人間ドックで受ける基本的な検査(44項目の詳細リンクページを掲載)
人間ドックの目的は、自覚症状が現れていない段階で各種検査を受けることで、病気やそのリスク要因を発見し、その結果に合わせて精密検査や経過観察などの対応をとることで、病気の予防、改善、重症化の防止を目指すというものです。
人間ドックは一般の定期健診より検査項目が多く、胃がん検査に内視鏡が用いられるなど、より高度な検査が行われます。希望によりオプション検査を追加することもできます。
受診年齢に関して明確な基準はありませんが、30〜40歳代の人は2年に1回、心臓病や脳血管障害、がんのリスクが高まる50歳代以降の人は1年に1回の頻度で人間ドックを受けるのが理想です。ご家族に糖尿病や高血圧をはじめとする生活習慣病、脳梗塞や心筋梗塞、がんになった方がいる場合、最低1度は受診しておきたいものです。
名称 | 検査項目 | 発見される主な病気 |
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身体計測 | 身長・体重・BMI・体脂肪率・腹囲 | 肥満状態 |
眼科 | 視力・眼圧・眼底検査・視野検査 | 緑内障・網膜の状態 |
聴力 | 聴力検査(オージオメーターを使用した1000Hz、4000Hzの純音による検査) | 難聴 |
呼吸器 | 胸部X線検査・肺機能検査(肺活量、1秒率) | 肺がん、肺結核、自然気胸、肺炎、肺気腫 |
循環器 | 胸部X線検査・心電図・心拍数 | 心臓肥大、不整脈、血圧異常 |
血液一般 | 白血球・赤血球・血色素・ヘマトクリット・血小板・赤血球数恒数・血清鉄 | 白血病、貧血、多血症、血小板数異常 |
感染症 | CRP(C-反応性タンパク)・TPHA・ガラス板法 | 感染症、梅毒 |
肝臓 | 超音波検査・GOT、GPT・LDH・ALP・γ-GTP・コリンエステラーゼ・ビリルビン・アルブミン・総タンパク・A/G比・B型肝炎抗原・C型肝炎抗体 | 肝臓がん、脂肪肝、急性・慢性肝炎、アルコール性肝障害、肝硬変、B型・C型肝炎 |
胆嚢 | 超音波検査 | 胆石、胆嚢ポリープ、胆嚢がん |
膵臓 | 膵アミラーゼ | 慢性膵炎、膵がん |
脂質 | 総コレステロール・LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪 | 高コレステロール血症、脂質異常、高中性脂肪血症 |
糖尿病 | 血糖・尿糖・HbA1c | 糖尿病 |
尿酸 | 尿酸 | 高尿酸血症、通風 |
腎臓・尿路 | 尿素窒素・クレアチニン・尿タンパク・尿潜血・尿ウロビリノーゲン・尿沈渣・尿比重 | 腎臓がん、腎臓結石、水腎症、腎臓機能障害 |
食道 | 上部消化管バリウム造影・内視鏡検査 | 食道がん、食道アカラシア |
胃 | 同上 | 胃がん、胃潰瘍、胃ポリープ |
十二指腸 | 同上 | 十二指腸潰瘍 |
便検査 | 便潜血反応 | 大腸がん、大腸ポリープ |
人間ドックの費用(4万円〜)は全額自己負担ですが、補助がある企業も
人間ドックは国が定めた一般検診の基準項目に加えて、胃カメラ、腹部エコー、頭部MRIと頭部MRA、腫瘍マーカーなどバラエティに富んだ検査項目となっており、より総合的に健康状態をチェックできるようになっています。
そのため、検査項目が少ない半日コースから、日帰り可能な1日コース、検査項目を増やして全身を隈なく調べたい方を対象としたコースでは、人間ドックの実施施設もしくは施設が提携している近隣のホテルに1泊するものもあります。
お住まいの地域の自治体や企業で実施される定期健診は、検査費用の一部もしくは全額が市町村や企業の負担となっていますが、人間ドックは検査費用は保険が適用されないため全額が自己負担となります(企業では健康保険組合から補助がでることもあります)。
標準的な半日コースでも4万円〜5万円程度かかり、1泊2日のフルコースタイプの人間ドックになると7万円〜10万円となり、なかには20万円を超える大変高額なものもあります。
人間ドックは病院や健診センターで受診することができますが、検査データを継続的に比較するという観点から、同じ施設で検査を受けることが重要です。決して安くない金額ですので、検査費用も施設の大事なポイントになるかと思いますが、医療技術者の技術、最新の医療設備の充実度、検査と検査の間の待ち時間の長さ、医師の説明の分かりやすさなどを重視すると良いでしょう。
賛否両論はありますが、病院の「ランキング本」も一定の参考にはなります。人間ドックに力を入れている病院や健診センターはホームページ内に特設サイトやコーナーを用意して、各検査の手順や目的を写真入りでわかりやすく解説しているので、それらを参考にするのもよいでしょう。
1日あたりの受診可能者数はある程度あるのに、予約枠が1ヶ月くらい先まで大体埋まっているような病院や健診センターは、人気があり、検査実績も豊富と言えます。口コミ等で評判がわからない場合は、これも施設選択のバロメーターの一つになるかもしれません。
人間ドックは専門的な精密検査や特定の臓器を詳しく検査するものではなく、生活習慣病などについて体全体の健康状態を調べるものです。受診前の段階で既に特定の症状があったり、特定の病気が気になる方は臓器別、疾患別の専門ドックを受診したり、人間ドックの「オプション検査」を追加することをオススメします。
具体的には、高血圧、糖尿病などの持病があり、家族に脳卒中で倒れた人がいる人は「脳ドック」を、喫煙年数が長い、しつこい咳が出る、痰がからむといった症状がある方は「肺ドック」を、乳がん、子宮頸がん、卵巣がんなど婦人科系がんの検査を受けたい方は「レディースドック」を受診したり、これらの検査項目をオプションとして追加するわけです。