病院の検査の基礎知識

がん検診の内容:自覚症状のない胃や大腸、肺、乳房、子宮頸部のがんを早期発見

がんの早期発見のためには、40歳代以降は1年に1回、がん検診を受けるようにしましょう。なお、女性特有のがんの場合は、それより早い年代(ex:子宮頸がんは20歳以上が対象)で検診を勧められるものもあるので注意しましょう。

異常なしでも、全てのがんの可能性が否定されたわけではありません

医療の世界では、研究によってその有効性が科学的に証明された手法を最も優れているとする、「科学的根拠に基づいた医療(EBM:Evidence-Based Medicine)」の実践が常識となっています。以下に挙げるがん検診の検査項目も、その実施によりがんの死亡率が減少するという有効性が科学的に証明されています。

がん検診の受診率

有効性が認められているがん検診ですが、欧米諸国の受診率が70%を超えているのに対し、日本では上のグラフのように伸び悩んでいます。

胃がん
従来の胃がん検診では、一部の市区町村を除いて、胃のエックス線検査(バリウム検査)のみが行われてきましたが、2016年4月より内視鏡検査(胃カメラ)が追加されます。

胃のエックス線検査は、造影剤(バリウム)と発泡剤を飲み、胃を空気で膨らませた状態にして、さまざまな角度から撮影を行います。内視鏡検査は、細長い管を口もしくは鼻から挿入にして、胃の内部を直接観察する検査方法です。いずれも検査前夜の夕食以降は絶食して、胃の中を空にする必要があります。

近年、血液検査でピロリ菌ペプシノゲンを調べて胃がんの危険度を分類し、異常がある人に内視鏡検査を勧める「胃がんリスク検診」を導入する市区町村(横須賀市、三鷹市、品川区ほか)も増えています。

肺がん
肺がんは主に「抹消型」と「中心型」に分けられます。抹消型は肺の奥のほうにできるものを、中心型は肺の入り口付近にできるものをさします。抹消型の発見には、がんなどの異常が白い影となって写る胸部エックス線検査(レントゲン撮影)が適しています。一方、中心型の発見には、痰の中にがん細胞が混じっていないかを調べる喀痰細胞診が適しています。

肺がん検診では、全ての受診者が胸部エックス線検査を受け、肺がんのリスクが高い人(40歳以上で6ヶ月以内に血痰がみられた人など)には、喀痰細胞診も実施されます。

大腸がん
大腸がんは粘膜の表面にでき、そこから出血して血液が便に混じります。そこで、大腸がん検診では、便潜血反応検査という、肉眼では見えない微量の血液が便に混じっていないかを調べる検査が行われます。ただし、痔や良性ポリープなどからの出血に対して反応してしまうこともあります。

乳がん
自治体が実施する乳がん検診は40歳以上の方を対象に2年に1回の受診を推奨しています。まず、医師が乳房や乳頭の形などを観察する視診を行います。また、指の腹で乳房に触れてしこりを探したり、分泌物を調べたり、脇のリンパ節の腫れを調べる触診が行われます。

次にマンモグラフィーが行われます。これは、視診・触診ではわからないような、しこりになる前の早期のがんを発見するための乳房のエックス線検査のことで、専用の装置が使われます。乳房を2枚の圧迫板で挟み、押し広げた状態で撮影します。

乳腺組織の発達した若い女性や胸が小さくて乳腺組織が密集している女性はマンモグラフィーに適していないので、乳腺超音波検査(乳腺エコー)が行われます。

子宮頸がん
子宮にできるがんには「子宮頸がん」と「子宮体がん」があります。日本人はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染を原因とする子宮頸がんが若い女性に増えており、検診では頚部細胞診が行われます。この検査では、医師が綿棒やへらで子宮頚部を軽くこすって、細胞を採取します。それを顕微鏡で観察し、異常な細胞があるかどうかを調べます。


 
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