な酸素や栄養が届かなくなります。すると、心筋の一部が壊死してしまい、狭心症や心筋梗塞を引き起こしてしまいます。

狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患がある場合、冠動脈造影によりX線を透過した画像がモニターに映し出されるので、画像を見ながら血管の狭窄や閉塞の状態、血管の流れを確認し、必要があれば治療が行なうことができます。

冠動脈造影検査はどのように行なうのか?
検査目的と治療の一環として行なわれる場合があります。検査前日あるいは当日入院で、2〜3日間の入院が必要です。検査を受ける前には胸部X線検査心電図検査で全身の異常をチェックしておく必要があります。
また、血液の凝固機能を調べるために出血時間プロトロンビン時間活性化部分トロンボプラスチン時間血小板数などの血液検査も行なわれます。さらに、ヨード系造影剤へのアレルギー病歴の有無も確認されます。

手術着に着替え、検査台に仰向けになり、カテーテルを挿入する部位を消毒します。
最近は、とう骨動脈からカテーテルを挿入する(ソーンズ法)ことが多いですが、ときには上腕動脈や大動脈を穿刺してカテーテルを挿入する(ジャドキンス法)こともあります。

カテーテルを上行大動脈から左心室、冠動脈入口部まで送り込み、造影剤を注入して、冠状動脈を映し出します。穿刺する部位には局所麻酔を行ないますので、カテーテルを挿入するときには痛みはありませんが、造影剤を挿入するときには熱く感じられます。検査時間は1〜2時間です。

冠動脈造影で行なわれる治療
カテーテルを用いた冠動脈血管形成術は、カテーテルで病変部位に治療器具を進め、病変部の血管を広げたり形成したりする治療です。冠動脈血管形成術には、以下のようなものがありますが、バルーンとステントによる治療が中心となっています。ときに、ローターブレーターやDCAなどが行なわれることもあります。

バルーン
先端にバルーン(風船)のついたカテーテルを冠動脈内に進め、病変部でバルーンを膨らませて血管を広げます。最近では、バルーンで血管の内腔を拡張した後、病変部が再狭窄するのを防ぐためステントを使用することが多くなっています。

ステント
ストントとは冠動脈内に留置して、血管を内側から支えたり、広げたりする金属製の管です。
ステントはバルーンで覆われた状態で病変部までカテーテルで運ばれ、病変部でバルーンを膨らませてステントを広げ、血管内に留置されます。

ローターブレーター
バルーンなどで拡張が難しいかたい病変などに使用されます。高速回転するドリルで、正常な血管壁を傷つけないようにして、かたい動脈硬化病変を削り取っていきます。

DCA(方向性アテレクトミー)
血管の内腔に進めたカテーテルの先端の、窓のような穴が開いた金属性の筒の中を、カッターが回転しながら前後に動き、窓の中に入る動脈硬化病変を削り取る治療です。

異常な場合に疑われる病気
狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤など

シネMRIとは?

心臓の動きを1心拍16〜40コマの動画で表示する画像診断法で、心臓のポンプ機能と局所心筋壁運動を最も正確に診断できる方法です。心エコーの超音波は骨や空気でさえぎられるので、その先を見ることはできませんが、シネMRIでは任意の撮影断面を得ることが出来ます。

心室の容積や収縮率などがわかります

最近ではマルチスライスCTを用いた心機能評価も可能になっていますが、心拍内時間分解能は100ミリ秒程度と限られています。シネMRIの時間分解能は通常50ミリ秒以下であり、設定により10ミリ秒以下まで高めることも可能で、左室収縮機能だけでなく拡張機能も評価することができます。

シネMRIによる左室機能計測は、心筋梗塞などのために左室が変形していても正確で、計測地の再現性が高いという特徴を持っています。
また、右室は三次元的に複雑な形態を呈しているため、血管造影心エコー法などでは右室機能を正確に計測することは難しいのですが、右室全体をカバーする連続した体軸横断面でシネMRIを撮影すると、右室機能や右室局所壁運動を正確に評価できます。

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遅延造影MRI…心筋梗塞部が高信号の領域として鮮明に描き出されます。
負荷心筋血流MRI…造影剤による心筋の染まりから心筋血流を診断する検査法です。

遅延造影MRIとは?

心筋梗塞の診断には、遅延造影MRIという方法が高い有用性を発揮します。これはMRI造影剤を静脈注射して約10分後に撮影するという簡単な検査法ですが、急性期から慢性期の心筋梗塞部が高信号の領域として鮮明に描き出されます。

小さな心筋梗塞も検出されます

遅延造影MRIは、病理学的梗塞領域をよく反映し、空間分解能が高いため心臓核医学検査では評価できなかった内膜下梗塞や右室梗塞も診断できるという特徴を持っています。

遅延造影MRIを撮影すると、左室心筋の各領域に生存心筋がどの程度残っているか明瞭に示されるため、心筋梗塞患者の心筋機能を評価することができます。また、心電図心エコーではとらえられなかった無症候性の小さな心筋梗塞も検出されます。

最近の研究では、遅延造影MRIにおける梗塞の有無は将来の心臓死や心事故の発生と密接な相関を有し、虚血性心疾患が疑われる患者の予後予測に役立つことが示されています。
このように、心筋梗塞と診断されている患者だけではなく、心不全患者や虚血性心疾患が疑われる患者に対してまず行われるべき画像診断法になりつつあります。

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シネMRI…心臓の動きを1心拍16〜40コマの動画で表示する画像診断法です。
負荷心筋血流MRI…造影剤による心筋の染まりから心筋血流を診断する検査法です。

負荷心筋血流MRIとは?

少量のMR造影剤を注射し、造影剤による心筋の染まりから心筋血流を診断する検査法です。冠動脈狭窄にともなう心筋虚血の診断ではATPやジピリモダールと呼ばれる冠血管拡張剤が投与されます。

負荷心筋血流MRIは、心臓核医学検査よりも空間解像度が高いため、心内膜下虚血も明瞭に描出され、冠動脈三枝病変も全周性の内膜下虚血として診断できます。

最近では、安静時・負荷時心筋血流MRIを定量的に画像解析して、心筋血流の絶対値(ml/分/g)の分布を表示できるソフトウェアも開発され、心筋血流評価のスタンダードとされているPETに匹敵する情報が、放射線被爆をともなうことなく低いコストで得ることが出来るようになりつつあります。

狭心症患者などにおいて冠動脈ステントなどによる治療適応を決めるためには、冠動脈狭窄によって心筋虚血が生じているか否かを判定することが重要です。負荷心筋血流MRIを行なうと、従来の負荷心筋SPECTと同等以上の診断制度での虚血の有無と範囲を診断できます。

心筋梗塞後患者では、梗塞心筋と虚血心筋を鑑別することが血行再建術の適応を判断するうえで重要となりますが、負荷心筋血流MRIと遅延造影MRIを組み合わせると、梗塞・虚血・正常心筋領域を判別することができます。

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遅延造影MRI…心筋梗塞部が高信号の領域として鮮明に描き出されます。

クレアチンキナーゼとは?

クレアチンキナーゼ(CK)は酵素の一種で、CPKとも呼ばれ、筋肉細胞におけるエネルギーの代謝に関連した重要なはたらきをしています。心筋や骨格筋、平滑筋などに多く含まれているほか、脳細胞にも含まれています。一方、臓器や血球などの細胞にはほとんど含まれていません。
したがって、血清中のCKに変化がみられた場合は、筋肉や脳の異常が特に疑われます。

筋ジスや急性心筋梗塞の検査として重要です

CKには3種類からなるアイソザイム(酵素としてのはたらきは同じだが、分子構造などが異なる酵素群)があります。このうちCK1はとくに脳や脊髄に多く、CK2は心臓に、CK3は骨格筋に多いというそれぞれの特徴があります。
CK全体の濃度を測定するとともに、これらアイソザイムの特長を生かして、異常の種類を詳しく診断することもよく行われているところです。

クレアチンキナーゼ(CK)はどのように測定するのか
血液を採取し、クレチンリン酸と酵素の入った試薬と比色計を用いて、測定します。
筋肉運動をすると、筋肉からクレアチンキナーゼが血液中に漏れ出て上昇し、24時間前後でピークとなり、3〜4日後にもとに戻ります。したがって、検査を受けるときは、4日前ごろから激しい運動は控えてください。検査当日の飲食はふつうにとってかまいません。

クレアチンキナーゼの基準値(比色法)

  • 男性…40〜200IU/l
  • 女性…30〜120IU/l

クレアチンキナーゼは、筋肉の量と比例するため、男性は女性と比較して20〜30%高値になります。女性の場合は、朝から夕方にかけて数値が上昇しやすく、妊娠後期と出産前後にやや高めになります。男女とも、高齢になるとだんだん低くなってきます。

そのほか、筋肉注射、筋電図、血管などに注射をする検査、生検、心臓穿刺、手術の後などには、クレアチンキナーゼはやや高値を示します。
測定法は比色法のほかにも、UV法などいろいろあり、測定法によって基準値が異なりますので、複数の医療機関での検査結果を比較する場合は気をつけてください。

検査結果の判定
クレアチンキナーゼの値は急性心筋梗塞や発作性心室頻拍症、狭心症、心筋炎など循環器系の疾患で上昇します。また、神経筋疾患、特に筋ジストロフィーでは著しい高値を示します。
筋肉の病気が特定できない場合は、甲状腺の病気も考えられます。甲状腺機能低下症では高値、甲状腺機能亢進症では低値になります。

異常があったらどうするか
軽度の上昇であれば、臨床的診察や筋電図検査、筋肉組織片を調べる生検などの結果を参考にして、診断を確定します。
狭心症や心筋梗塞の検査では、クレアチンキナーゼの測定値とともに発作から何時間後に測定したかも、診断する上で重要です。一般に心筋梗塞の場合、クレアチンキナーゼはほかの酵素より速く増加し、正常に戻るのも早いからです。

また、狭心症の場合には、心電図心臓超音波心筋シンチグラフィーのほか、赤沈GOT、GPTLDH(乳酸脱水素酵素)などの検査による経過観察が必要になります。
狭心症発作後、心電図にも異常が無く、クレアチンキナーゼが境界値か、それ以上であれば、軽い心筋梗塞と考えて、それに準じた対策が採られます。

狭心症は、早期に適切な治療を受ければ予後は良好です。急性心筋梗塞は、血管が詰まったあとで心筋が完全に壊死するまでに、治療を開始することができるかどうかが重要となります。そのため早期診断による治療が必要となります。
近年では、心筋細胞の壊死により血液中に漏出したタンパク質「トロポニン」の増加を薬剤で調べる心筋梗塞マーカー検査も登場し、注目されています。

異常な場合に疑われる病気

  • 高値…急性心筋梗塞、心筋炎、筋ジストロフィー、多発性筋炎、甲状腺機能低下症など
  • 低値…甲状腺機能亢進症、結合織疾患、高ビリルビン血症など

電気生理学的検査とは?

心臓は、全身に血液を循環させるため、繰り返し活動電流を発生することによって拍動します。これを記録したものが心電図です。しかし、体表面から記録する通常の心電図によってわかる心臓の拍動の様子には限界があり、心臓内部の電気活動を正確に把握することはできません。

不整脈のメカニズムの判定に必要です

そこで考えられたのが、心臓の電気生理学的検査です。これは心臓カテーテルと同じように体内の血管から心臓の中へ電極を挿入し、心臓内部の電気活動の状態をとらえようというものです。

電気生理学的検査で何がわかるのか?
ときどき心拍リズムが乱れる不整脈は健康な人でも起こりうるものですが、この検査では、洞結節不全症候群、房室ブロック、上室性頻拍、心室頻拍、心室細動など、生命にかかわることもあるような不整脈を判別できます。
それによって、カテーテル治療、ペースメーカーの必要度や薬の処方など、治療方針を決定することができます。

近年は、見えない電気刺激を立体化する不整脈の立体画像検査(電気生理学的マッピングシステム=EAM法)も登場しました。この方法では、コンピュータ上に心内電位ならびに解剖学的位置情報が3次元立体画像で色別に表示され、不整脈の機序解明に重要な情報をよりわかりやすい形で提供してくれます。

電気生理学的検査はどのように行うのか?
数日間の入院が必要で、血液の凝固時間の検査や出血傾向の有無など、予備的な検査が行われます。心臓カテーテル検査と同じく専用の装置のある検査室で数人の循環器専門医が立ち会って行われます。

まず、検査着に着替えて、検査台に仰向けに寝ます。そして、大腿部などカテーテルを挿入する入り口になる場所の剃毛と消毒、局所麻酔が行われたあとに、大腿部の血管からシースと呼ばれる細い管を挿入し、そのシースを通して電極月のカテーテル数本を心臓の右心房、右心室、左心房、左心室まで到達させて、その部分の心臓の電気的興奮を記録します。
これはいったん安静状態で記録しますが、さらにこの電極を用いて、弱い電気刺激を生じさせた状態も記録していきます。

異常があったらどうするのか?
心室頻拍や心室細動を起こしやすいという診断がついた場合には、それを予防する治療を行わなくてはなりません。治療法には、薬剤による治療のほか、カテーテルの先の電極から高周波電流を流し、不整脈発生部位の心臓組織の一部を焼いて、細胞を死滅させるカテーテル・アブレーション、植え込み型除細動器のような非薬物療法があります。
どの方法が一番ふさわしいかは病気の性質により異なるので、心臓専門医に十分な説明をしてもらう必要があります。

上室性頻拍の診断がついた場合には、発作が生じた場合、息ごらえをしたりして発作を止める手技を自分で知っておかなければなりません。診断がついた段階で医師から説明があります。
洞結節不全症候群や房室ブロックの診断がついた場合には、人口ペースメーカーを植え込む必要があります。

異常な場合に疑われる病気
洞結節不全症候群、房室ブロック、上室性頻拍、心室頻拍、心室細動などの不整脈